Kan-Kan の雑記帳


2001年11月30日

 喪中欠礼のハガキが舞い込む季節になりました。年々数が増えてくるようで・・・。当たり前とは思いつつ、寂しいものです。「行く人来る人」の欄が目立つというご指摘も・・・。納得。ざっと振り返ってみて、あ、相米慎二監督が抜けてるとか思うのですが・・・。それもいっとき。振り向いている時間すらない。「過ぎに過ぐるもの、帆をかけたる舟、人の齢、春 夏 秋 冬・・・」清少納言は流石です。

 某日   長野高校15期生徒の男子8人(今年30才かな)が集まって、恒例の学習会。今ごろ授業を聞きたいなんてと呆れつつ嬉しくて、毎回、準備に楽しくこころを砕きます。季節ごとに一回くらいだが、みんなも楽しみにしてくれているみたい。滝谷のY君の家の15畳の応接間にはみんなで金を出し合って買った白板も。

 今回は久々に現代文で筑紫哲也さんの文章で教育論を。どんどん手が挙がり、意見が飛び交って、めちゃおもしろい。Y君とそのお姉さん(彼女も長野高校出身)の手料理で飲み放題(?)。休日の昼間から夕暮れまで大騒ぎ。折角の休日にこんなんだから、メンバーのほとんどが独身というのも納得(笑)。

 授業の後の近況報告がまた楽しい。いろんな分野のつっこんだ話で現代日本社会の状況が浮き上がる。今回は橋本で農業をしているN君の報告がおもしろかった。今の農業の問題、農協のありかた、流通機構、消費者の姿勢。考えるところがいっぱいありました。次回は2月か3月か、それを励みにがんばろうと思います。

2001年11月29日

 先日の原稿で「ワイン3杯も」と書きましたが、やはり顰蹙を買ったようで(笑)。知る人ぞ知る・・・普段なら、たった3杯で終わるタマではありません。ところがこれが事実なのです。みんなに振る舞うのが惜しくて、デマを書き連ねたわけではありません。ここんとこ体調イマイチで、10日ほど禁酒をしたりして、来るべき忘年会に備えているのです(笑)。

最近読んだ本

「室の梅ーおろく医者覚え帖」  宇江佐真理

 ここんとこものすごく力を付けてきた新進の時代小説の書ける女流。函館に居を定めて「江戸」を書き続けているのもいい。

 「おろく医者」とは南無阿弥陀仏の6文字に関わる、すなわち死体検分の医者(そのような者がいたことは記録に残っていないが・・・)。正哲という中年の正義感の医者と、彼の若い恋女房で産婆のお杏が事件を解いてゆく。

 連作なのですが最後の「室の梅」が出色。温室育ちで外の風に当てると枯れてしまう梅に若者の弱さをにじませ、人の生き死にを主人公の仕事とオーバーラップさせて描く手際は見事。はじめにすべてヒントを出しておいて、その上で最後まで読者を引っ張ってゆく腕力も確かです。やっぱりなあ、そうだろうなあと思わせる。私は平岩弓枝さんの後継者はこの人と勝手に決めているのです。

2001年11月27日

 いまさらボンジョレ・ヌーヴォーなんてと思いつつも、嫁はんが日仏協会の催す夕べに出かけると、こころ穏やかならず。今年はモンターニュ大使を招いてリッツ・カールトンで。気合が入っとるなあ。11時帰宅した嫁ハンはご機嫌で、おみやげに甘栗と「くじ」で当たったワインを1本。とたんにこちらの機嫌も良くなる。今年はこの10年来の最高の出来とか。さっそく開けてみる。香りがすごい。明日を考えず、3杯も飲んでしまって反省。

2001年11月15日

行く人来る人


ケン・キージーさん

 「カッコーの巣の上で」の作者。映画は良く出来ていて、ジャック・ニコルソンと看護婦のルイーズ・フレッチャーの演技がすばらしかった。ヒッピーブームの頂点にいたけど、後に隠棲。アイダホかどこかの牧場にいたらしいが、最近また脚光を浴びて、この作品は日本でも上演されるところでした。看護婦長の役はタカラヅカにいた安寿ミラさん。ほんとはこのようなストレートプレーより、ダンスを踊らせてあげたい人だけど・・・。

左幸子さん

 泥臭いしたたかな演技にたしかな味があった。「幕末太陽伝」のたくましい娼婦は出色。今村昌平監督との名コンビの映画は見ていないが、羽仁進との結婚では、あの羽仁家に入っていけるのかとおもったけど・・・(やはり後に離婚)。最近は見かけなかった。器用な人ではなかったものなあ。

杉浦忠さん

 もう、なんや悲しいなあ。長嶋が先天的なハッタリ、イチビリの坊やとすれば、こちらはまじめで温厚な紳士。ダイエーに身売りした南海の最後の監督。お別れのナンバ球場でのスピーチ、「行ってまいります。」には泣けました。旅先のホテルでの突然の死。痛ましいなあ。

おいしいもん食べたい

ブラジル料理「カイピリーニャ」

 周防町の北、東心斎橋にあるビルの5階。ライブもあると聞いたので、絶対あのサンバと期待していたら、肩透かし。ボサノバでした。料理は野菜中心で、量も少なく、あまりインパクトなし。味も淡白。サラダと椰子のお酒がおいしかった。プロの演奏の外、飛び入りで客も演奏できる。でも、みんなめちゃうまい。常連による寄り合いライブハウスとみた。ブラジル料理は改めて探そう。

最近読んだ本

「ヘンな疑問大辞典」  雑学博士協会

 ホテルのシングルベットに枕が二つあるのは何故?答えは「高さ調節の為」

 南極へ行くのにビザは必要か?いらないけどそれ以上にややこしい手続きが必要。外務省から各国の基地への連絡などで1年くらいかかるんだと・・・。ツアーは簡単らしいけど。

 というように、いろいろあって、寝る前にちらっと読むのには、気楽でよかった。

「忘我のためいき

 恋愛小説の名手、小池真理子さんによる男女優論。ジョニー・ディップから風吹ジュンまで彼女の好みの24名のスターたちが描かれる。もっと独断と偏見に満ちていると期待したのに・・・。ただすべて歩き方に注目しているところが新鮮ではありました。

2001年11月6日

 某夜、近くの集会場で開かれている落語の会に出かける。若手というより中堅(桂福車、春雨さん)を中心に2ヶ月に一度開いている会。ところが以前の会場であるちゃんこ鍋屋から新しい会場(新築の公民館、新しい畳の香りも新鮮)に移って、宣伝不足もあってか客がわずかに12名。それでも熱演した3名はエライ!ただいつもは隅っこでちびちび飲みつつ聴いているのに、今回は真ん中で、演者の視線を受けつつ飲むのはつらい(笑)。

 キリの演目は今の季節にふさわしく、あの、例の(題が出てこない!)てっちりの話。酒の肴には最適ではありました。

行く人来る人

 毛利菊枝さん

 関西新劇界の重鎮というより名優だった。群馬出身で東京で初舞台を。やがて京都に居を移し戦後も劇団「くるみ座」を主催して活躍。映画の「雨月物語」テレビの「信子とおばあちゃん」が強い印象。背筋の伸びた品のある老女を演じてすばらしかった。長岡輝子、北林谷枝とこの人、この3人が私のおばあちゃん役者ベスト3。
 
 晩年京都市内の稽古場の管理をめぐって、団員と対立し、裁判で敗れ、愛する京都を離れて静岡市内で今年8月亡くなっていた事が最近わかったそうです。享年97歳。不本意な晩年は本当にお気の毒です。劇団の運営って実に難しそう…。

もっと京都

 「對龍山荘」の庭は、禅寺の庭と違って明らかに客を楽しませる事に重点がある。待合(まちあいー小さなベンチ付きの小屋)から庭に入ると、3メートル余りの石の円柱が目に入る。実はこれは高床になっている書院の縁先手水鉢(えんさきちょうずばち)。高い書院の縁側から池を見下ろしつつ、水も使える仕組み。落差のある滝、池の対岸の水車小屋、周りを囲む木々の向こうは東山。ちょっとあざとい位に計算されつくしてあるのが(それに翻弄されるのが)こういう庭の魅力でもあり訪れる楽しみでもあります。


 南北70メートルほどの庭は高低が付けてあり、植栽に工夫が凝らされてイテ、もっと広く感じる。北側3分の1が広い池を中心に、南側はその池にそそぐ流れを溯るように小径と飛び石が続く。園遊会用の芝生の庭やあずまやもあり、今は菖蒲池になっているが、かつては農作業を楽しむというより農村の風情を楽しむ為の水田まであったという贅沢な庭。

 その庭を見はるかす書院や茶室は、持ち主の呉服店のお見立て会や茶会にだけ使われてきたというからもったいない話。そして、今回限りで、以後公開の予定はないそう。なんでやと問うと苔や芝生が傷むからと、明確な答えが。今でも庭師の御夫婦2人だけでが毎日かかりっきりなんだって…。

 うーむ。やはりもったいない。も一度訪れて、庭の中心にある「はぜ」の大木が紅葉するのを見てみたい。公開は11月末までです。


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