Kan-Kan の雑記帳


2004年3月30日

 六本木ヒルズの回転ドアでの事故死が問題になっています。ビルや、ドアの構造、センサーの機能…その点はあるにしても、あぶないことはわかるはず。そこへ飛び込んでいった男の子や、側にいた母親にも責任はあります。たしかに気の毒だけど、死者や遺族を鞭打たないという暗黙の了解の元、世間もマスコミもこぞって矛先が一方に向う在り方に疑問を感じます。

 オリンピック全豪の水泳自由形400M予選でフラインング失格したイアン・ソープについて、2位の選手に辞退せよ(そしてソープ復活)との声があるとのこと。辞退したら行くのは3位の選手のはず。高橋選手といい、ソープ選手といい、騒ぎすぎだと思います。

最近印象に残った言葉

 どこまでも信じてあげる。たとえ人を殺しても、我が子として抱きしめてやる。その愛情と覚悟があるかどうかです。子どもはひとりぼっちにしてはいけない。おとなでさえひとりぼっちには耐えられないのですー重松清さん

 養鶏場の会長夫妻の自殺にー「死ぬ必要なんてないのに、鳥インフルエンザで殺された日本人なんてひとりもいないのだから」感染を知りつつ出荷したなら世の中に顔向けできない…そんな見方をおそらく、当人たちも含め大勢が共有していたであろう「ニッポン共同体」への懐疑…世間体と呼ばれるような暗黙の了解事項で、自己も他者も縛る人々の集合。それを揺さぶることこそ…

 「今わたしがこの国に生きる子どもだったら、想像力の暴走を阻止する希望を見つけるのは極めて難しいと思う」ー村上龍さんへのインタビュー記事から

 相手投手の癖・・・一流選手は自分の目で盗んでチームメートにも漏らさない。だが、癖を知ることを嫌がる選手もいる。配球を読み切ったら、力んで明らかなボールにも手が出てしまうー読売新聞の記事からーなるほど。

行く人

ジャック。モイヤーさん(海洋生物学者・自殺・74歳)

 50年以上前になりますね。朝鮮戦争で来日、三宅島に惚れ込んで、島に住む野鳥の保護に奔走し、87年からそこでサマースクールを開いていました。あの噴火で長い避難生活。生きがいを失ってしまったのでしょうか。残念。

高木均さん(俳優、声優・心不全・78歳)

 新劇俳優というより、トトロの声、なによりムーミンパパの声が懐かしい。

ピーター・ユスティノフ(英国俳優・死因不明・82歳)

 2度アカデミー助演男優賞を受けた名優が、スイスの小さな町の診療所で亡くなったという知らせ。隠遁生活を送っていたのでしょうか?オードリー・ヘプバーンもチャップリンも最期はスイスでした。1980年前後に、オールスターで映画化されたアガサ・クリスティもので、名探偵ポアロを飄々と余裕をもって演じていました。

尾上九朗右衛門(歌舞伎俳優・肺炎・82歳)

 近代の名優、6代目菊五郎の長男でありながら、病気もあって、はやくして日本を出てしまいました。ハーバード大学で演劇を教えたりしていたらしけれど、日本に帰ってこなかったのには、歌舞伎の世界のしがらみ、名門の長男としての葛藤など、深い事情があったのでしょう。知りたい所です。移住先のハワイで3月28日死去。

最近読んだ本

「開化の殺人」   芥川龍之介

 初恋の女性が野卑な男と家紺紙凧とを知ったロンドン帰りの医者は巧妙な手で憎い男を毒殺する。しかし、恋しい人の次の夫は自分の親友だった。新たな苦しみと誘惑が彼を襲う。短いけど良く出来た話です。タカラヅカ向きかも。

「優しすぎて怖い」   ジョイ・フィールディング

 ボストンに住む主婦である主人公は晩春の午後、買い物に出て突然、自分が何者かわからなくなる。印象的な出だしから、読者を一気に引き込むサスペンス。語り口はめちゃうまい。出来すぎた小児科医の夫はやさしく彼女の記憶回復に尽力するように思えるが…。読者に親切すぎて(?)途中で結末がすべて読めてしまうのが難ですが、面白い。サリー・フィールド主演で映画化されたそうだけど、日本での封切りはあったのかなあ。

来る人

永井愛さん

 劇作家・演出家、「この人のこんにちは、母さん」は傑作と思います。加藤治子、平田満のキャスティングもすばらしい。

 

2004年3月29日

 讃岐うどんブームです。でも、昨年春オープンした京都先斗町(とうとうここまで進出)のセルフの讃岐うどん店は年末にはもう閉店していました。

 私は昔からの麺食い。香川の息子の下宿へいったときは三食うどんです。それでも行きたい店には行ききれないので、仕方なしに頒布会に申し込みました。

 今月は丸亀の「中村」。たっぷりのお湯で茹でて十数分。ザルに移し冷水でもみ洗い、私は暖めておいたダシで「ざるうどん」としていただく。嫁ハンはあらかじめ器で割りほぐした玉子の上に麺を入れ、醤油で味付けした「釜玉うどん」で。さすがにこしがあって美味でした。

最近読んだ本

「あかね空」山本一力

 中年男性が電車の中で読んで泣いていたという噂はホンマ?正直、読んだ後も泣けませんでした。その理由は、人情時代劇に必要なカタルシスに欠けるのです。最初魅力的だった主人公夫婦が、不和になり、亀裂が深まり、人間性もだんだん変質してくるのが、そんなこともあるだろうなあとは思いつつ、やりきれない。息子たちの世代になっても確執は続きます。あれで終わってしまうのは寂しい。一昨年「家族力」という言葉まで生んだ作品の力は一体なんだったのでしょう。

「岸和田少年愚連隊」中場利一

 これもベストセラーでした。でも、そのパワーは今も変わっていない。壮烈な暴力シーンも、嫌だけどいっそ清々しい。こんな青春も確かにあったのでしょう。今の方がより無気力、陰湿、不透明になってしまって、若者がかわいそうな気もします。

ふるさと四国

 27日、晴れ上がった土曜日の朝、2tレンタカーを借りて、出発。阪神高速の渋滞で時間が掛かったけれど、明石海峡大橋を渡るころはスムースに。淡路の山々には桜がさいて柔らかな色調の美しい田園風景が続く。四国に入ると更に車は少なくなる。高速を飛ばして高松へ。息子は前夜も送別会で荷造り半ば、叱咤激励しつつ荷造りし、冷蔵庫、洗濯機などを積み込んで愛媛の実家へ。7時到着。納屋と空いている部屋に荷物を運んでやっとビール。しばらく荷物だけ預かってもらうのです。

 28日、愛媛の桜はそろそろ見頃。故郷の家の庭は木蓮、白いチューリップ、レンギョウ、沈丁花、色濃い花ズオウ、桃などの花盛り。息子と父は竹の子の初採りへ。私は庭のレモンを手早く採り、伊予柑をもらって9時出発。11時半、再度高松到着。息子の下宿近くの話題のうどん店へ。もう50人以上が並んでいる。田畑が残る住宅地の裏の細道なのに。結局諦めて引き返す。息子の話によると、なんでも製麺所の経営で、昼の1時間だけ営業、料金は犬のえさ入れ各自入れ、ダシはなんとシャンプー入れに入っているという…食べてみたかったなあ。残りの荷物を積み込み、大家さんに挨拶して、鍵を返して高松を後にする。息子と交互に運転するので大分ラク。鳴門で名物、淡路ソフトクリームを食べ、明石海峡大橋を望むサービスエリアで夕陽に染まった大橋と明石、神戸の街並みを眺める。この時間が一番美しいと思う。阪神高速を経て、最後は開通したばかりの南阪奈道路を少し走って羽曳野インターから自宅へ。夜8時半到着。荷物を降ろしたら9時過ぎ。忙しい2日間でした。

 29日、朝、レンタカーを返しに行くと、早かったですねえと1日分の料金を返還してくれる。一応3日間予約していたのですが、それでいいのですかと思わす問い返す。ラッキーでした。

逝く人

下川辰平さん(俳優・敗血症・73歳)

 味のあるしぶい脇役でした。刑事、職人、頑固オヤジが似合う、いい顔をしてはりました。

三ツ矢歌子(女優)

 はなやかで親しみやすい笑顔。昼メロ主演の時代もあったようですが、この人も脇で生きました。貴重な脇役が消えて行きます。

2004年3月24日

 揚げひばりの声を聞きつつ気持ちよくサイクリング出勤した翌朝は冷たい雨。でも、あちこちの櫻は大分ほころんでいますね。週末からの四国が楽しみです。もっとも息子の引っ越しに伴う2tトラックでの旅ですが・・。その息子は今日が大学の卒業式。さっき電話したらコンパらしく、グデングデンでした。誰に似たのか、困ったものです(苦笑)。

 ハルウララは連敗を重ねても、武豊で負けても、客が詰めかけ、尻尾の毛までも売れているようですね。競馬場のある高知はもう春真っ盛りでしょう。故郷愛媛の実家も、明正寺櫻(みょうしょうじざくら)がもう散って、庭一面ピンクだそうです。

往く人

寺島尚彦さん(作詞・作曲家、肺しゅよう、73才)

 心打つ「さとうきび畑」の作者として残ってゆく人です。

いかりや長介さん(コメディアン、俳優、頸部リンパ節癌、72才)

 近年は俳優として渋い演技を見せました。この人の番頭役で「放浪雲」を見たかった。

四世 井上八千代さん(京舞元家元、脳梗塞、98才)

 朝日新聞の一面トップの扱いに驚きました。御座敷舞を芸術の高みにまで持ち上げました。たくさんの名妓や舞手を育て、息子を一流の能楽師に仕立て上げ、孫娘に家元を譲り、白寿まで生きて「都おどり」の直前に亡くなられるなんて、厳しい人だったみたいだけど、去り際までも折り目がきっちりして、美しいと思います。

2004年3月21日

 好天の一日、息子の帰宅(大学を卒業して来週、香川から帰ってきます)に備えて部屋の移動と模様替え。この際、服や書籍、書類、スクラップなど、あれこれを処分しようと思うのですが、つい読みふけったりして難しい。

最近印象に残った言葉

 「酒を飲め。土の下には友も無く、また連れも無い。眠るばかりで、一滴の酒も無い」だれの言葉か忘れましたが、その通りですね。

 『チベットではホテルのベットサイドに酸素吸入器がある。空気が薄いので、タバコはまずい。一生懸命吸わないと消える。酸素吸入しながら飲むとウマイ(そこまでするか!?)。

 海抜マイナス400メートルの死海では逆。呼吸が楽、厚い大気の層が紫外線を遮断するので、日焼けもしにくい。死海では泳げないので、ただ浮いて、新聞紙を帆にして流されて行けばいい、溺れる心配はないから…』(島田雅彦さんの文章から抜粋)

 ナルホド、でも、どうやって沖から帰ってくるの?

最近読んだ本

「クライマーズ・ハイ」

 群馬の地方新聞を舞台にした、人間ドラマ。御巣鷹山への日航機墜落事故の日に、谷川岳、伝説の衝立岩に登ろうとしていた新聞社の男二人。1人は当日未明、脳溢血に倒れ、もう1人は出発直前に事故を知り、日航機事件の全権デスクに指名されて山には登れない。未曾有の事件に興奮する新聞社の内部状況がよく描かれている。報道のあり方、父と息子の葛藤を、最後は二つの世代の登攀シーンで締めくくるけど、結末は少し甘い感じ。

 題名は登山時の高揚感を指すのですが、ランナーズ・ハイ(一度だけ経験あり)と違って、その後に大きな恐怖感が襲ってくるのだそうです。「降りるために登る」この作品のテーマは人生にも通じるところもあるのでしょう。主人公は地方のさらに支局で記者生命を全うしようとします。

2004年3月19日

 ぽかぽか陽気に一気に「桜咲く」と思われると、一転、冷たい春の雨。花見の相談は難しい。年度末の忙しさの中で打ち上げも、送別会も・・・。心騒ぐ季節です。終業式が終わって春休みと違うの?教師はいいね、という声も聞くけれど、それは昔の話。編転入考査、中学訪問、新年度の準備もあって、私の今年の春休みは、年次休暇の1日、3月29日を含む三連休です。会社に行っている友人達になかなかわかってもらえなくて残念。お気楽なことをこのHPに書きすぎているからかなあ。

 ある部会の打ち上げの帰り、かねてやってみたかった「ピンポンダッシュ」に挑戦。5人ほどで回り道して、その夜の宴会には参加していなかった同僚(女性)の家の前に。年長の私がインターホンのボタンを押して「散れ!」。電信柱、隣家、生け垣の陰にそれぞれ隠れて振り返ると、なんと若手2人が逃げないで、出てきたご主人にペコペコ頭を下げている。ルールを知らんやつはしゃあないなあと出ていってこちらもご挨拶。そこへ風呂上がりの同僚が頭にバスタオルを巻いて現れ、大笑い。冗談のわかるご主人でよかった。ま、こんな事をして、報告しているから、暇だと思われるのですね(笑)。

最近読んだ本

「花ゆらゆら」  出久根 達郎

 花にからめた自伝エッセイ。絵もきれい。その汁が洗剤になるのでシャボン(フランス語)ーサボテンというのを初めて知りました。

「まだふみもみず」  檀 ふみ

 独特の感性。文章もうまい。最近、オーストラリアで舞台デビューしたのですね。それも英語で。

「なぜ人はおそろしいことをするのか」  曾野綾子

 いつもながら目からうろこという点が何カ所か。
奈良へゆくなら

 晴れ渡った春の日(14日)、名残の梅見に奈良へ。

菅原神社

 西大寺の手前。菅原氏発生の地といわれる。盆梅が最後の見どき。屋内にあるので香りが籠ってすごい。

喜光寺(きこうじ)

 菅原神社から2分。昔は菅原寺と言ったらしい。古い建物は本堂のみ。造りは薬師寺に似て見事なたたずまい。ここも盆梅。

大和文華館

 喜光寺から車で10分。あやめ池のほとりの美術館は、浅黄色の下草の中に青いいぬふぐりが咲く梅園の梅が見事。こちらは香りが風に乗って漂ってくる。開催中の清・明の美術展(28日まで)もよかった。

松柏美術館

 近鉄関係のコレクションつながりで学園前へ。こちらはもと社長の佐伯さんの邸宅のほんの一部(!)を使った、上村三代の絵を中心としたもの。凝った美術館で中庭の紅白の梅が満開。木蓮も咲き始めている。それにしても大きい池に南東に張り出した半島すべてが敷地というのがうらやましい。池の水面に陽光が反射してより明るく暖かく感じます。嫁ハンも大満足の小旅行でした。
 

2004年3月15日

 高橋尚子選手の落選は仕方ないと思います。ややこしい選び方だけど、選考レースがあって、それで差がついたのですから。本当にアテネを目指すなら、昨日の名古屋マラソンに出るべきでした。かつての有森さんの例はあるにしても、過去の実績に乗っかる、その姿勢がマイナスの評価につながったのではないでしょうか。ま、オリンピックだけが競技でも大会でもありません。世界選手権やいろんな大会で復活して欲しいと思います。

映画ダイスキ

「浮草物語」

 小津安二郎の昭和34年の傑作。旅役者一座の哀歓を描いて秀逸です。自作のリメークですが、なによりカラーに換わったカメラが美しい。先代中村雁治郎が貫禄の名演、若い日の京マチ子や若尾文子もきれい、川口浩もみずみずしいけれど、やはり、田舎町の飲み屋の女主人で、実は座頭の愛人である中年女性(若いときからずっと老け役をやっていたのです)に扮する杉村春子が見事な演技を見せます。思わず引き込まれてしまいました。

2004年3月13日

 神野美加さんていいですね。唄にキレとココロがあります。「耳をすませば」を見て、改めてうならせられました。タカラヅカの舞台中継「シニョール・ドンファン」のフィナーレ、大階段での黒燕尾での男役の群舞。タカラヅカの舞台の醍醐味はやはりこれです。黒部峡谷「幻の瀧」、すごい映像です。なにより登山口から1週間登ってやっと瀧の入り口という秘境。それから絶壁をいくつも越えて陽の差さない深い谷間の大滝。撮影隊のすごい執念。

 春日和のテニスコートから帰ってきて、テレビの前でうとうとしながら、目のご馳走を次々いただいて、贅沢な春の休日の午後です。

映画ダイスキ

 「シービスケット」

 今年のアカデミー賞は本命「ロード・オブ・ザ・リング」対抗「ミスティック・リバー」、そして大穴がこの作品でした。

 映画館で映画を見るのは久しぶり。20世紀中盤にアメリカで活躍した競馬馬を巡る実話の映画化だというくらいの予備知識。夜の宴会までの空いていた時間に飛び込んだので、正直それほど期待していませんでした。その分、ガーン。

 冒頭20分くらい、主人公のひとりアメリカンドリームを実現して自動車で財を成したジェフ・ブリッジス扮する男が、幼い息子を車の事故で失うあたりから泣き始め、それから最後までずーっと泣いていました。こんなに激しく気持ちよく泣いた映画は初めてでした。大恐慌で両親とはぐれたトビー・マクガイア扮する騎手(「スパイダーマン」を演じた青年俳優)、孤高の調教師(扮するはクリス・クーパー、かっこいい)がめぐり逢い、そして、やさしい性質を曲げられ、気が荒れてしまった、小さいが、よく食べ、よく眠り、よく走るサラブレッド「シービスケット」が登場する。

 馬を含め登場するものすべてが屈折を抱え、彼らを試練が更に襲う。監督は丁寧に人物描写を重ね、自動車、ファッション、競馬場まで、時代考証にも心を尽くして破綻を見せません。高速クレーン撮影車を使ったんだろうと思わせる競馬シーンの迫力。こんな筋あるかという思いは実話という重みで押し切り、力が入りすぎていいない分、更に感動が深まる。気持ちのよいエンディングへの行程は、アメリカという国家、国民が大恐慌から立ち直って行く幸せな時代(過程)を象徴しているかのようです。

 なぜ、もっと感動した映画もあったはずなのに、この映画であんなに泣いたのだろう。きっと自分とどこかでリンクしていたからでしょう。でも、それがどの部分なのかは今は考えないでおきます。その夜の宴会は流した涙の分か、ものすごく飲めて、気持ちよく酔いました。 

2004年3月12日

 今年の日展。充実していると思いました。日本画はもちろんすばらしいけど、洋画が今年は見せました。昨年に引き続き小灘一紀さんの「再生」が幻想的で若々しく美しい。個人的に好きな大阪の画家、國分敬子さんの街角の絵シリーズ、今年は「ル・ジュディ」でしたが、イマイチきれいすぎて、迫ってくるものがありませんでした。

 三寒四温を繰り返しつつ、春に近づいています。雲雀を聞いた翌日に雪が舞ったりしましたね。先日、強い風に飛ばされて女性の下着が家の前の道に舞い落ちて来ました。それを拾うわけにもいかず、あたふたして嫁ハンを呼び立て、拾ってもらい、案外純情なのねなどとからかわれて赤くなった私です。

 神戸の「少年」が21才になって出院して来ました。大きな不安はもちろんありますが、公表された「彼」の両親の手記による経過を読む限り、両親や家族とのつながりはやっと得られてきたように思えます。二人の弟の存在も大きな支えになったようです。賠償金を払うため困窮している家計を支えるため、高校生の弟はアルバイトをしているようです。中学時代から「神曲」を読んでいた「彼」は漢字検定の1級にも合格したようです。数年前から南河内でひっそり暮らしていた「両親」は、昨年末またどこかに転居して行ったそうです。被害者、彩花ちゃんのお母さんの手記にも心打たれましたが、加害者の家族にも冬がまだまだ続くのでしょう。

2004年3月2日

 今年のアカデミー賞授賞式は事前予想通りで、番狂わせの少ないものでした。でも、人気スターが満を持して受賞したりして盛り上がりは結構ありました。助演男優賞はやはり「ミスティック・リバー」のティム・ロビンス。パートナーのスーザン・サランドンの主演女優賞に数年遅れての受賞。すごいカップルです。この二人の結ばれる縁になった映画「さよならゲーム」は見ていますが、主演のケビン・コスナーと相手役のサランドンの間で初々しい新人だったティムは、今はもう立派な名優です。

 めちゃあがっていて、早口で謝辞を述べましたが、最後に落ち着いて、「暴力や迫害の犠牲になっている方へ、助けを求めることは恥でもなんでもない、それが暴力の連鎖を絶つことに繋がるのです。」という出演映画に即した訴えには大きな拍手が・・・。共感しました。

最近読んだ本

「シネマと書店とスタジアム」 沢木耕太郎

 タイトルは筆者の好きなもの。スタジアムのところで、日韓共催のワールドカップにおける両国の選手の違いを「熱さ」(韓国)と「クールさ」(日本)と表現している部分に興味を感じました。

「400字の遺言」 佐橋慶女・編

 おもしろかった。761通の応募から選ばれた219の投書。でも、いざ掲載となると辞退したり、匿名希望が多かったりしたというのも本音が語られた遺書なればこそ。大手のメディアがやったものでなので構成も投稿の文章レベルも素朴なところがあり、それがまたいい。延命治療の拒否、散骨の希望などが多いのは予想通りだが、配偶者に自分が死んだら、いままで再婚しなさいと言ってきたが、やはり再婚しないでほしいと訴えたもの、お父さんを再婚させてはいけませんと子供達に言い残すものなど、それぞれ人生がうかがえて迫力あります。どうしても行きたいところがあるから、骨を川に流して欲しいという主婦、穂高が見える、誰も知らない場所に埋めて欲しいという独身女性、息子にこれこれの格好をして新幹線で東京へ行き、銀座のこの店でタルトを食べ、どこそこの通りの並木の下にこっそり骨を撒いてくれという女性・・・それぞれどんな青春があったのでしょう。遺書を書く気は、今はないけれど、考えさせられます。



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