Kan-Kan の雑記帳


2004年12月31日

 故郷の家の正月準備を慌しく終えて、30日帰阪しました。

 今年最後の1日。賀状をやっと仕上げて、郵便局へ。その後、雪で高速が閉鎖の為、迂回して峠道を走って仲人の家へ27回目のお歳暮を届ける。恒例の「越乃寒梅」は何故か(もちろん震災の所為)例年より2000円高かった。

 畝傍山裾のお宅は座敷の床の間に刀、新年の屏風が用紙されて迎春の仕度は完璧、完了。ただ、新聞社に勤めている長男がひとり自分の部屋の掃除をしてはる。今朝の誘拐殺人犯逮捕まで2日間カンヅメだったらしい。納得。でも、捕まってほんとによかった。

 仲人への挨拶もそこそこに雪道を引き返したら、山道で向かってきたオートバイがスリップして転倒、さーっとこちらに滑って来る。あと1メートル、間一髪でした。運転手は無事に起き上がって、バイクも無事。安心。辿り着くと、うちはこれから掃除機をかけるところでした。

 そういえば、友人の勤務校の、アメリカから来ている英語教師がタイに旅行中で、まだ、連絡が取れていないとか。心配です。最後まで「災」の字に振り回された2004年だったのかもしれません。でも、おいしい酒を飲みつつ、紅白歌合戦の見事な衣装に見とれて、年を越して行きます。

 では、みなさま、よいお年を。

2004年12月24日

ビデオ「父と暮らせば」


 今年、話題になった映画の9年前のオリジナル舞台版。井上ひさしのよい点がいっぱい溢れた二人芝居で、読売演劇大賞を受賞したのも頷けます。

 昭和23年ヒロシマ。一人暮らす地味な娘のもとに原爆で死んだ父が現れる。父を見殺しにしたことで自分を責め、幸せになることを拒否する娘に、前向きに生きることを懸命に教えようとする父・・・。笑いながら、泣いてしまいます。

 すまけいの演じる父がすばらしい。梅沢昌代さんの娘も。本来、美人ではない設定なので、映画化に際して宮沢えりちゃんを起用したのが、どうなっているか?映画を見たいと思います。


最近読んだ本

「あの頃」 「遅すぎた男の反省」  小川宏

 NHK出身で民放の朝のニュースショーの草分けの一人となった人ですが、最近鬱病だったと聞きました。こんな時に回顧的エッセイを書くものではありません。アナウンサー時代のこぼれ話は面白いけれど、浮気の話など聞きたくありません。2冊の内容もかぶっていて、編集をきちんとしろと言いたい。NHK出身のプライドを捨てようとする気持ちはわかるけれど、それは場所と時を選ぶべき。

「言葉で凛と!女をあげる」  黒田あゆみ

 こちらはプライドを捨てきれない人。東大出身でNHKの看板アナ。一時離婚がなんたらで引き気味だったけれど、また最近よく出ています。NHKを出るという噂もいつもありますが、よほどのチャンスを見ているのでしょう。こちらはもっと自分をさらけ出さなければ、エッセイの意味なし。

「夢がかなう法則」  三矢直生(みつやなお)

 タカラヅカで黒木瞳さんの同期。宝塚音楽学校首席卒業、スターにはなったがトップにはならず退団、その後東京芸大でクラシックを学ぶ。めちゃがんばりやさん。こんな生き方も後輩や音楽ファンの大きな励みになる。

2004年12月14日

先週のこと。
 横田めぐみさんのものといわれた遺骨が偽もの、それも2人の骨を混ぜたものというニュースに怒り爆発。絶対、許せん!経済制裁すべき!と叫んでいたら、下の息子が、おとうさん感情的になったらあかん、いつも対話を絶やしたらあかんというとったやろ、ここは冷静に交渉をを継続すべきやで、と言う。でも家族の気持ちを思ってみよ!と言いつつ、いつも過激な(ミサイルぶち込め!とか、死刑や!とかすぐほざく)息子がなんと穏健な発言。就職決まったら人生観変わるんかと言うと、いや、強く出ると、生きているかもしれないめぐみさんやその他の拉致被害者が危ないのと違うやろかと真剣に言う。うーむ。それも一理あるか。でも、飢えている子供達は気の毒やけど、これだけ人道に反することをされて人道的支援を続行というのももう限界という気もするなあ。経済制裁(制裁という言葉はいやだけど)にも段階があるので、ある程度の強い姿勢は見せたほうがええんちゃうかなどと、息子とあれこれ話したことでした。

 毎朝、7時半前に羽曳野市の軽里保育園の前を通ります。子供を送ってくる親達とすれ違うことが多々あります。ネクタイをしたお父さんがママチャリで必死で漕いで来る姿もよく見ます。2日前、小学校3,4年と思われる男の子が自転車の後ろに弟を乗せて漕いでくる。前の荷物入れには一杯服などが詰まっている。後ろを振り向き、笑顔で幼い弟に話しかけながら、結構なスピードで園に向かっている。ほほえましいというより、なにか胸が熱くなってしまいました。兄弟っていいなあ。

 16年乗り馴染んだ愛車と別れました。クーラーも効かなくなり、今年の暑い夏はちょっと厳しかったのです。走行距離も伸びず、そろそろ限界だと思われ、十分もとは取れましたよとの教え子でもある営業マンの言葉にも納得。でも、道具にもこころがあると思います。最後の夜は、車内の掃除をしつつ(普段はほったらかしなのに・・・)あちこち擦ってやりました。機械でもこれだから、ペットやましてや人との別れは耐え難いものがありますね。ペットは飼わず、人とも別れを覚悟してきれいに付き合うようにしようと思います。

2004年12月9日

中国への旅3 その19

 最後の日(7月30日)は「万里の長城」へ。高速道路を1時間あまり。月からも見えるという人類最長の建造物にたどり着く。さすがのスケールに圧倒されました。行くまでは、荒涼たる山々を縫って・・・というイメージでしたが、この北京付近の山は雑木が茂って、緑の山並の上をくねくねと城砦が続いて美しい。ここにも世界中の国の人が集まっている。

 近年、新しく作ったものもあるけれど、明時代のものが多く、それ以前のもの、まして秦時代のものはもはや残っていないのです。崩れている部分もあるけれど、修復しようとする気配もないのはきりがないからでしょうか。もっと整備すればいいのにと思うけれど、その必要ないくらい客が来るのでしょうね。それにしても、ここまでのものを造った国、造らせた隣国の強大な力関係を思います。

 ここでも土産物を売りまくり、売り手はどこまでもしつこくついてくる。それをかわしつつ、体調を崩した友人たちを気遣いながら、それでも近くの高みまで登って大満足。前日の雨の時に来たら絶対登れなかったと思われる急勾配。やはり日程を振り替えて来てよかった。

2004年12月6日

 中日ドラゴオンスがドラフト6位で指名したのは難聴の三菱重工の投手。名前が息子と一緒。思わず応援してしまいます。

 今年の日仏協会主催のボジョレーヌーボー鑑賞会もハイアット・リージェンシーホテルで。ひろびろとした気持ちのいホテルです。バブルの名残とは思いつつ、おいしい料理(フランス領事もきているのでホテルも気合が入っている)と飲み放題につられて今年も出かけました。去年はアトラクションに嫁ハンのライヴがあったのでゆっくり飲めなかったけど、今年は4日間の禁酒の後でもあり、意気込みが違いました。


 そのボールルーム。職場から駆けつけた私のいでたちは、青のスエードのブレザー、青いズボンに白いシャツ、ベージュのスカーフ、足元はテニスシューズというカジュアルさ。スーツとカクテル、イブニングドレスの会場ではまったく浮いてました(苦笑)。

 この寒空に肩を出した美しいドレスの若い女性達・・・これだけで来た甲斐あり。嫁ハンの目を盗んで声を掛けまくる。黒いドレスの長身の美女に・・・。


「 あの、失礼ですが、麻美れいさんですか?」

「 いえ、違います。」(名札を見ればわかるけどね)

「 あ、でも似てらっしゃいますね。よく言われません?」

「あ、よく言われます。口が大きいからでしょ?」(微笑)

「いえ、お美しいからですよ。」

ここで後ろから嫁ハンが登場(来んでもいいのに)。

「歌、歌ってらっしゃるのでしょ?」

あ、わかります?などと二人で専門的な話に移行、おもろない!

飲みすぎ、食べ過ぎて、アトラクションでワインも当てて、ご機嫌で帰還。深夜、息子達とワインで再度乾杯。

4日間の禁酒はもう跡形もなし・・・折角3キロ近く減ったのに・・・。


中国への旅3 その18

 「天壇」は初めて。広大な敷地に青瓦の塔が晴れ上がった青空に聳えて美しい。瓦の微妙な大きさの違い、並べ方、作製の大変さを思います。ここも人がいっぱいでした。

 夜は北京ダックを食べに繰り出す。旅行中、ここだけ一流のレストラン「全聚徳」を押さえてもらっていて、さすがに味はおいしい。でも気になったのは「小皇帝」。子連れの親が一人っ子を甘やかして、餓鬼がテーブル間を走り回る。長い包丁を持ったシェフがテーブルに運ばれたダックを裁いてくれているので危ない。「じゃかましい!」と叱ったらきょとんとしていました。どこかの国と同じようになるのではと心配です。

 友人たちの多くは、連日の中華料理に参り気味で、その夜、おなかを壊した人が多かったのは残念でした。 

2004年12月5日

 奈良の女児誘拐殺人事件。知人の新聞記者によると、とても報道できないむごい状況もあったのだそうです。捜査は進んでいるのでしょうが、こんな犯人を野放しにはしておけません。怒りと不安が募ります。

 テレビで歌を聴いて泣いたのは久しぶりでした。島津亜矢さんの歌う「帰らんちゃよか」(九州の方言で帰らなくてもいいよという意味でしょうか)。都会に出た子供を思う母の気持ちを歌ったものです。老人夫婦で寂しさに耐えながら、でも、故郷や親を言い訳にしてはいけない、自分の生きがい、仕事を追求しているか、自分の行きたい道を貫きなさい、みかんを送るけんね、帰ってこなくてもいいよ、と結ぶ。かつての「帰ってこいよ」に代表される、田舎中心主義ではない、さだまさしの「案山子」とも少し視点の違う、現代の親のやさしさ、せつなさ、孤独が胸を打ちました。


もっと京都

暮れの楽しみ、顔見世と京都1泊の旅

 「顔見世」は市川海老蔵の襲名披露を兼ねて。7月の松竹座の公演の「源氏店」(げんやだな)がイマイチだったので、今回の「助六」には期待しました。でも、裏切られました。やはり、セリフ廻しがよくない。見場がいいだけに、残念至極。アンサンブルの大事さがわかっていないというか、訓練不足なのではと思います。

 相手役の揚巻を演じる尾上菊之助がすばらしい出来だっただけに余計です。衣装も見事で、脇役も熱演だったのでこの主役の責任は重い。マスコミはじめみんなが褒め過ぎて天狗になっているのでは・・・。今後が心配です。

 あとの演目「石切梶原」は片岡仁左衛門が流石の演技。「隅田川」が中村鴈治郎の息子を誘拐された母が東国まで捜し求め、死んだ息子の供養にめぐり合うという哀切な話を力演。同行の友人はなんで今更この古い話(謡曲「梅若」が元になっているのですね)をと愚痴ってましたが、私は横田めぐみさんのご両親のイメージがだぶって、こころ揺さぶられました。

 4時開演、終了は9時半。毎度の古都、失礼、事ながら長すぎると思います。外に出ると大雨。先斗町の誰も客のいない店で、雨宿りがてら軽く飲んで、ホテルに向かいました。

 朝はゆっくり。ホテルから望む東山の紅葉が美しい。二条通りを歩いて、街角の喫茶でモーニングを済ませ、「細見美術館」へ。伊藤若沖や琳派のコレクションが充実していて見ごたえありました。小雨の中、南禅寺そばの「何有荘(かいうそう)」で紅葉を見て、電車で伏見稲荷まで。

 お稲荷さんの社殿の舞楽を横目に、「石峰寺(せきほうじ)」へ。黄檗宗独特の中国風山門に味がある。そこに至る坂道もいい。振り返れば西山がくっきりと見える。急に晴れてきました。ここは若沖が晩年、庵を結んだ場所で、墓もあり、裏山には彼がコーディネートした5百羅漢が並んでいます。木漏れ日を浴びた石仏の表情の豊かさがいい。そして帰りはまた雨。京の気まぐれな天気に何度傘を出し入れしたことか。でも、充実した2日間でした

2004年12月4日

 前にここで紹介した藤井寺の小さな飲み屋「薫」ががんばっています。おかあさんはこの夏の暑さに参って(もう80を超えているんだもの)7月から10月まで店を閉めていましたが、10月から再開。私も店頭の電気を付け替え、入り口の惹句を書き換えて応援。ぼちぼち客も来ているようです。大和上市の兄弟が帰って来いと言っているようだけど、気楽にモーニングに行ける生活を楽しみたいから、もう少しがんばるというてはります。

 めまぐるしい忙しさだった11月が過ぎて、師走。また走れというのでしょうか。でも、忙しいときこそ遊べるのも事実ですね。仕事上の大きな課題が終わった休日の朝、気持ちいい朝方の「二度寝」の夢に・・・関東のある町を旅行中に携帯電話を失くしてしまって焦っている・・・でも、途中でこれは夢だ、目が覚めれば枕元に電話があるのだと気づいて安心する・・・そして目が覚めました。さて、これから「顔見世」に行ってきます。


最近読んだ本

「歌って踊って大作戦」 林真理子

 うまい!裕福な若い美しい女性のもつ意地悪さを描くシーンなんか流石。ダイアナさんの来日時、英国大使館のパーティで、彼女が東洋人に対する嫌悪感をあらわした瞬間を見逃していないのも・・・。

「i めぇーる」 田辺聖子  

 お年を召されても、感性はみずみずしい。立派。

もっと京都

「職寶苑(しょくほうえん)庭園」

 秋の特別公開に行ってきました。東山の借景をこれほど見事に使った庭園を知りません。

「八百卯(やおう)」

 2条通り梶井基次郎の「檸檬」に登場した八百屋さんのモデルとされる店。さりげなくあるのかと思ったら、それを目一杯売り物にして(もちろんレモンも売っている)のがちょっと興醒め。つくりは普通の果物屋。2階はパーラー。

「カフェ・アンデバンダン」

 三条御幸通にある1928ビルの地下にあるカフェ。もと、毎日新聞社の建物だっただけに、レトロが売りもの。さびれたレンガと壁でちょっとアメリカの都会の場末のイメージがいい。夜はライブハウスに変わるそうです。

「新風館」

 旧京都電話局の建物は外観だけ残して、中はすべて刳り貫いて、真ん中を吹き抜けにして40余りの店舗が入ったおしゃれなスポットに。試みはめちゃいいと思うけど、中の店をもっと充実してほしい。でないと飽きられてしまう。今は人がたくさん来ているけれど・・・。
映画ダイスキ

「ハウルの動く城」

 今度は、期待して出かけたのですが。すこしがっかり。もちろんアニメのファンタジーとして映像的に世界最高水準にあることは十分認めた上での話。原作に引きずられ、あれれもこれもと欲張ってしまったのかな?「弱虫でいい」というテーマも声優を務めたキムタクのせいもあるのか、最後は「愛するものの為に勇気を出して戦う」なんて安易なかっこいいヒーローに摩り替わり、なによりハウルが誰と戦っているのかも見えない。「案山子」や「炎」という意味深いキャラクターを生かせてません。

 でも、美しい映像だけで1600円払う値打ちはありますが・・・。宮崎さん、ちょっとお疲れかな。晩年の「乱」、「影武者」以降の黒澤明監督の一時のありかたと似ているようです。もっと気軽に、作ってもいい。





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