Kan-Kan の雑記帳


2003年9月29日

 彼岸花が日々色褪せて行き、黄金の稲が刈り取られ、金木犀の香りが漂い初め、季節がまた急ぎ足になりました。

 十勝沖地震の火災はまだ続き、高潮で行方不明と見られる人々の捜索も続行中。人災と天災の区別が付けにくい時代ですね。十勝ワインも年代物を含め、多量の損失だとか。

 毒蛇やスズメバチで命を失う人もいます。晴れた週末、六甲山へハイキングに出かけた友人の話。コースも整備され、随時町に下りられる道や、休憩所も多く、歩きやすい山だそうけど、やはり、危険はつきもの

 散歩に来ていた地元の主婦の話では、六甲山に毎日出かけていたその家のじいちゃんが、冬のある日から帰ってこない。好きな山でいなくなったんやからと、そのままにしてあるんだと・・・(探してあげなさいよ!)。


往く人来る人
夢路いとしさん

 飄々とした、耳にこころよい漫才でしたね。関西漫才会の重鎮だったけど、そんな重々しさはまったく感じさせない。亡くなった横山やすしがキレると「まあええやないか」となだめていたとか。その言い方が目に浮かぶようです。ハワイに住んでおられた下の息子さんが、急ぎ帰国するのを待っていたように亡くなったそうです。78才。肺炎。

ドナルド・オコナー

 ミュージカルスター。「雨に唄えば」での、ソファや一枚の板を使ったすばらしいダンスは、サーカスの世界にいたキャリアを活かしたもの。さわやかなキャラクター。主演のジーン・ケリーを喰わない、でも、自分も活かす好演でした。78才。心不全。

エリア・カザン

 ハリウッド、いやアメリカ映画を代表する映画作家、演劇人。ギリシア系移民として、苦労を重ね、やがてブロードウエイの舞台で成功、そして映画界へ。エデンの東、波止場、欲望という名の電車・・・送り出した名作は数知れず。でも、1950年代の「赤狩り」の時に仲間を売ったとされ、その「汚名」は亡くなるまで付きまといました。99年のアカデミー賞授賞式での、特別賞受賞でそれが一応晴らされたように見えたけど。映画以上にドラマチックな人生でした。94才。死因は不明。

青野先生の奥さん

 小学校の恩師の奥様。28日朝、母が電話して知らせてきました。帰省の度に、町はずれにある養護老人ホームへお見舞いに行っていたのだけれど。学生時代から帰省するたびに、よくお家に伺って飲ませてもらいました。ご主人を亡くし、子供二人は大阪、京都に。ご自身も元教師で、退職されてからも、町民運動会などで、行進を指揮されたりして、お元気だったけど・・・。友人でもあった母の声は寂しそうでした。92才。

クレメンス

 ヤンキースのエースが今季で引退。27日、ヤンキースタジアムでの最後の公式戦で勝利。通算勝ち星310勝。敵味方、そして4、2000人の観衆に拍手されてマウンドを降りる。すごい努力があったのだろうけど、幸せな野球人生。

 
 

2003年9月23日

 歯科医の話の続きです。行かなかった2年の間に、すごい設備などの進歩。各診察台の前にはパソコンの画面があり、撮ったばかりの自分の歯の映像や、待ち時間を利用してビデオなどが見られます。インフォームド・コンセントもさらに徹底している。その分、診察料に反映もしているようですが・・・。

 日光に初霜、初氷。一気に季節が進みます。河南町での休日テニスは、コートの周囲の稲田に彼岸花が咲いて、爽やかな風が抜けてゆく。1週間前の猛烈な暑さが信じられません。

 それでもしつこいのが残り蚊。一匹いるだけで、眠れませんね。残り蚊の しぶとさかこつ 厨妻。 

2003年9月22日

 ホンマに暑さ(寒さ)も彼岸までですね。朝の涼風には驚かされ(目を覚まさせられ)ます。自転車通勤に最適の季節になりました。やっと、コースも安定し、自転車に乗るコツもわかって来た感じ。自転車の流れを見て、あ、このコースが便利とか、車が少ないとか、安全とか見えてきます。でも、最短距離を全速力で走る同僚とは違って、あえて自分のコースをゆっくり走るように努めています。

 最近確定したお気に入りのコースは、羽曳野と藤井寺にそれぞれ残っただ一つの醸造元の前を通り、まっすぐ「藤井寺さん」の山門に向かう。そこで一礼して、商店街を抜け、大和川の堤に上る。北側の土手をまっすぐ西に2キロ、このサイクリングロードが気持ちいい。いつも会う、おもろい人々。後ろ向きに歩きながら(道の端に白いラインが引いてあるから大丈夫?)読書しているおっさん、ハーフパンツに上半身ハダカで、大きな麦わら帽子、右手に脱いだランニングシャツ、左手に大きな携帯ラジオを持って、それを聴きながら散歩している初老のおじいさん。いつも同じ場所で立小便している自転車通勤途中のおじさん(家でしてこい!)。これらの人に会わないと、却って心配する日々です。

 2年ぶりに歯医者に行きました。少し奥歯が滲みるから。実は歯医者ダイスキなのです。あの、診察台の寝心地がいい。治療中に寝てしまうこともある。きれいな女医さんに親切に説明してもらって大満足。あと2,3回で終わるのが惜しい。でも、同僚のT氏に言わせると、もっとスゴイ女医さんが羽曳が丘にいてはるとか。知的な美女で、彼女が歯石を取るとき、力が入って豊かな胸が患者の頭にかかって・・・。彼は3ヶ月に一度検診に行っているらしい。そちらに換わろうかと真剣に悩んでいます。

往く人来る人

レニー・リーフェンシュタール

 映画ファンにはため息しかない。すばらしい才能、強い意志。でも、映像作家として活動させてもらえなかった。時代と少しズレたらよかったのかなあ。ヒトラー時代のドイツに生れなかったら・・・。でも「民族の祭典」、「美の祭典」の名作、アフリカ、海洋のみごとなドキュメンタリーを残せたのだから、それでいいのでしょう。それは神の意志かもしれない。同時代のアメリカの映像の異端児、オーソン・ウェルズを思います。すべての力を出し切った天才なんていないのでしょう。80まで生きて、作品をもっと残したランボーや、モーツアルトなんて、やはり想像できません。

チャールズ・ブロンソン

 マンダムのコマーシャル「男の時代」で一時代を築いたけれど、もとはロシア移民の地味なアメリカ俳優でした。でも、不思議にフランス映画で光りました。アラン・ドロンと共演した「さらば友よ」でも、ドロンを喰っていました。個人的には「雨の訪問者」の音楽と彼のコート姿が頭に染みついています。

グレゴリー・ハインズ

 フレッド・アステアやジーン・ケリーの後を継ぐべきダンサーでした。でも、映画はミュージカルの時代ではなく、その力を十分発揮できないで終わりました。ダイナミックなタップは映画1,2本のみ。ミュージカル映画復活といわれる今に亡くなった寂しさ。

河原崎長一郎

 いい俳優でした。ヒーローでなく庶民のやさしさ、たくましさ、哀しさを出せる役者。ドラマ「花遍路」のヒロインの夫なんてぴったりでした。脳梗塞で倒れ、長い間療養していたのですね。気の毒でした。喪主である奥さんは女優の伊藤栄子さん。 

2003年9月18日

 酔って帰って、テレビをつけたら、ドラマをやってました。しんどいので、ドラマはあまり見ないのですが。「娘よ」。すぐわかりました。劇団民芸の舞台「君はどこにいるの」の焼き直しです。一路真輝と杉浦直樹の力演はあるけれど、やはり、あの舞台の香気には及ばない。大きな病を抱えたまま年頃を過ぎた娘と老作家の父。荒っぽい言葉のやりとりのなかに、深い哀しみを秘めた親子の交情。その中に、娘の体をむしばんでいった戦争への強い憤りがたぎる・・・。奈良岡朋子と大滝秀治の息詰まる演技に涙した記憶が蘇りました。

 今夕も夕顔が咲きました。これでやっと3輪目です。

 自転車で通うようになって、あちこち寄り道の楽しみが増えました。同じ自転車通勤仲間と、今夜は八尾南の飲み屋で軽く一杯。とりあえずの生ビールはもちろん、珍しい紫蘇焼酎があって、そのお湯割りがおいしかった。そんな季節になりました。

2003年9月14日

 もうスゴイ残暑で、参ってしまいます。夏は大好きで、冷夏にやきもきしていたのですが、8月末からの強烈な盛り返しにはうれしさより、驚き、戸惑いが先行。まるで、もうあきらめていた美女からいきなり逆モーションをかけられたよう。

 それで、3キロ太ってしまいました。すべて、美女、もとい「帰ってきた夏」が悪いのです。暑いからと、毎夜のビール、休日のテニスの後のビール、夏をぶっとばせだの、なんだかんだの宴会の数々。うーむ。明日のテニス市民戦では動けるのでしょうか? 今日は明日に備えて、軽くウォーミングをと言いつつ、朝から仲間と4時間も炎天下でテニス、帰りにファミレスで大ジョッキ2杯。夕刻、一日早い「敬老の日」ということで、義父母と某レストランで企画された「季節はずれのクリスマスディナー」(両親には内緒ですが、一人2、000円ー安い!)に出席。これが質量ともに意外な拾いもので、「おこぜのクリーム煮」などめちゃうまかった。パンも食べまくる。こりゃだめだ。

 今日テニスした同僚のkとは身長、体重ともに一緒なのです。今日の昼、二人でビールを飲みつつ、指折り数えてみると、なんと職場(約60名)でわれわれ二人が最大体重であることが判明。固くダイエットを誓い合ったばかりなのに。とりあえず、明日の勝負結果にかかわらず、祝賀会、反省会はしないことを決意しました。さらに、さっき読んだ新聞に「ボリショイバレーのプリマが体重オーバー(60キロ後半とか、そりゃパートナーは持ち上げられないやろな)で解雇」ってあって、ドキッ。とりあえず、目標80キロ突破(下に)です。

 蝉の声がぱったり止んで、やっと朝夕の涼風が来るようになった頃になって、我が家の夕顔が咲き始めました。匂いはいいけど、小振りで心なしか元気がない。これも残暑のせい?

 卒業生の何人かから、阪神優勝したら、道頓堀に飛び込みますとの予告メール。言うてもきかん奴らじゃ。他の教え子が送ってくれた、道頓堀の水の顕微鏡写真(こんなのまで出回っている日本は平和)を転送してやったけど、あかんでしょうね。


2003年9月7日

 「今朝の秋」ーやっと残暑に翳りがでてきました。山田太一のドラマ「今朝の秋」のラストシーンは、初秋の蓼科高原の、老いた主人公(笠智衆)の住居をさりげなく映して終わります。庭を渡る風、揺れる木々の葉、仏壇から線香の煙が揺れ流れ、真新しい息子の遺影が笑っている・・・。

最近読んだ本

「ほっこりぽくぽく上方さんぽ」  田辺聖子

 オール読物連載中もおもろかったけど、それがまとまりました。出不精の作家を引っ張りだして、上方の各地を歩かせる。ちと冗漫なところもあるけれど、深い古典への教養と愛情に裏打ちされた、文章の冴えとユーモアは流石です。阪神大震災後の神戸、淡路の描写も胸を打ちます。

「こんな女でなくっちゃ」 佐藤愛子

 前半は新聞の身の上相談風で、佐藤さんの怒りを引き出そうとする意図がミエミエ、鼻白む。でも、後半の自分の家族を語る部分でめちゃ面白い。最近「血脈」が脚光を浴びているけれど、確かに父、紅緑をはじめとする佐藤家の一族のありかたは只ではありません。

「わたし、へんでしょ?」 藤山直美

 今や大舞台女優。でも、高校時代などの芸能界から外れていた時期が、いい意味で彼女の中の、天才と普通人のバランスを保つ役に立っていると思う。普段でも決して「藤山直美」という名を利用しないという姿勢は、えらいと思う。古風でいて、モダン、天才を正確にコントロールできるリベラルさ(自分をきちんと見る目があると思う)。これからも伸びてゆく人材のようです。



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