Kan-Kan の雑記帳


2007年6月24日

 8年前、中国で亡くなった姪の遺志を受け継いで、四川省の農村部の小学校へ絵本を送ることを年2回続けています。送料を捻出するためと、職場の親睦を兼ねて、バザーを開いていますが、この夏も多くの同僚の協力を得て無事終了。2万円ほど集まりました。中国への航空便代(以前は船便で送っていましたが、最近はSAL便という便利な方法があります)に使って、残りはユニセフなどに送るつもりです。

 悩みは売れ残った品物。あちこち集まりに持って行ったりして捌いていますが、土曜日の夜はアベノのいつもの路地裏の店へ持ち込む。毎度のことなので、大将はじめ、常連さんも馴れたもの。こちらが奥の小部屋で仲間と飲んだくれている間に、カウンターで常連さんの姉御株「サッチャン」「ブンチャン」が中心になって売りさばいてくれていたようです。私は例によって意識不明になって、気が付いたら家に帰っていたけれど、ちゃんと売り上げが胸ポケットに入れられてありました。感謝。

 雨の日曜の朝。もちろん二日酔い。嫁ハンが作っておいてくれた茶粥のみで朝を済ませ、溜まった新聞のスクラップと読書で午前を過ごす。午後、ひとりだったので、棚を漁ると讃岐ウドンが。これやこれやと茹でて待つこと15分「ざる」でおいしくいただいたけれど、後で袋を見ると賞味期限をひと月も越えている・・・(苦笑)。大丈夫かな。

 美空ひばりさんの命日、さらに今年は生誕70年、ということもあって、テレビは特集を組んでいます。腹具合を心配しつつ見入ってしまう。毎年この時期に見ているので新鮮味には欠けるのですが、新発見の映像もあって引きずられてしまう。ファンが家庭用のビデオに録画して残していたりするのですね。個人的には絶頂期の歌(熱唱しすぎてこちらが引いたり、自信過剰が鼻につく)よりも、20代と亡くなる前の時期ノ歌が心に残ります。

 でも、「ひばりの佐渡情話」や「哀愁波止場」「みだれ髪」はやはり絶品です。セリフのない短めのバージョン「悲しい酒」もよかった。それにしても着物姿の美しいこと(洋装はいただけません)。

 面白かったのは舞台公演中継。最後の座長公演となった、大阪梅田コマ劇場(今はありません、なつかしい)での「絵巻千姫春秋」。戦国という時代に翻弄された美女の運命を上手に演じています。歌手芝居ではありません。共演は萬屋錦之介(秀頼と豊臣の残党の二役、この春、甥が新錦之介襲名)、淡島千景(淀君、うまい)島田正吾(家康、貫禄)という豪華版。2時間弱があっという間でした。

 当時の演出家のコメントによると、毎公演、立ち稽古の段階ですべてセリフが入っていたという。座長がこれだから脇役も台本を持って立つわけにはいかない。芸に対する厳しい姿勢、プロ意識は大スターの必須条件なんでしょう。


今週の酒

 「黒帥2006(こくすい)」 宮崎県えびの市、明石酒造の芋焼酎 25度。すっきりしておいしい。私にしては珍しくロックでいただきました。

2007年6月22日

 夏至はいつもさびしい。これから日が短くなってゆくと思うと、なんや心細い感じがあります。反対に冬至は嬉しいのだけど・・・。柚子湯につかる冬至と違って、夏至の日の行事、慣わしって、あまりないのですね。


 ご質問がいくつか・・・

 1  いつぞや書いた、上の息子が結婚式二次会を仕切った友人のこと。超過分の費用を送ってきたそうです。ただ、なんの文章も添えていないので、息子は気にしています。まあ、ええやないか!そういう奴やったんやねん。送って来ただけまし。ラッキー。それより、それで、溜まっている家賃(ウチに入れる経費)を払いなはれ、と言っておきました。

 2  私にジャクナイフ(テニスの片足バックハンドショット)が出来るかって?もちろん出来ますよ。練習しました。でも、人からは、ただコートの窪みにつまづいただけように見えるようです(笑)。来週から全英オープンテニスがウィンブルドンではじまります。

 3 生徒に貸した雨傘はまだ返ってきません。今日みたいな雨の日は重宝しているのでしょうか?でも、見つけてしつこく言い続けます。私の執念深さを思い知らせてやりましょう(笑)。


 「権利の上に眠る者」・・・格差社会が進行しているとはいえ、かなり手厚く保護されてる部分ももちろん今の日本には多々あると思います。「授業料減免の制度」もそのひとつ。でも、この手続きも催促しないとやらない。ひと月前から掲示し、いい続けています。でも、なかなか事務室で手続きしない。家にも連絡がつかない。学校にも来ない。電話にも出ない。郵送しても反応なし。学校からの連絡は、どうせ、諸費(これは全員払う)の督促だろうからと初めから開けないらしい。そして、遅れても平気、謝りもしない・・・。これが該当家庭の一部でなく半分くらいの状況です。

 自分で手続きしないのなら、打ち切ればいいと内心思うけれど、ホントに家庭事情が大変な家もあるし、授業料や諸費が溜まると、卒業も退学も出来ない事態になるので、それを避けたいからつい面倒を見てしまう・・・。今日で締め切りを7日も過ぎたのに、まだ連絡がつかない家庭が一軒。やはり、家に行くしかないのかなあ。


村上春樹さんのエッセイから

「500マイル」(懐かしいヒット曲ーフルーラス唄えます)の歌手、ボビー・ベア 。気に入らない歌は絶対にレコーデキングしない。もしそれがヒットしたら一生それを歌い続けることとになるから・・・そんなのイヤだね。

☆ その姿勢もいい。

「ブルーレディに紅いバラ」(これも懐かしい歌!)の歌手 ウェイン・ニュートン。80年代、ラスベガスで毎晩2回公演 年40週 月100万ドル稼ぐ スターになる。15年満席を続けたそうです。知らなかったけれど、これはすごい。

 ☆ちなみに昨年末にラスベガスに行った同僚によると、話題のセリーヌ・ディオンの長期公演もほぼ終わりらしい。友人達はプリンスの公演に行ったらしけれど、これが、午後9時に開場していつ始まるかわからないという形。小さな会場だけれど、この夜、彼が登場したのは午後12時。1時間余りの公演を2メートルくらいの間近で聴けて感動していました。興ににのると朝までやることもあるし、乗らないと10分で止めたりするらしい。そういう契約で1年くらいやるらしい。入場前から数えると5時間余り立ちっぱなしはさすがに応えたらしいけれど(笑)。

 ついでに、これも懐かしいアンディ・ウイリアムズは故郷の町に専用コンサートホールを作って、毎日全米から訪れる観光バスの為に公演しているという。これも合理的な形かもしれませんね。故郷の町というのがいいなあ。

2007年6月21日

 生徒に貸した雨傘は帰って来ません。翌日はやさしく、2日目は厳しく、3日目は冷たく廊下で催促。それでも、なんでこんなに言われるのやろ、という感じなので、こちらもムキになります。どうも、友達にまた貸ししたらしい。チューター(担任)は家庭が大変だと言ってましたが、それは無関係。借りたものは感謝の言葉と共に返すべきです。たとえ、コンビニで買った400円のビニール傘であろうとも。明日も催促します。

 保護者懇談が続いています、昨日も約束した保護者が来ないというクラスが続出。あるクラスは連絡なしで、5人すべて来ず、電話したら、忘れてました、用があってと悪びれない様子に、チューターは怒りもせず再予約をしてはります。えらい。でも、私は怒ります。約束に重さを大事にしたいと思います。モンスターペアレントの小さな予備軍がいっぱいいます。

 教師もそれに馴れて、あきらめが先にあります。それでいいんやろか・・・。

 信用しないわけではありませんが、私は懇談の前日に生徒か保護者に懇談予約の確認をとります。面倒でもまちぼうけよりまし。遅れてきた人にはちゃんと理由を訊きます。こちらも10分以上前から待機しているのだから、その権利はあると思います。まあ、口うるさい小姑がひとりくらいいてもいいでしょう。

 うれしいニュース。20年来の親友と言ってもいいでしょう。かつての同僚の娘さんが昨日発売の「少年マガジン」で作家デビュー表紙にも上下に惹句が。曰く「難病イルカを救え」感動ドキュメント!「もういちど宙へ」。病気のイルカを救うプロジェクトのコミック化。この夏、映画にもなるようです。

 抜擢されて漫画化したのは、豊永綾乃(とよながあやの)さんー本名ー。主人公の青年の光る瞳の描写が初々しい。

 幼い頃から知っています。高校を卒業して、専門学校へ。上京してコミック作家のアシスタントに。まだ20代半ばで、華々しいデビューです。うちの息子達も興奮しています。私も初めて「少年マガジン」を買って(250円)、今日の授業で紹介。生徒もどよめきました。

 何部か買い足して、アンケートを送ろうと思っています。それが次回に繋がるようです。綾乃先生がんばれ!

2007年6月19日

 一番最初に雨傘をさして歩いた人 はジョナス・ハンウェイさん。 1750年 ロンドンで。 「ちゃんと馬車に乗るか、神様の思し召し通り、濡れて歩け」と非難され続けて30年・・・やがて雨傘はロンドン市民に定着します。

 ロンドンの雨傘店 「スウェイン・アデニィ・ブリッグアンドサンズ」  例のこんもりしたやつで相合い傘には向きません。安いナイロン製で15000円、高級品で14万円だそうです。

 今日の夕暮れ、生徒に貸してやった傘(400円のビニール傘)は返ってくるでしょうか?基本的にはきりがないので貸さないことになっているのですが、午後6時半、クラブでがんばっていた生徒が降り籠められていたので、哀願に負けてつい貸してしまいました。

2007年6月18日

 旧暦ではやっと5月。五月雨はしっかり降ってほしいものです。「卯の花くたし」(卯の花を腐らせる)という、それくらい降った方がいいと思います。空梅雨は苦しい。さびしい。

 平日は、めいっぱい仕事して、帰って、酒を飲んで、早めに休むようにしています。その合間に見てしまった番組。NHKの「蔵出しエンタテイメント」。

 30年前の番組 「ビッグ・ショー」。絶頂期の二葉百合子さんの熱唱。「瞼の母」「靖国の母」「岸壁の母」・・・右だろうが左だろうが、どうでもいい。日本人の琴線を揺さぶる声です。泣いてしまいました。もちろんその少しセンチメンタルなヒューマニズムに拠る「厭戦」が「反戦」に繋がらないもどかしさはあるでしょう。

 でも、こういう歌を嫌い、排斥する姿勢や風潮も怖い。いろんな歌が、世相や時代を詠う歌があっていい。その幅が広いほど、自由度が高いと言えるのではないでしょうか。 

2007年6月17日

 疲れ切って迎えた週末は、無性に嬉しい。早く休むようにしていた平日と違って、ゆっくりお酒を飲んで、夜更かしし、テレビを見て、本を読む。

 珍しく親子4人揃った休日。折角だからとブランチに出かける。嫁ハンは、こじゃれたレストランに行きたかったみたいだけれど、なんせ息子二人は食べる気まんまんだから、迷わず下の息子の車でファミレスのバイキングに直行。正解でした。

 満腹になって、気分もゆったり。思い切って、帰りは先日免許をとったばかりの上の息子に運転を任せる。助手席で下の息子が固まっている。悲鳴、絶叫、叱咤、阿鼻叫喚の中、のろのろ運転で南河内グリーンロードを少し走って、葡萄の即売店に行く。「キングデラウェア」というのを少し買う。少し高価だけれど、これが無事食べられるといいね、と言うと、下の息子が兄のキーを奪い取って自ら運転。帰って食べたら、マスカットの味がしてデラウェアより少ししょっぱいがおいしい。午後、疲れ果てて寝ている家族を置いて、私は3週間振りのテニスに。

 夕刻、帰宅して欲求不満の残っていると見た上の息子を連れだして、再びミニドライブに。今が運転したい盛りなのです。ほいほい喜んでついてくる。ホームセンターから酒の安売り店に廻って30分。走行中、左に寄りすぎるし、車線変更やら、車庫入れやら、なかなか大変。やはり疲れました。でも、だれにもこういう時期が必要なんだと思います。38年前を思い出しました。免許を取ったうれしさに、毎夜、従兄弟に傍に乗って貰って、夜の山道を走って練習したなあ。あの頃は車が少なくてよかった。でも、ガードレールも街灯も無かったから、今から思うとあぶないことでした。

 休日の夜はトニー賞(昨年ブロードウェイの大劇場で上演された作品・俳優の顕彰)の授賞式中継を見る。演劇の世界だけに、アケデミー賞程の華やかさはないけれど、俳優たちの面構えがいい。スターというよりアクター、演技者としての誇りと自信に満ちている。オープニングとラストシーンはベテラン女優のアンジェラ・ランズベリー(ジェシカおばさん)が勤める。しばらく映画で顔を見ないと思った俳優が、ブロードウェイで活躍していたりするとうれしい。かつて、「ドラキュラ」でスマートなタイトルロールを演じたフランク・ランジェラがすっかり貫禄をつけて、主演男優賞を。「アマデウス」の主演俳優トム・ハルス?もプロデューサーに転身していて受賞していました。

 アケデミー賞と違うのは、続演中の作品が多いから、名場面やすばらしい歌唱、ダンスシーンが生でふんだんに見られること。今年は「メリー・ポピンズ」や「キューティ・ブロンド」も候補に挙がっていて、鮮やかなワンシーンが見られました。

 注目のミュージカル部門は最優秀作品に「春のめざめ」。8部門を制しました。ドイツ文学の名作戯曲をロックミュージカルに創り上げているという。演劇部門は「ザ・コースト・オブ・ユートピア」。こちらも過去最高の7部門。いずれ日本にも来るでしょうね。楽しみです。


村上春樹さんの軽いエッセイ  1980年代のアメリカの雑誌から

「カルトハル」 スペインの小さな村 (マドリッドの北西160キロにある)  その村の家々の白い壁にピカソの絵が描かれていて、今、観光客が押し寄せている。村人達がふと思いついて始めた作業らしいが、反響を呼び過ぎて、交通渋滞。村人は戸惑っているらしい。なにより怒っているのは、神父さん。絵の製作に夢中になって誰も教会に来ないらしいのです。さすが芸術の国。

「フォアハンドレッズ」 ニューヨークの「上流階級」の事。 1892年 ニューヨークの名家400家を勝手にマスコミがリストアップしたらしい。 実際は300余家らしい。欧州の貴族社会に対抗しようとしたらしいけれど、経済優先、栄枯盛衰の激しいのアメリカでは根付かず。でも、言葉と雰囲気は残った。アメリカ文学ではよく出てくる言葉らしい。 1982年、ニューポートで、その「400家の生き残り」が集まって、舞踏会を開催。 アスター家のサマーコテージ(48室もある!)で。故ジャクリーン・オナシスのお母さん(なんとか家という名家らしい)も来たというのだから、アメリカも確実に歴史を重ね、保守化も進んでいるという面があるのでしょう。 

2007年6月14日

 やっと梅雨。うっとおしい時期だといやがる人もいますが、これで田圃の水が確保できる、よかった、と思ってしまうのが田舎育ちの性でしょうか。今年は梅雨入りが遅れて、やきもきしました。香川ではすでに水不足も深刻だったようです。

 大和川や石川ほとりで楽器を練習してはった人も当面はお休みかな。石川の橋の下でトロンボーンを吹いていた美女(後ろ姿ですが)はどうしてはるやろ?2,3日前は黒いノースリーブのサマーセーターだったので、蚊にかまれないかと心配していたら、昨日は半袖でした。息子は、そんなこといちいち心配しているのはお父さんだけやで、と叱られる。明日のテニスは出来るかな?

 村上春樹さんの軽いエッセイをめくりながら眠ってしまいます。


1980年代のアメリカの雑誌から

 「隕石(メテオ)ハンター」

 アリゾナに住む、ロバート・ハーグさん。隕石集めを職業としている。この5年間で15の隕石の千を超す断片を発見。価格は下はただ同然から、4千ドルを超えるものまで。博物館からゴダード宇宙センター、国防省に買い上げられる。本人は「宇宙不動産業」と呼んでいる。

 地上に落ちたばかりの隕石は熱くてぶすぶす煙をだしているように思うが、実際は非情に冷たい。何百年の間、零下200度で冷凍されてきたのだから、すぐには熱くならない・・・へえーーーー。

 「ナチ戦犯ハンター」

 クラルスフェルド夫妻は元ゲシュタポ長官、バルビーの行方を追求、ボリヴィアで発見。バルビーは約4000人のフランス人を抹殺、7000人のユダヤ人を強制収容所に送り込んだ男。ナチ戦犯リストで239番目の重要人物。クラウスフェルド夫妻の夫、セルジュさんはフランス人、父親を殺された復讐に生涯を賭ける。奥さんのベテアさんはなんとドイツ人。母国の犯した罪を償うために働いているという。それにしてもどちらにとってもなんと長い年月・・・。

2007年6月13日

 「淵(ふち)の主」  昔は村のどんな小さな淵にも、そこの主、青大将とか、鯉とか、大亀とかいたものですが、最近はどうなのでしょう。故郷の村では、護岸工事で、淵そのものが無くなってしまいました。大きな枇杷の木の下にいつもいた青大将はどこへ行ったのでしょう。冬眠している間にコンクリートで塗りこめられていたら、気の毒です。

 梅雨前の渇水期で石川の水が減っています。大きな鯉が、背びれを見せて泳ぎ周り、小学生が追っかけたりしていますが、捕まるものではありません。でも、鯉もかわいそうやなあ。運動不足が酸素不足か、時々、大きくジャンプしたりしています。土手を自転車で走っていると、その音にびっくりします。

「人生は夜と昼が交互になったチェス盤のようなもの。そこでは運命の神が人間を駒にして遊んでいる」ルバイヤート・・・ウマル・ハイヤム

 再来年2009年の大河ドラマは「天地人」(てんちじん)。原作、火野雅志さん、上杉景勝の家臣、直江兼続(かねつぐ)が主人公。不勉強にして名前しか知りません。ネタはあるものですねえ、というより、また戦国時代です。もう、マンネリでは?脚本が「どんと晴れ」の小松江里子さんというのが新鮮だけれど・・・。

 ミステリー作家、夏樹静子さんが迷い込んだ心の迷宮。心因性心身症で3年間苦しんだ挙げ句、医師のアドヴァイスで断筆、絶食、面会謝絶、テレビ、読書、電話一切ダメという生活で心身をからっぽにしてホメオスターシス(恒常性・生存維持の現象)を快復させる・・・。その2ヶ月の治療と1年間の休筆で仕事に復帰する。

 がんばって走っていては気づかない、「潜在意識のかそけき声」に耳を傾けないと、取り返しの付かないことになると夏樹さんは記す。説得力あり。

2007年6月10日

 昨朝買ったデラウエアが甘くて、息子達にも好評だったので、今朝も「題名のない音楽会」の羽田健太郎さんの追悼番組を見てから車を出す。昨日と違う店に行く。スーパーよりかなり安くて新鮮。ついでに河内ワインも買ってしまう。葡萄の傍で売っていた大根が一本50円でした。これも安い。

 駒ヶ谷から山を越えて、国分へ。関西福祉科学大学の傍にある、前から気になっていたフレンチ「ピノ・ノアール」へ。煉瓦造りに花を上手にあしらった風情ある店です。60代と30代の父子でやっているみたい。キャパ20名くらい。

 ランチコース1500円を注文。メインディッシュはチキンのソテー。嫁ハンはめちゃおいしいと言っていたが、わたしにはオレンジソースがちょっと甘かった。でも雰囲気も含め満足。休日なのに客がいなかったのが心配。駅から歩いて15分というのがネックかなあ。

 午後から天気不安定のため家で過ごすことに。テレビで舞台「雪まろげ」を見る。サービス精神がありすぎて、ついウソを重ねてしまう温泉芸者「夢子」を森光子が熟練の演技で見せます。共演の石田純一が意外にいい。もうええやろ、わかったと思いつつ最後まで見てしまいました。

 それにしても、今年3月の、それも帝国劇場の舞台です。四国の母ととても同い年(86才)とは思えません(笑)。幕切れのセリフも見事でした。アンコールがたった独りでというのも、それはそれでいい。

 いよいよ来春は閉鎖された「芸術座」が新装開場、「放浪記」がこけら落としです。もちろんそれに主演するのでしょうね。感服。

 遅咲きの女優さんでした。40年前、舞台「がしんたれ」で助演した頃、達者な女優さんだとは思いましたが、これほどの大女優になるとは思いませんでした。新人を見る目にはそれなりの自信(?)があったのですが、この人、そして泉ピン子、浅野ゆう子、夏木マリ・・・それぞれ「その時の人」と思いました。みんな大成したのは、やはりそれなりの素材と運と努力があったのでしょうね。

 昨日、夕焼けが見られないとぼやいたら、天に通じたのか、今夕は雨も上がり、六甲に沈むきれいな夕陽が見られました。


今週の酒

「因島大橋」

 3月に帰省した時、父からもらいました。広島県因島の備南酒造の本醸造。あっさりして、味わい極上。今年飲んだ酒で一番おいしいと思いました。でも、これはきっと郷里の近くの酒であり、瀬戸内海の味覚に合わせて造られてあり、私の成長過程での味覚と重なるからかと思います。 

2007年6月9日

 河南町の高台に住む友人からきれいな「夕焼け」の写真がメールで送られてくる。私も折角見晴らしのいいところに引っ越したのに、夕陽の綺麗な日に限って見逃しているような気がする。当たり前ですが、空の色、雲の姿って、毎日微妙に変化して、飽きませんが、晴れたからって見事な「夕焼け」が見られるとは限りません。回数的にもっと見られると思い込んでいました。日没時間の関係もあるので、これからの数ヶ月がチャンスなのですが・・・。

 雲の厚い夕方などは、西より東の空が赤いときもあるのです。これから何回夕焼けが見られるのかと思います。

 8日は年に一度の胃の集団検診。朝8時から絶食、午後1時にバリウムを飲んで、動くベットで振り回されてX線撮影、なんや疲れました。その反動で無性においしいものが食べたくなりました。週末の夜、息子達も仕事でいないから、イタリアンでも食べに行こうという嫁ハンを説得して、24Hスーパーへ。半額のシールが貼ってあるパックを買いまくる。メインは「ぐれの刺身」。酒は天野酒の720ml。これで2800円ですから、イタリアンより安上がり。家に帰って、食べ過ぎ、飲み過ぎて、深夜に前日のバリウム、検査直後の牛乳1リットルも効いてきて、苦しみました(苦笑)。

 休日の朝、今度は嫁ハンのリクエストを入れて、近郊の葡萄農園に走る。駒ヶ谷は葡萄の産地で、収穫シーズンに入った今の時期はあちこちに臨時の販売所が開設されています。山の中腹にある販売所は朝採りの葡萄以外に、自家製野菜もたくさん扱っています。まず試食してデラウエア、そして小振りのスイカとタマネギ、じゃがいも、間引き菜を買って2200円。嫁ハンは明朝も来たいと言っている。

 二上山の麓の山小屋風ロッジで「森のランチ」。スープにサラダ、パスタに紅茶がついて780円。おいしい。此処で大雨になる。干して来た洗濯物は諦めて(笑)、午後からのテニスはないだろうとのんびりしていたら、また晴れて、テニスは結局キャンセル。仲間に叱られました。

 全仏オープンの女子決勝を見ながら・・・。パリは好天。19才の新鋭イワノビッチが3連覇の懸かったエナンに挑む。シャープな打ち合いです。いきなりイワノビッチが相手サーブをブレークして波に乗るかと思いましたが、女王エナンは冷静。自分のプレーでゲームの主導権を引き戻しています。

 ゲームもですが、スタンドの賑やか顔ぶれが映るのも楽しい。ベルギー王室から映画スター、マリー・ピエルスやナブラチロワなどの名選手。センターコートは社交場でもあるのですね。

 そして、エナンが勝ちました。その精神力には頭が下がります。強い!


行く人

観世日栄夫(かんぜひでお)さん (能楽師、俳優、演出家、大腸癌、79才)

 彼の能舞台は見たことありません。能楽界の反逆児と言われ、1958年に能楽協会を脱会。その存在を知った頃は、演劇、映画で活躍してしました。独特の雰囲気、渋い声。幅広い分野で大胆な演技もしました。伝統ある家に次男として生まれたこと、本来の反骨精神、能楽への、芸術への思い、彼の晩年の心境を聞きたかった。

退団  春野寿美礼(はるのすみれ)さん

 タカラヅカ花組のトップスター。今年いっぱい、12月24日、東京宝塚劇場の千秋楽で退団することを表明。近年のタカラヅカには珍しい、花組一筋、トップに5年。歌がうまくて、人気実力を兼ねた華のある正統派男役でした。

 「ベルバラ」で初舞台、「エリザベート」でトップスターに。満足のゆく舞台生活だったことでしょう。拍手で見送ってあげたい。

引退  ポール・ニューマン (米俳優、82才)

 「記憶力も自信も創造力も失い始めた」と、テレビ番組で表明。嫁ハンが大ファンでした。もう82才だったんだ。ここまでようやらはった。私はもう彼のセリフの心境です(苦笑)。

 「ハスラー」「明日に向かって撃て」「スティング」・・・名作が目白押し。こちらも反骨精神とインテリジェンスに溢れる俳優でした。奥様のジョアン。ウッドワードもオスカー受賞の名優です。 

2007年6月7日

 新聞記事から・・・花菖蒲の一輪の命は4日とか。花菖蒲園では毎朝、萎れてしまったのを摘み捨てる「花殻摘み」に忙しいそうです。

 蛸の一種・・・マダコは一回の卵数は10万〜15万個。母親はすべての卵に新鮮な水を吹きかけ、汚れを除き、かいがいしく働く。卵を盗みにきた魚を追い払ったり、仕事が多すぎて食事すら一回も摂れない。ひと月ほど経って、わが子達の誕生を見届けてメスは過労死してしまう・・・。

 恒例の職員バザーを主催しています。今回は高齢のお父様のシャツ、ネクタイ等を大量に出してくださった方あり。それで先日、父が、わしの燕尾服、譲ってやろうか、と言ったときに、もう着ることもないだろうからいいよ、と断ったのを思い出しました。でも、だまって貰ってあげればよかったかなあ。

 燕尾服を着た経験は、自分の結婚式と仲人をした時だけ。いずれもレンタルでした。しゃきっとはするけれど、やはり身にはそぐわないと感じました。日本人的体型には合わないし、もとより着慣れていない。燕尾服が定番のタカラヅカの男役ですら、着こなすのに10年かかると言われています。また、脱線しますが、マレーネ・ディートリッヒの男装した時の燕尾服、キレイでしたね。

 先月、英国のエリザベス女王とエジンバラ公の米国訪問の際、ブッシュ大統領が開いた公式晩餐会はブッシュ大統領が在任中初めて行った「ホワイトタイ」。男性は燕尾服、女性はロングドレス。134名の招待客の中にはアーノルド・パーマーなどのスポーツ選手も。

 でも、「栄えある招待」を辞退した人もいる。上院議員、ハリー・リード。辞退理由は服。「自分は燕尾服に白い蝶ネクタイを締めるような男ではない・・・」。反骨精神だけでない、反響を考えた政治的計算もあるのかもしれない。古い大英帝国的価値への抵抗かもしれない。アメリカの欧州コンプレックスの減少を意味しているのかも・・・。

 「パーティ」という言葉には「政党」という意味もあるらしい。同じ服(ドレスコード)を着ないということは、同調しないということか。

 ありえないけれど、もし自分にちょっとそんな晴れがましい場が来たら、ミーハーだから、ホイホイとレンタルに走るかも・・・。ドレスコードを安易に受け入れ、いい気分を味わおうとする軽薄な自分がいる。流されまい。自戒しておこう。

2007年6月5日

 朝4時半、明るくなった窓の外に、ホトトギスの声を聴いたように思ったのは幻でしょうか。

 質問にお答え。「石立鉄男」さんて、コメデイ演技のうまいタレントではなく、文学座研究所出身の舞台俳優だったのです。細川俊之さんや佐藤オリエさん、佐藤友美さんらが一緒。デレビに出初めた頃、知的障害を持った青年や、純真で傷つきやすい青年を初々しく演じて印象深かったです。その後一連の主演ドラマとコメディ演技が当たって、本人曰く、「莫大な金も入ったけれど、すべて競艇につぎ込んでしまった」のだそうです。

 人生のどこでどうなるかわかりません。若いときの「成功」が一概によいとは言えませんね。もちろん、石立さんの生涯がそれとは申しませんが、あの実年齢よりかなり老けて見えた容貌に、ふとそんなことを思ったのです。

2007年6月4日

 ジャックナイフ・・・全仏オープンテニスを見ながら・・・バックに食い込んできたボールを片足を挙げてバランスを取って切り返す・・・足の長い若い選手がやるとカッコイイ。高校生レベルでも真似する選手がいます。

 全仏オープンは4大大会で唯一のクレーコートです。球足が遅いので、ストローク戦が長く続く。選手は大変ですが、見ている方は一番面白い。近年中継技術が上がってきて、コートからコートへ空中のカメラで移動、上から、斜めから選手のプレーを捉えて、映像的に圧倒されます。

 でも、フランスの観客は曲者。単調なプレーには容赦ないブーイング。ナダルも勝っても非難を浴びていました。強いだけではここでは評価されません。芸術的な味のあるプレーをする選手が愛されるのです。


行く人(6月4日記)

羽田健太郎さん (ピアニスト 肝細胞ガン、58才)

 先日まで「題名のない音楽会」の司会をしてはったのに・・・。前の司会の黛敏郎さんよりアクがなくてスマートで好きでした。まだ若い!

2007年6月3日

 早慶戦はNHKが実況中継するほど盛り上がりました。「ハンカチ王子」斉藤クンはまたしても勝利、いや優勝投手に。「力」だけでなく「運」も持っているようです。でも、彼の持つスター性というのがよくわからない。甲子園の時から、ポーカーフェイスということもあってか、「色白で無表情の印象の薄い男の子」というイメージがありました。

 スポーツのように勝敗がはっきりして、数字に出やすいものは スターとしての格付けもされやすいですが、やはりルックスやムードで人気優先という場合もあります。スポーツによっては10代で頂点を極めてしまうこともあります。それからの長い人生を思うと、若すぎる時点での社会的成功でスポイルされないようにと思います。大学1年生で胴上げされて、斉藤クン大丈夫かな?しっかりしている子のようですが・・・。

 東京にいた時、根岸の和風居酒屋に通った時期があります。女将さん(70才くらい)が筑前琵琶の名手で、私が平家物語をやっていた関係で知り合いになったものです。可愛がっていただいて、いつも300円で飲ませてもらった記憶があります。

 ある時、同席したカウンターの紳士を紹介されました。石立鉄男さんのお父さんだとおっしゃる。その頃、文学座の新進俳優で、デリケートな演技で注目されていました。すごく、いい俳優さんですね、楽しみです、と申し上げると、ありがとうございます、よろしく御願いしますと、こんな若造に丁寧な挨拶。大学の先生だと後で伺いましたが穏やかな方でした。

 石立鉄男さんがアフロヘアに変身して「奥様は18才」「パパと呼ばないで」でブレイクしたのはその後でした。長い間、見かけていなかったけれど、最近テレビですごく老けた映像を拝見、どうしたのかと驚いていたら、急死の報(64才)。熱海の自宅で亡くなっていたとか。40年の間に彼にどんな俳優人生の山坂があったのでしょう?喪主は長男となっていましたが、あのお父様(店でもう一度お会いした)はもう亡くなられたのかなあ。

 新聞を読みつつ、あの女将さん、あの店、根岸のちょっと古びた町並みと琵琶の音色と一緒に、学生時代の思い出が急に蘇った2日、土曜の朝でした。


大阪ええとこ(6月3日記)

 同僚たちと文学散歩に。今回は桜井から大山崎、そして「渚の院跡」へ。好天に恵まれ、緑の中を気持ちよく歩く。桜井の駅、初めて訪れたのですが、正成、正行の銅像?もちょっと陳腐な感じ。顕彰碑がやたら多く、楠が茂っているのはいいですが、ちょっと趣に欠ける史跡でした。

 「大楠公」といってももう若い人たちにはピンときません。いえ、「青葉茂れる」を唄えるのが私ひとり(15人中)と知ってちょっとがっくり。(もちろん唄いませんでしたー苦笑)年を感じました。あの「親子の別れ」も、歴史的裏付けはないようです。ただ、戦前生まれの人々にとっては強く刷り込まれたドラマのようです。四国の母はフルコーラス(8番?)全部唄えるみたい。私は4番までです。たしか落合直文の作詩だったと思います。

 サントリーウイスキー工場でしっかり試飲し、水無瀬離宮の跡地とおもわれるあたりを散策、水無瀬神宮で茅の輪を潜り、紀貫之が土佐からの帰り上陸したといわれる川のほとりで昼食。今は住宅地が拡がっていますが、さじ山紫水明の地であったろう昔を偲びました。川を超えて渚の院跡(伊勢物語などに出てきます)行って一応ピリオド。その間、歩きつつ飲んだのは「片野桜」(「交野」と書くことが多いようですが、この酒は「片野」)。市販していないというのでインターネットで調べて注文しました。

 「またや見む 交野のみ野の桜狩り 花の雪散る 春の曙」は新古今の中の好きな歌ベスト3に入ります。憧れていた歌枕の地を訪ねられて大満足、案内してくれた同僚に感謝。

 それにしても、ずっと飲んでしゃべって、それから京橋でまた飲んで、同僚宅におじゃましてまた飲み・・・。ここだけは若い者に負けていません?(苦笑)。でも翌日の早朝座禅ではへばっておりました(苦笑)。 



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