Kan-Kan の雑記帳



2009年2月28日
 
 「 思いだし 思いだし蕗(ふき)の にがみかな 」 路通
 
芭蕉の法要で、路通が師を偲んで作った句。叱られた苦い記憶も懐かしい。叱ってくれる人も少なくなり、叱られたらすぐにキレる弟子が増えた昨今です。
 
暖冬もあって、ベランダで1月まで咲いていたラベンダーが2月に入って枯れました。枯れた茎を花鋏で切ったのですが、まだ香りが残っていました。
 
 厳しい不況の時代。最近流行っているのが貯金箱。若い女性向けに、コインを入れるとイケメンが「サンキュー」というのが人気とか。笑ったのは、「エア焼き肉」。パソコンの画面で次々焼き上げられるおいしそうな焼き肉を見ながらゴハンを食べるのだそうです。そういえば、久しく焼き肉を食べていないなあ。
 
 久々の陽気。午前に家庭訪問、午後からテニス。調子は最悪。でも、コートの傍らにはセキレイが来て、いい声で鳴き、空には初雲雀がさえずっていました。もう春です、とりあえず明日までかもしれませんが・・・。
 
 映画ダイスキ
 
「マンマ・ミーア」
 
評判の舞台を見ていないのですが、アバのヒット曲をベースにギリシャの離島での2日間のドタバタ喜劇。そして人間賛歌のミュージカル。
 
結婚式を前に、娘は父親である可能性ある3人の男性を式に招待する。やってきた未婚の母であるメリル・ストリープ演じるヒロインは驚き慌てる。そして、すったもんだの末に、母娘共に新しい道に踏み出してゆく。
 
 ミュージカルは初出演といいながら、舞台ミュージカルの経験もあるメリルは堂々の歌唱と演技です。その他の出演者も好演。3人の男性のひとりを演じるイケメン、ビアース・ブロスナンも女性中心の映画に花を添えて?います。でも、最後のアンコールにあたるスタジオでの主要6人による歌唱アンドダンスシーンは見ていてちょっと恥ずかしい・・・。余計でした。
 
 ギリシャの美しい海と島の映像は見事ですが、音楽が拡散してしまうきらいも。却って舞台の方が濃密な熱気と体臭を感じさせることができるのでしょう。楽しい映画だけれど、完成度はイマイチかなあ。それはヒロインの娘を愛する気持ちはわかるけれど、外国人であって、この島で苦労してホテルを経営している経過、島に対する思いや、自分の望郷の思い、人生に対する省察があまり描かれていなかったからだろうと思います。それがドラマを薄くしています。
 
 小学5年生の娘さんを連れて見に行ったという同僚が、なんでお父さんが3人いるの?と訊かれて絶句したそうです(笑)。笑って誤魔化したそうですが、きちんと教えてやらなくちゃあ。まだ、早いかな。
 
最近読んだ作品
 
「夢の続き」 吉永小百合
 
 きれいに歳を重ねる女優の最新エッセイ。肩の力がだんだん抜けてきて、文章も以前より読みやすくなりました。若いときから見られ続けて結婚でやっと自分が見えてきた。岡田さんは恋人でいようと言ったのですが、彼女が無理やり押し掛けたのだそうです。
 
 不器用で一途で頑固なスポーツウーマン、そして謙虚さをもった賢い女性と思います。でも、近年の映画選びは疑問。スタッフの問題もあるでしょうが、「北の零年」「母べえ」「幻の邪馬台国」そして今度の「弟」。みな同じような、けなげでしっかりした役どころ。もっと冒険をしなくては。あれだけたくさんの出演作があるのに、私が買っているのは夢千代、「細雪」の雪子、「女優」の田中絹代役くらいです。もちろん全部みているわけではありませんが・・・。
 
 ラグビー、水泳、乗馬もですが、近年はまったはるのが着物。本の後半は所有してはる美しい着物の写真と、同じく着物好きの女優、樹木希林(2才違いだとは!)、画家の節子・クロソフスカ・ローラさんとの対談。気取らず、本音で話してはります。

 2009年2月26日

「 水仙が 水仙をうつ あらしかな」  矢島 渚男

 寒さの中でけなげに咲いていますが、強い風にいっせいに茎をなぎ倒され、ひれ伏してします。でも、やがてまた、起き上がるのです。

 入試、採点は、やはり疲れました、いろいろ思いはありますが、これは守秘義務があって書けません。家に帰って酒を飲んで、ばったり。朝、起きたらテーブルの上に飲みかけの酒が残っていました。こんなことは年一度あるかないかです(苦笑)。

 先日から述べている夢の世界はだんだん身近になってきて、これはやばいかも(苦笑)。今までは現実の?このパソコンに向かっている世界と夢の世界と距離があったのに、ここのところ見る夢は、場所・校舎と生徒のメンバーこそ違え、教師という立場、同僚や友人など登場人物も重なったきて、朝起きてすぐに、予定や、人間関係をチェック、確認するありさまです。

 約束したのはどっちの世界のことだったのだろう?夢と今は思っている世界では、新学期が始まっています。昨夜は新学期最初の授業で、教室いっぱいの生徒(元気な男子が多かった)がなぜか知らない歌を唄い出し、それが終わって、次は先生、と言われて、ほんじゃあ一曲、なんて暢気なやりとりをしている場面でした。

 うれしいけれど気になるのは、夢の方では、癌で病気療養中のはずの友人が元気で同僚として自転車で走り廻っていること。

だんだん混乱してきました。これは病気の兆候なのでしょうか?それとも単なる老人性の意識混濁(苦笑)なのでしょうか?

 最近読んだ作品

「鷺と雪」 北村 薫

 ある写真に秘められた謎。ミステリー仕立てですが、底辺に流れるのは華族の姫、英子と陸軍将校若月英明との淡い交流とその生きた時代。ヒロインの専属女性運転手、別宮(べっく)、愛称ベッキーの存在と彼女が引用する言葉が印象的かつ効果的です。

「善く敗るるものは滅びず」 −「漢書」より

「前を行く者は多くの場合、慙愧の念と共に、なにも出来なかったという思いを噛み締めるのかもしれない。そして、次に昇る日の、美しからんことを望むものかも」 −ビクトリア女王の言葉


最後の場面が印象的です。冬の朝、英子は前日、若月から唐突に送られてきた山村暮鳥詩集の礼に、時計を贈ろうと、服部時計店に電話する。出てきた相手は英子の声に息を飲む。英子も「電気で打たれたような何か」を感じる。互いに二度会っただけの相手の声がわかったのだ。

「ここは服部時計店ではありません。」

「え・・・・・?」

「・・・・・・こんなこともあるのですね。この世では何でも起こるものだ。」

「・・・はい?」

「あなたの声が聞けてよかった。・・・長話はできません。これで切ります。武運長久を祈って下さい。」


急いで服部時計店に電話して、間違い電話がかかりそうなところを訊く。

「そうですね。番号が似ている、よく言われますのは、――首相官邸でございます」

英子は、ふらふらと電話室を出る。窓の外は「渦のように旋回をしながら宙を流れてゆく雪」。その年、昭和

11年2月26日。


青年将校たちの蜂起、「2・26事件」の朝だったのです。久々、ぞくぞくっとする結末でした。「鷺」は前半部分で細川家の能楽堂で演じられる能の題です。舞台の鷺は白い雪のように消えてゆく。現実の雪は鷺の羽のように舞っている。



 20024日

「 枯れ山へ わが大声の 行ったきり  」 

 作者は忘れました。山の微妙な斜面の角度で木霊は返ってこないときがあります。人間関係も同じ。 


 第81回アカデミー賞 授賞式はやはり華やかなセレモニーでした。酔眼朦朧ではっきりとは憶えていませんが(苦笑)、初司会、ヒュー・ジャックマンのダンスも見事。ペレロペ・クルスのビンテージ・ドレスが豪華で美しく、サラ・ジェシカ・パーカー(離婚の噂を打ち消すように、不倫報道された旦那のマシュー・ブロドリックと笑顔で手をつないでいたけれど・・・)のディオールのドレスも、広末涼子さんの淡いピンク?のドレスもきれいでした。ただし、いつもスタイリッシュなニコール・キッドマンやレニー・ゼルヴェガーのドレスがイマイチだったのは残念。

 演技賞の発表で、たとえば助演女優賞なら過去の受賞者5人が登場して、5人のノミネートされた女優を順次紹介、讃えた上で昨年の受賞者が今年の受賞者を読み上げるという形は、豪華でしかも受賞者だけでなくノミネートされた人に対する敬意があふれて感動的な形式でした。また、その人選もウマイ。ちなみに主演賞候補のメリル・ストリープを紹介したのはイタリアから駆けつけた大女優ソフィア・ローレン(彼女が「ふたりの女」で受賞したのは40年ほど前でした)。

 外国語映画賞 『おくりびと』短編アニメ賞『つみきのいえ』と日本映画、ダブル受賞。どちらの監督も苦手といいつつ英語で大きな声で堂々とスピーチしたのがよかった。臆さない、あの姿勢が大事だと思います。もちろん、酒の力を借りたわけではないでしょう(笑)。

ハリウッドで日本映画が注目を浴びる中、麻生さんがワシントンを訪れる。オバマさんが新大統領になって最初に迎える外国首脳だとか。アメリカの新聞では「最初で最後のこの顔ぶれでの会談」だとか、イケズな論調もあるようです。「首相は代わっても日米関係は非常に大事」という好意的?な報道も。アメリカはもうとっくに麻生さんを見切っているのではないでしょうか。それで実りある会談ができるのかなあ。

今日は前期入試。8時半集合の一時間前から来て、静かに待っている子、はしゃいでいる子、遅れてくる子(通ったあとにタバコの匂い・・・まだ指導はできません)、無断欠席で中学に問い合わせても行方がつかめない子・・・制服の着方、身だしなみ、歩き方で、生活がわかります。ピアスぐらい外してこいよ。唇に3つも付けて、痛そう。携帯は預かって試験後に返します。

チャイムが鳴って、受験番号を書いたらもう寝ている子。最後まで一生懸命がんばっている子も。きちんと座って問題用紙を配布すると、軽く会釈する子、じっとしておられず、前後左右に声を掛け、開始直前まで注意しても動きをやめない子・・・。いろんな受験生がいます。4月からに備え、何人かの顔と名前と中学名を頭に刷り込みました。

かつては一気に深夜までかかって採点をしたものですが、ミスを避けるため、数年前から国語の作文と数学の証明問題以外は翌日から採点(これはええこと)。久しぶりのネクタイと多くの中学生に接したことで疲労感あり。今夜もテニスで体をほぐして早めに休みます。


20023日


「 引き返すこと考えてゐる雪野 」  俳壇から 塩尻市 古厩さん

 どこまで行くか、どこで諦めるか・・・冷たく広い雪野、後ろには足跡だけ。人生も同じ。

 不登校で来年度の方針を相談するため、懇談を約束した女子生徒が今日も来ない。本人が月曜の午前に行きます、と言ってきたのです。これで5度目のキャンセル。体調不良、寝坊、バイトが入った・・・言い訳(になっていないけれど)は聞いてきたけれど、今日は連絡もないので心配。あまり追い詰めると、また連絡が取れなくなるので、時期をみてメールします。

 前任校までなら3度目のキャンセルでキレていたけれど、現任校ではそれではやっていけない。ずいぶん我慢強くなりました(苦笑)。それにしても、結論を出す以前の相談まで、ずっと先延ばしにして、どうするつもりなのだろう?授業料も溜まってゆきます。

来る人

押切 もえ さん (モデル、29才 新書で「モデル失格」を刊行)

 「世間にはモデルはきれいで当たり前というイメージがある。でも、私は容姿に恵まれていない。仕事も決して順調ではなかった・・・」どこがやねん!と突っ込みを入れたくなりますが、ティーン誌の読者モデルとして活躍したが、プロとなってからはオーディションに落ち続け、ケーキ工場でアルバイトをしていたという。「CanCam」で売れ出してからも、モデルとしては低い身長、ファニーフェイス、年齢の高さというコンプレックスに悩まされる・・・「モデル失格」の意識から努力を重ねた・・・。なるほど!今、超売れっ子です。

 
行く人

久松 シソノさん (元 長崎医科大付属病院看護婦 脳出血 84才)


 長崎市内の自宅で亡くなっておられるのが発見されたそうです。永井博士と共に被爆、救護班で活動、永井博士を見送り、遺志を継いで、後進の指導と、平和活動に励む。生涯独身。05年、ナイチンゲール記章を受ける。葬儀に際し、永井博士の孫、永井徳三郎氏が送った歌。博士と彼女が愛した白バラを歌い込んでいます。


「 白ばらの 香りぞ 君のよに しずかに流れ 人なごませり 」


中村 又五郎さん ( 歌舞伎役者 老衰 94才)


 好きな役者さんでした。名子役として鳴らし、初代中村吉右衛門、六代目尾上菊五郎という並び立つ名優に可愛がられました、小柄だったけれど、品と情のある演技で舞台を引き締め、後進の指導にも熱心で「生き字引」と呼ばれていました。池波正太郎さんは彼をモデルに「剣客商売」の主人公を造型したのです。


 中村勘九郎(現勘三郎)の初舞台「桃太郎」で犬の役をやり、04年、勘九郎として最後の舞台「今昔桃太郎」で50年ぶりに同じ役を演じて話題になりました。最後の舞台は06年。今年1月の歌舞伎座さよなら公演の手打ち式にも出席していたそうです。97年に人間国宝に。 私自身は、90年代初めに南座の顔見世で前代勘三郎の「松浦の太鼓」でキーパーソンである俳人其角(きかく)を演じたのを見たのが最後です。プロンプタ−が付いていましたが、洒脱な味わいがありました。そのころ現勘三郎は家来のひとりでした。


 現勘三郎は泣き、あの世の勘三郎は手を叩いて迎えていることでしょう。


第81回アカデミー賞 受賞一覧


『スラムドッグ$ミリオネア』8部門、外国語映画賞 『おくりびと』短編アニメ賞『つみきのいえ』も日本映画久々の快挙。 演技賞も人気・実力・華やかさを備えたスターが受賞(ヒース・レッジャーは没後でしたが)、ヒュー・ジャックマンの歌って踊っての司会もあって、盛り上がったようです。これからじっくりビデオを拝見。でも、なんせ長いので、ほどほどで切り上げます。明日は前期入試。早く寝なくては・・・。夢の中でも入試があったりして・・・(苦笑)。


作品賞『スラムドッグ$ミリオネア』

監督賞 ダニー・ボイル監督『スラムドッグ$ミリオネア』

主演男優賞 ショーン・ペン『ミルク』

主演女優賞 ケイト・ウィンスレット『愛を読むひと』

助演男優賞 ヒース・レジャー『ダークナイト』

助演女優賞 ペネロペ・クルス『それでも恋するバルセロナ』

外国語映画賞 『おくりびと』

長編アニメ賞 『ウォーリー』

ドキュメンタリー長編賞 『マン・オン・ワイヤー』(原題)

ドキュメンタリー短編賞 『スマイル・ピンキ』(原題)

脚本賞 『ミルク』

脚色賞 『スラムドッグ$ミリオネア』

撮影賞 『スラムドッグ$ミリオネア』

編集賞 『スラムドッグ$ミリオネア』

美術賞 『ベンジャミン・バトン数奇な人生』

衣装デザイン賞『ある公爵夫人の生涯』

作曲賞 『スラムドッグ$ミリオネア』

歌曲賞 『スラムドッグ$ミリオネア』

録音賞(音響賞) 『スラムドッグ$ミリオネア』

音響編集賞 『ダークナイト』

メークアップ賞 『ベンジャミン・バトン数奇な人生』

視覚効果賞 『ベンジャミン・バトン数奇な人生』

短編実写賞 『トイランド』(英題)

短編アニメ賞『つみきのいえ』


2009年2月22日
 
 「 ひとつ家に ひとつの余生 春を待つ 」 新聞俳壇から 大牟田市 古場さん
 
 故郷の村にも、そんな家が多いのです。一人暮らしが一気にものすごく増えている時代です。
 
 そして・・・今日の新聞に、尾道市が千光寺山に至る坂道沿いのたくさんの町屋が空き家になって、観光にも響く、入居者を募集するとありましたが、見た目はきれいで見晴らしがよくても、急な坂道はお年寄りにはこたえます。ましてひとりでは・・・。便利な平地に降りようとするのは当然の話ではあります。難しいところです。
 
 義母は義父を亡くして3年、我が家の近くのマンションにひとり住まいをしています。最近はメリー・ウィドウそのままに元気にあちこち飛び回っていますが、昨年、喜寿を超えました。そろそろ仕舞い仕度を(とは決して言いませんがー苦笑)、今のマンションはひとり住まいには広すぎ、また、これからは老い衰えてゆく一方ではあるのでしょう。
 
 我がマンションの現在の空き室を見せて貰い、不動産屋さんに義母のマンションの部屋の査定をして貰いました。出来れば等価交換でありたい。値段が折り合わなかったので、今回は見送りの気配。でも、これからも親の老い、自分の老いに対して、前向きに動いてゆかなければなりません。
 
胡蝶の夢
 
 昨年末から嫌な夢を続けて見るようになりました。より正確には「嫌」というより、「疲れる」夢です。かつては夢とわかって気楽に愉しんで?見ていた夢がだんだんリアルさを増してきて、昨日の夢は、もう夢の中で自分が歩いている岩山の石ひとつも、登山の疲労感も、読んでいる本の文章も現実そのものなのです。舞台は変わっても、そこにはいつも故郷の景色の一部が投影されており、そこでいろんなトラブルに直面する。目覚めたらどっと疲れています。快眠できる回数が減ってきています。
 
 夢の中での別の生活、今のところ、人間であり、男ではあるが、若いときもあり、時代を超えていることもある・・・いや、あちらの世界からみれば今、こうしてパソコンに向かっていることが夢なのかも知れません。眠りが、夢がだんだん深くなった時に、もう今の世には目覚めない、それが「この世での死」なのかも知れません。「死」は夢の中の別の世界に行くことなのでしょうか。
 
 夢は中学時代からよく見る方で、高校時代は、夢をみた翌朝、登校時に友人のNくんにその内容をいつも語っていたそうです。自分は忘れてNくんが憶えていたりする(苦笑)。でも、その夢と今の夢は違います。
 
 そういえば、空を飛ぶ夢もみなくなりました。そんな題の山田太一さんの作品がありました(笑)。あれにはせクシャルな意味がありましたが・・・(苦笑)。
 
 今夜はどんな夢、いやどんな世界にゆくのでしょう。
 
最近印象に残った言葉ー今日のテレビ「白州正子と多田富雄」から
 
「言葉は一般に使われているうちに手垢にまみれてしまう 」 
 
「言葉はもうたくさん。かたちで見せてちょうだい。」 白州 正子
 
 軽く使われすぎるということで、「一期一会」という言葉が嫌いになったというエピソードには頷けました。内のものを外に出すべきではない・・・その通りだと思います。
 
 おふたりが使った言葉「逢いましたぞ」「逢いましたね」。
 
 多田さんは白州さんは精神的に両性具有だったという。若いときから男性の感性と視点でものを見て、人に接してきた・・・なるほどなあ。年齢を加えれば、人は性を超えてくると思いますが、若いときからとは・・・。今まで「敬して遠ざかったいた」白州さんですが、読んでみようかと思いました。
 

2009年2月21日
 
 「 紅梅に まみえしごとき 一会あり 」 新聞俳壇から 泉大津市 多田さん
 
 紅梅のような、凛として美しい女性に出会ったのですね。一生忘れられないほどの・・・。
 
 年度末を控えて、生徒との懇談を重ねています。週末に呼んだ男子生徒は、今年度登校したのは数日。すごくいいヤツなのに学校へは来られない。傷つきやすく、周囲と合わせて行くのが苦手。よくわかる。退学して自分のペースで高卒認定試験を受けたい。でも、授業料が溜まっているから辞められない・・・。
 
 本当は、彼は母子家庭でおばあちゃんもいて、生活保護を受けているから、授業料は配布されているのだけれど(近年のこのやり方はよくありません、はじめから授業料を減免すべき)、それは生活費に回されているのでしょう。それを非難することは簡単だけれど、私には出来ません。
 
 結局、相談の結果、なんとかバイトをがんばって、3月末までに溜まった授業料を払う努力をすること、払い次第退学手続きをする。それが無理なら来年度、科目登録はせず、授業料(増え続けるけれど)を払えるまで籍を置くという切ない方法。さりげなく、滞納して出校停止、除籍になるという方法もあるんだよ、と示唆したけれど、先生、がんばって払います、と健気。ありがとうございましたと頭を下げて帰ってゆく姿を見送って、やるせない気持ちになりました。何の力にもなってやれていない・・・。
 
 落ち込んだので、帰り、寄り道をしました。「へぎそば」・・・前から食べたかった越後の蕎麦。デパートの物産展で、長岡の店が出店していると聞いて、寄ってみました。店の壁には「愛」の文字が。大河ドラマで話題のご当地なのです。海草をつなぎに使った蕎麦は独特の味わいで、いけました。
 
 デパートの近くの馴染みの店(ここは酒は持ち込み制)へも寄る。友人が持ってきてくれた酒は「日本城」の初絞り。和歌山の銘酒です。新酒はそれほど好きではありませんが、これはフレッシュなだけでなく、ほどほどの切れ味とコクもあって、つい飲み過ぎでしまいました。Zさん、ありがとう。お陰でちょっと元気回復しました。
 
 大根って太陽に向かって、日中ずっと葉も根も東から西へ動くのですって。だからネジのように回りながら土に入ってゆく。それだから、抜くときは西から東へ回すようにすると楽に抜ける・・・。抜き方は教わっていたけれど、そういう理由があったんだ!この年で初めて知った衝撃の事実でした(笑)。
 
 昨秋に発売された日本初のアルミ缶に入ったワイン「プレミアム缶ワイン」の売れ行きが好調らしい。確かにガラス瓶は割れやすい、コルクの栓を開けにくいという難点を解消、腐食性が高い点も克服して・・・なるほど。これから「缶ワイン」の時代が来るのかも知れません。
 
 日本アカデミー賞はやはり「おくりびと」が圧勝。主演女優賞は「ぐるりのこと。」で木村多江さんが貰って一矢報いたというところ。美術賞を「パコと魔法の絵本」が貰ったのもちょっと嬉しい。セレモニーとしての演出は今年もイマイチ。俳優たちのスピーチは以前よりかましになりました。むしろ、女優さんたちのファッションが楽しみ。今年は木村さん、そして余貴美子さんの着物がすばらしかったです。
 
 「おくりびと」が外国映画賞にノミネートされている、アカデミー賞はいよいよ22日に発表。(日本時間は23日、月曜の朝)。ムンバイにオールロケした低予算映画「スラムドッグミリオネア」が大本命、スターが出演したハリウッドの大作「ベンシャミン・バトン」が対抗馬という面白さ。コメディアンが司会を勤めてきた伝統の中で初めての2枚目スター、ヒュー・ジャックマンの司会というのも期待です。
 
  最近印象に残った言葉
 
「病院でゆっくり休みながら、この仕事に全力を傾注する」
 
 記者会見の醜態だけでなく、その後のバチカンでのややこしい拝観態度も明らかになった元財務大臣。もう今更、彼の問題発言として採り上げて、石を投げようと思わないけれど、帰国直後のこの発言には、彼だけでなく、政治家やセレブと呼ばれる人が、病院と呼ばれるものをどのように見ているか、扱っているか、はからずも明らかになって興味深いものがあります。一応言っておくと、病院はマスコミからの避難所でも別荘でもありません。入院しなければならない病人に、全力で仕事をしてもらうことも、国の運命を託すこともできません。首都の有名病院や名医やスタッフが、常にこんな「休養」の為に常に振り回されているのですね。
 
 最近読んだ作品
 
「冬青(そよご)」 杉本 章子
 
 冬青はもちの木の仲間で、痩せた土地に根付き、赤いつややかな実を付ける。
 
 下谷広小路(したやひろこうじ)でもう7年、白鼠を使って、客にくじを引かせ、鼠が引いてきた札と当たったら、菓子を貰えるという商売、「ねずみ引き」を商いとしている青年、仙太が小春日和に出会った女はお里。互いに惹かれ合うが、お里には厳しい過去があり、ふたりは女衒(ぜげん)の手であっけなく引き裂かれ、お里はどへともなく売られてゆく。
 
 次の日、パートナーの白鼠、「小虎」(猫に負けないようにと命名)が死んでいた。仙太はお里と初めて語らった寺の境内の冬青の下に「小虎」を埋めてやる・・・。
 
 仙太の孤独と哀しみが身に迫ります。底辺で生きる人々への温かい目。そして杉本さんの語り口は相変わらず鮮やかです。
200年2月19日
 
 「 紅梅に佇つ 白梅に少し飽き 」  新聞俳壇から 横浜市 高田さん
 
 私も、若いときは「梅は白梅」でした。今は紅梅(清少納言のおばさんもそう書いてはる)。そして、梅も桜も「枝垂れ」。年を取って、好みも変わってゆきます。
 
 これも先日の記事の補足
 
 「お亀の湯」は本当にいい温泉でしたが、一カ所不満が。あれだけの環境なのに、浴室内も、露天風呂までやかましいBGMが流れてくるのです。澄んだ空気、すばらしい景色。流れ落ちる湯の音と、鳥の声だけで充分。どうぞ、余計なことはせんといて、という心境でした。
 
 みんなも私も、かかって来ないと思っていた、昨夜の家庭訪問先からの電話が、今朝、10時にありました。何度もお運びいただいてありがとうございますという丁重なお言葉。先夜のメモも見てはったんだ。息子も、家に居るとのこと。ややこしい展開を覚悟していたので一安心。二人とも体調が悪いので、今後のことの相談も兼ねて、改めて登校するおっしゃる。このチャンスを逃すまい。いえ、こちらから伺いますと、来週の訪問を約束。これで3歩前進です。足を運んだかいがありました。
 
 木曜はひたすら仕事する日と決めています。ここでがんばっておくと、明日の金曜が楽で、気楽に週末を迎えられます。疲れ果てて帰宅してエレベーターを降りると即、おでんの匂いが。はて昨夜から嫁ハンが仕込んでいたけれど、今夜のメニューがこんなところまで匂っているのかと思うと、さにあらず。エレベータ前の部屋からでした。「寒の戻り」のこんな夜は、どこの家もおでんが多いのでしょう。
 
 酒はあえて加茂鶴の甘口でなく、辛口を方を。あじの開きも焼いて、更に飲みそうになったので、ぐっと我慢して杯を置く。明日の仕事と夜の酒に余力を残しておきましょう。
 
 15日の午後11時半ころ、羽曳野市内で不審車両を追跡中のパトカーと一般車両が衝突、3人が重軽傷、それを引き継いだ追跡劇が繰り広げられました。サイレンの音に飛び出し、マンションのベランダからその様子を見ていました。赤色灯を点したパトカーが南の富田林方面からも、北の柏原方面からも猛スピードで集まってきて、不審車を追いつめてゆく。羽曳野高校の近くで赤い点が集まり、止まったけれど、それからずっと灯は消えませんでした。
 
 翌日のニュースによると、追いつめられ停車した車から、運転手は走って逃げ、19才の男女が残されて事情を訊かれているとのこと。そこまでして、友人まで見捨てて逃げるかなあ?捕まることはみえみえだし、罪も重くなるのに・・・。
 
 下の息子もパトカーを運転することがあるらしい。追跡では本来ブレーキを踏むところを、アクセルを踏み込まければならないとのこと。めちゃ危険で怖いらしい。命に関わる勤務だし、一般の方にも大きな影響がある。最近の、逃げれば、逃げ切れればいいという発想が問題です。
 
 行く人
 
 山村 楽正(らくしょう)さん  (上方舞山本流家元、膵臓癌、85才)
 
 宙に放ったそれをさっと・・・鮮やかな「扇取り」で有名。灯りを消した稽古場で練習を重ねたという手練の技。さっぱりした人柄で愛されました。吉田蓑助さんと結婚していたこともあるんだ!舞のため、股関節に人工関節を埋め込んだばかりだったのに。告別式の弔辞は竹本住太夫さん。「よう、お酒飲み、愉快に雑談しましたなあ。ほんまに寂しい、さいなら。」
 
最近読んだ作品
 
「杵蔵の涙」 諸田 玲子
 
 料理人、杵蔵の包丁で刺し殺される事件が続く。杵蔵は捕らえられるが、アリバイあり、弟子の平吉は行方不明。事件の蔭にはあばたの女と美しい女が。謎を追う、同心弥左衛門と新婚の妻、配下の瓢六と、その恋人の芸者、お袖。コミカルでアンサンブルのよい人情捕物帖シリーズは、かつての「御宿かわせみ」のようないい雰囲気です。
 
 下手人が自分の娘で、彼女が自分を誤解して恨み、犯行を重ねていることを知った杵蔵が取った行動は・・・これも予想通りながら、やはり胸を打ちます。

2009年2月18日
 
「 酒杜氏 なべておみなや 寒造 」 新聞俳壇から  柏市 牛水さん
 
 昔は男の裸の職場でしたが、最近は女性の進出が盛んです。それにしても中川元財務大臣の酔態、いや醜態には、酒飲みの一員として
腹が立つやら情けないやら・・・。酒飲みは言い訳してはいけません。
 
 飲んだ翌日には普段より早く出勤。トイレに行ったり、しっかり水や茶を飲んで、勤務時間までに体調を整えます。これだけは36年間気を付けてきたこと。でないと「お酒」に対して失礼です。そして、もちろん大事な仕事の前は酒を控えます(下の息子のように仕事の前夜は全然飲まないということは出来ませんがー苦笑)。
 
 と偉そうに言いながら、昨日、友人の闘病中だったお父さんが亡くなられて、通夜。その後、久しぶりに集まった友人たちと飲みに行って少し飲み過ぎました。反省。今日は休肝日です。
 
 末期癌だったお父さんの看病中の何ヶ月か、禁酒していたという酒好きの友人の為に、49日が終わったら、一席設けようと思っています。もちろん休日前に。
 
 それにしてもヒラリーさんが来ている時の政府のゴタゴタ。恥ずかしい。ところでヒラリーさんが組んだ小沢さんとの怪談じゃなかった会談。これも意味深ですね。
 
 ヒラリーさんと拉致問題の家族との対面も、どれぐらい効果があるのか?心配。あまり期待してはいけないと思います。
 
 期末考査最終日。数学の試験監督にゆく。始まってすぐ寝てしまう生徒。半分を過ぎる頃にはほとんどの生徒が爆睡。数学が苦手なのは解るけれど、卒業がかかっている生徒もいる。もうちょっとがんばれないものかなあ。教師ふたりで監督しているのですが、カンニングの心配すらありません(苦笑)。
 
 辰巳琢郎さんの高校時代(大阪教育大付属中)の思い出。定期テストで教師は問題を配ると教室を出てしまう。カンニングし放題のはずがするやつなんていない。教師も生徒を信頼していたのだろうが、「テストは本来自分の力を測るためのもの、僕らもズルしてまで、いい点を取ってどうするんだ、と考えていた」。
 
 そんな学校もあるようですが、多くの学校は今もカンニング対策に頭を痛めているようです。同じ学校という職場に勤めているのに、どちらも遠くの世界の話のようです(苦笑)。
 
 夜9時。この前行って、不在だった生徒宅を再度訪問。門灯も消え、1階はやはり雨戸が閉まっていますが、2階の一部屋のカーテンの隙間からかすかに灯が洩れている。思い切ってインタホーンを押すと、やがて女性の声が。来意を告げると、「今、風邪で寝ています。明日、こちらから電話します」と言ってそのまま、一方的に切ってしまう。帰ってその話をすると、嫁ハンは呆れていましたが、事態は一歩前進。とにかく生徒の安否を確かめたい。
 
 梅が見頃。水戸偕楽園の梅林管理者、伊藤茂さん(73才)によると、園内3000本の中には約100種類の梅があり、半数が彼が植えたものだそうです。もとろん、100年を越える老木も多くあり、水戸の六名木と言われるのは「柳川しぐれ」「虎の尾」「白難波」「烈公梅」「江南所梅」「月影」だそうです。
 
最近読んだ作品
 
「雨つぶ通信」 朱川 湊人
 
 いつも超能力や心の不思議な作用を通して人生を語る朱川ワールド。今回は人のこころのつぶやきが聞こえる孤独な11才の少女の話。離婚した両親の復縁を願って、母の新しい恋人に馴染めない主人公は、近所の少女の「声なき声」を聞き取ることで、彼女を虐待から救い、母の恋人とも心を通わせてゆく・・・。
 
 不思議な能力を失ったけれど、家庭の幸せを手に入れるというお決まりの結末がうれしい好短編です。
 

2009年2月16日
 
 「 梅寒く 愛宕の星の 匂いかな 」 其角
 
 愛宕山は、京都の町の西北にあり、比叡山より高い、でも、延暦寺と違って、防火、台所の神さんで親しみやすい山でもあります。その上に輝く星のような、澄んだ清冽な、そしてかすかな梅の香なのでしょう。舞台はおそらく嵯峨野。其角は芭蕉の高弟。嵯峨野には兄弟弟子、向井去来の別荘(落柿舎)があるのです。
 
 昨日の記事の補足。
 
 曽爾高原の麓の村、由緒ある立派な神社が続きます。周囲は立派な高い杉。でも、人影が少ない。境内におられた初老の方のお話では、この村は小学生も少ない。この春の新入生が一名とか。この社の祭りはどうしてはるんですか?外部の人が来て、やってくれます。でも、大きな悩みはね、雷なんですよ?雷?そう、あれもこの杉も落雷で倒れたのです。そういえば社殿の周りは妙に空いて、大きな切り株がいくつもありました。
 
 話はさらに戻って・・・道明寺天満宮の梅の木には「目白」がいっぱい(「目白押し」というほどではありませんが・・・笑)。花の蜜を吸っています。ワー、鶯がいっぱい、でも、鳴かへんなー、と喜んではる探梅客には、無粋なので、何も言いませんでした。目白は鶯より小さく、文字通り目の縁が白いのです、子どもの頃、目白と捕って飼うのが流行っていました。
 
 境内の盆梅展で見事な梅の傍にいた人。70代後半?の元気なおっちゃん。ここの梅は半分おれが手を掛けているんや、と明るく自慢しているのでインタビュー。
 
普段はどこに置いているんですか?
うん、ガレージ12個借りてる。
 
そうやろなあ。
お仕事は?
リフォームの会社やっとる。これに50年入れ込んで、家何軒分も使うとるよ。
 
あんなに古木に作るにはどうしてはるんですか?
すごいやろ?電気のこぎりで切ったり、ドリルで穴を空けて、傷めてゆくんや。
 
なんだか痛そうで、梅が可哀想に思えてきました。もちろん、長期の旅行は行けず、水遣り、植え替えは大変な作業なのだそうです。
 
悩みは?
やはり金。今度の搬入も市がやってくれたんやけど、運ぶ時、鉢を割ってくれてなあ。それ9万するんや。まさか、損害賠償請求出来へんしな。
 
 そこへ藤井寺市役所の広報の人がやってきて、一緒に写真撮らせてくれませんか?と言ったので、慌てて逃げてきました。広報に載ったりしたら藤井寺市民の友人達からどんなに言われるか(苦笑)。
 
最近知った言葉
 
「出し子」・・・ 「振り込め詐欺」の引き出し係。これだけ騒がれても、毎月10億の被害があるのですって。
 
「雨風」・・・甘い菓子も酒も好む人のこと。上方落語から来ているのだそうですが、作品名はしりません。どなたか教えて下さい。私もぼたもち、つぶあん大好きですが、基本的には酒!今日は家庭訪問の帰り、駅前の酒屋で「瑞穂黒松剣菱」を手に入れました。給料前なので、迷ったのですが・・・これで残金500円。でも、おいしい!
 
 家庭訪問は、登校せず、連絡もとれなくなった生徒宅へ様子を見に行ったのですが、雨戸は閉まり、郵便物が溜まっていました。表札はそのままだったのですが・・・またもう少し遅い時間に行ってみます。
 
最近読んだ本
 
「まほろば」 重松 清
 
 別れた妻のところの置いてきた娘と、久々の旅に出る主人公。別れた妻は末期の癌なのです。彼女の指示で訪れた奈良の山奥の花の村。そこで家庭の事情で親と一緒に暮らせない子どもを預かっている柳井さんと会う。
 
 柳井さんは70代の女性。彼女が今、預かっている知佳ちゃんは、笑顔で挨拶するが、炬燵の中に画鋲を撒き、玄関で主人公を後ろから突き飛ばす。その悪意ある行動は、かまってほしい、叱ってほしいという感情の表れというが、柳井さんの身体にも生傷が絶えない・・・。
 
 柳井さんという女性像がよく描かれていて、胸を打つ。彼女は家族を失い、東京を捨て、この村に移り住んで、村人を説得して休耕田に花を植えてゆくのです。それに20年を費やして、そこで次々恵まれない子どもを引き取り、そして送り出してゆく。
 
 まさに「まほろば」ー「美しい場所」ではあるのでしょう。「こどもたちが私を憶えていなくてもいい、悲惨な幼児の記憶の中に、美しい村にいたことがあるという小さな記憶を刷り込んでやれればいい」というささやかなそして深い思い。
 
 そして知佳ちゃんという少女も、私の身近に幾人もいるような存在。切ない思いに駆られます。

2009年2月15日
 
 今日は母の誕生日。88才。われわれ家族は昨年、「数え」で米寿を祝いましたが、今年は、かつての教え子が集まって、今治のホテルで米寿祝いの会を設けてくださったそうです。よかった。教え子(といってもみなさん70代)の方々に感謝。60年以上前の思い出話(先生に立たされた!残された!など)で盛り上がったそうですが、みんな貧しかったけれど、ある面「教育の幸せな時代」だったのかもしれません。
 
 昨日の記事に補足。
 
 エリック・クラプトンのライブで、彼は2時間、休憩なし、出ずっぱりの力演だった由。ドラッグやアルコールでいちどひどく身体を痛めたはずなのに、やはり一流プレイヤーというのはパワーが桁違いなのでしょう。
 
 道明寺天満宮で、梅園公開に併せて、宝物館が開かれています。菅公の遺品と伝えられる国宝6点他、重文もいくつか展示。見応えあります。見ものは国宝の、象牙で出来た「しゃく」。五位以上の殿上人が持っているしゃもじのようなあれですね。滑らかで美しい。それと、青白磁円硯(せいはくじえんけん)。中央を窪ませ、周囲に池を設けた円形の硯。大きい。青みを帯びた白釉(はくゆう)の磁質で元々脚が有ったらしいが失われている。でも気品に満ちたたたずまい。他にベルトなども・・・。唐から渡ってきたものらしい。遣唐使を廃止を進言した人が使っていたというのが面白い。菅公が急に身近に感じられました。
 
 宝物館は梅園の入り口からちょっとずれていて目立たず、賑わう境内の中で閑散としています。お薦めスポットです。
 
 月一回の友人との近場温泉ツアー。今月は奈良、曽爾(そに)高原の「亀の湯」。車で2時間。榛原からトンネルを越えると、屏風岩、兜岩、鎧岩という奇岩の連なる美しい山並みが見える。大パノラマです。奈良にこんな絶景があるとは知りませんでした。それを眺めながらの広い露天風呂、泉質は龍神温泉のようなつるつるした肌触り。これは大ヒットでした。近くの渓流も清冽で、こんないいとこが過疎で悩んでいるなんてもったいない!桜の季節に絶対また行きます。
 
 最近読んだ作品
 
「千年鈴虫」  谷村 志穂
 
 昨年の源氏物語一千年にちなんだ雑誌の特集で、源氏をテーマに女流作家が競作した現代小説の中で印象に残ったひとつ。
 
 都内のマンションでひとり住まいの中年女性。母が源氏物語の文化集中講座に上京するのに付き合って、その講座に出席するうち、、講師の初老の男に惹かれてゆく・・・。実はその男は母の高校時代の憧れの教師であり、女性問題で辞めて上京して、細々講師で暮らしていたのだった。その事情を察しつつ、主人公はいつしか女にだらしない男との情事に溺れてゆく。マンションのベランダにどこからかやってきた鈴虫の声、彼の口ずさむ源氏の一節を聞きながら・・・。
 
 それは彼の「声」の魅力によるところが大きかったのだ。きっと光源氏も容姿はもちろん、女心をとろけさす甘い声を持っていたのだろう。そんなことを連想させるうまい構成。そういえば、源氏物語に「鈴虫」の巻もありました。あちらは仲秋の名月の夜の、華やかな六条院での「鈴虫の宴」ですが、参加する人々の心は、やはりすれ違って虚ろなままでした。

20014日

「 美しき 歌舞伎の中の 置炬燵」  俳壇から 館山市 野村さん

 この演目はおそらく「吉田屋」。勘当され落ちぶれた大店の若旦那、治兵衛が、なじみの花魁、夕霧に会いにやってくるのは、暮れの新町遊郭「吉田屋」。主人の好意で通された迎春準備で華やかな座敷には赤い布団を掛けた置き炬燵が・・・。でも、夕霧はなかなか来ない・・・。最後は賑やかな餅つきでハッピーエンドの正月狂言です。

 国際色豊かな?わが校ゆえの楽しみは、各国の料理が味わえること。昨日はタイ料理の講習アンド賞味会。非常勤講師のエニ先生によるトムヤンクン。ホーという春雨のような麺?に辛子をたっぷり使って海老と茸を煮込んだスープ(赤い!)をかけていただく。やがて額に汗が噴出して、風邪なんかすぐに治りそう。

 デザートは、バナナをココナツミルクで煮た甘い飲み物。「クルワイ・ボワ・チー」。甘辛の落差が面白い。

 タイにアルコールはどんなんがあるんですか?と質問すると、沖縄の泡盛に近い蒸留酒があるのだそうです。もちろん、素材はタイ米。沖縄にも輸出しているそうです。

 夕刻、出張で上本町のホテルへ。顧問している部の連盟の連絡会。ルール改定や来年度からの登録などに関するコンピュータ導入の説明。30代から40代の若手の先生方が、歯切れ良く説明、進行してくださる。アナログ人間の私にもわかりやすく行き届いた説明。すぐれたいい人達がいっぱいいる・・・こういう時に、ああ、もう引退する時が近づいてきたんだなあ、と感じます。それは寂しさなどではなく、うれしいような、しみじみほっとしたような思いです。

 四国の弟が来阪。いつも両親の世話をしてもらっているので、彼の好きなエリック・クラプトンの大阪公演に招待したのです。一昨年の秋についで2度目。

 天王寺で待ち合わせ。大阪城ホールの公演が終わるまでの時間、飲んでいたらまずいので、初めて阿部野橋駅前の「漫画喫茶」というものに入って見ました。壁を埋め尽くした漫画の数々。「あぶさん」「パタリロ」「家栽の人」・・・とりあえず新聞、雑誌を読んでフリードリンクの紅茶をお代わりしているいちに2時間が経っていました。なにより普通の喫茶と違って話し声がしない、静か(当たり前ですが)なのがいい。これで700円ほど。案内を見ると、飲食物持ち込み自由、レンジやオーブンも自由に使えるとある。とすれば、お酒を持ち込んで燗してもいいんだろうか(匂いが問題?)。通勤時の楽しみが増えました。

 弟と落ち合って、春一番の吹く中、古市へ帰り、駅前の居酒屋で乾杯。ご機嫌の弟と1時間飲み放題コースで760円。弟は生中6杯と日本酒一本。私は生中3杯とチューハイ1杯、焼酎お湯割り3杯。充分もとは取れました(笑)。

 家に帰って、同窓会から帰宅した嫁ハン、仕事明けの下の息子も加わって午前1時まで飲み直し。クラプトンの公演で「大興奮」だったという弟の話に耳を傾ける。

 今回は久しぶりだった前回と違って、観客は比較的落ち着いていたそうです(前回は、クラプトンが登場しただけで盛り上がり立ち上がり、それが2時間続いたそうですが、今回は総立ちは最後の2曲だけ)。

 席は、ステージを真横から見下ろす2階席。舞台裏がいろいろ見えて面白かったそうです。ギターを曲に合わせて次々換えて演奏するのだそうですが、アシスタントが後ろに控えていて、ギターを受け取る、代わりを渡す、受け取ったギターを拭く、音を合わせる、ケースに仕舞うという作業をすぐにてきぱきやっているんですって。

 クラプトンにだけでなく、そういうスタッフはバンド6人のすべてに付いていて、ドラムの後ろに控えている者は、曲によって太鼓を入れ替える、汗ですべって飛んできたスティックを拾って渡す・・・そんなことがあるんだ。面白い話でした。叔父が好きな下の息子は、ものぐさな彼にめずらしく、タオルを渡したり、ビールなど注いでかいがいしく接待している(苦笑)。

 14日、午前に弟を先日行った道明寺と天満宮に案内。この3日間の間にかなり開花していました、。今が7分咲きとか。午後から太子の叡福寺から竹之内峠を越えて、当麻へ。石光寺の寒ぼたんは終わっていました。前に訪れた造り酒屋は廃業して、ギャラリーとカフェと文具店になっていました。おしゃれだけれど、客は少ない。当麻寺の坊をちょっと見ましたが、どこもシーズンに備えて工事中。でも、寺社周りの好きな弟は喜んでくれました。

 夕刻、近鉄当麻駅で別れる。弟は今夜は京都の姉の家へ。帰宅すると、弟が土産代わりに送ってきた「伊予かん」が一箱届いていました。昨夜持参していた故郷の銘菓「鬼瓦最中」は母の持たせたものだったのです。どちらもおいしい。

来る人

 ジェイソン・ウーさん(台湾出身アメリカ在住デザイナー、26才)

 オバマ大統領夫人のファッションが話題ですが、就任式の黄色いスーツ(デザイナーはキューバ出身でした)についで、話題になったのが、その後の公式祝賀ダンスパーティーでの肩を出した白いドレス。ニューヨークで小さなブティックを営むウーさんに、有名店を通して注文があったけれど、まさか、舞踏会で着てくれるとは・・・。

 テレビ中継で自分のドレスを見て、飛び上がって、食べていたピザをぶちまけたそうです。もちろん一夜明ければ有名人。9才で台湾から移住したウーさんもまた、アメリカンドリームの体現者のようです。 

愛原 美花 (あいはらみか)さん  タカラヅカ雪組の次期娘役トップに決定

初舞台は04年。5年目のトップは娘役では早い方でしょう。お父さんは劇作家、つかこうへい。相手男役はベテラン、水夏希(みずなつき)。7月31日の大劇場公演がお披露目です。


2009年2月13日
 
朝早めに起きて、パソコンを繋ぐと、目に飛び込んで来たニュース。ちょっと意図的な空気も感じますが、事実だとしたら、やはり問題。

  鳥取県の公立小学校には「学級委員長」がいない。リーダーを決めれば差別につながる、との抗議を人権団体などから受け自粛した結果なのだそうだ。しかし、2009年春から鳥取市で1校だけ20年ぶりに「学級委員長」が復活する。市の教育委員会が2、3年前から子供達の社会性、自主性を育てるために復活を呼び掛けてきた成果らしいが、後に続く学校が現れるかはわからないという。
  2月12日19時25分配信 J-CASTニュース
 
これに続いて、例の「体育大会で順位をつけない」、云々の記事があって、最後に、「愛媛県(故郷だ!)でも、現在、半数の小学校に学級委員長はいない」と結ばれる。いつの間にそんな「学校社会」になったのだろう。
 
 名称も選び方もいろいろあっていいけれど、横並びがすべていいはずはない。委員長に選ばれて、しんどい思いをしながらやったこともあったけれど、クラス会や生徒会で活動して、学んだことも多くありました。教師や学校にもの申し、なかなか報われなかったこともありましたが、良い経験でした。
 
 こんな形で、生徒の自主性、リーダーを育てず、担任中心による小さな「学級王国」を作らせてどうするのでしょう。オバマさんとまでは言わないけれど、意欲的な若いリーダー、政治家が現れる道は遠いように思います。
 
 こうなることはわかっていたのに・・・麻生さんの支持率落下で自民党がごたごた。小泉さんの、この時期での発言、内容はごもっともですが、郵政民営化だけでなく、定額給付金まで踏み込んだ発言の真意は?「自民党をぶっつぶす」のは結構ですが、笑いながら座して、ぼたもちが落ちてくるのを待っているのが、民主党の小沢さんというのもなあ・・・。
 
 自分たちが選んだリーダーという実感がない今の日本の体制。もう、根こそぎ(教育から)変えなければならない時期に来ているのではないでしょうか。
 
 では、学校に行ってきます。

2009年2月12日
 
 「 水仙の花は花丸 小学校」 新聞俳壇より 平塚市 三島さん
 
 貴重な休日の11日。嫁ハンとブランチに。応神天皇陵の傍から流れ出して、藤井寺の東部を過ぎり、大和川に注ぐ小さな川の土手にずっと白い水仙が咲いています。水仙境の能登や淡路島へ行かなくても、ここで見れるよ、と負け惜しみ。
 
 もちろん、道明寺の紅白梅と道明寺天満宮の梅林も観賞。香りを満喫しました。
 
 その側のファミレスでバイキング。たっぷり1時間、野菜を含めて食べて、食べて、そして夕食は抜き。もちろん酒も。
 
 スクラップの整理をしていて、見つけた正月の一面広告。淡路島の遙か上空から捉えた近畿半島の風景写真。真下に淡路の島影、左下に明石大橋、神戸空港、右下には関空、真ん中に見える広い河口は淀川、小さな丘に見えるのが生駒山地、奈良、京都盆地の向こうに琵琶湖、そして右上の青い部分はよく見ると伊勢湾・・・。この世界に何百万という人の営みがあるのだ。よーく見ると、幽かに大和川の上流に応神天皇陵が見える、その側に私たち家族は暮らしているのです。
 
 古代、ふたりの神がこの高みから降りてきて、混沌の海に鉾を降ろして、淡路島を産んだのだ、そんなことを連想したのは、違った意味で建国記念日だったからかもしれません。
 
 暖かな日でした。明日はもっと気温が上がって「春一番」が吹くとか。
 
 考査の採点が終わり、平常点を出し、出欠を確認、そして、今日も午後から10件生徒宅へ電話。でも繋がったのは半分でした。これはかなり確立が高い方。使われておりませんという電話や、呼び出しに応えない場合も相変わらずあり。授業料の問題や、来年度の科目申請、個人ロッカーの整理の問題もあります。懇談を2件、約束して、数歩前進といったところですが・・・先は厳しい。
 
 会議もあって疲れ切って、帰宅の途へ。いつもは量販店で買うのだけれど、偶にはデパチカの酒売り場へ。奈良の酒を一口試飲したら元気が戻ってきました。明日、来阪する弟の為にビールも買って、重いけれど、しっかり抱えて帰宅しました。
 
 家に帰ると、一昨日上の息子が職場から貰ってきた、伸び過ぎた梅の枝の小さな蕾が、それぞれ花を開いていました。蕾のまま落ちるケースが多いので、昨日から南の窓際の棚の上に置いておいたのです。
 
 それにしても、アベノ近鉄前の路地で壁にもたれて泣いていた若者、気になるなあ。20才前と見ました。側で同じ年齢くらいの女の子がタオルハンカチを渡して慰めているようだったけれど、何があったのだろう。
 
 最近読んだ作品
 
「有翼日輪」 皆川 博子
 
 スペインらしき田舎の農家の壁にフレスコ画を描く日本人と出会う大学生。その画家は足が不自由らしい。話は一転。戦時中の東京、メンコに明け暮れる悪ガキたちは、一方で軍国少年で当然のことのように空軍に憧れ、それを志す先輩達にも憧れる。それが屈折した愛と独占欲に繋がり、悲劇を生んでゆく・・・。荒っぽい構成が却って新鮮です。「有翼日輪」は両側に翼を持った太陽の図柄。古代エジプトより伝わるそれはここでは軍神のシンボルとして使われてはいます。

2009年2月11日
 
「 妻逝けり 霜焼けの手の 癒えずして 」 新聞俳壇より 岡山市 大本さん
 
 農家なのでしょうか?働いて働いて亡くなった奥さんの手をさすって、感謝と悔恨と・・・。
 
  ざっくりと編まれたニット。いちばん寒い季節にはこれが懐かしい。「アランニット」って名前は聞いていたけれど、アイルランドのアラン諸島の漁師の間に生まれたものだと最近知りました。防水と防寒が目的なので、暖かいが、いかにも重そう。
 
 その労働着がグッチから離れたトム・フォードの手に掛かったら、軽く仕上げて、おしゃれな街着に。オフホワイトも暗い色の多い冬の町に映える。でも、カーディガン96万円、タートルネックニット48万円ってえのは・・・労働者にはどがいもなりません(笑)。
 
 昨夏、大動脈解離から復帰した石川セリさん、23年ぶりのアルバムを出したけれど、あれから元気かなあ?我々の世代では1971年の映画「八月の濡れた砂」の主題歌が頭から離れません。あのざらざらした映像も、乾いた感性も・・・。
 
 復帰会見での言葉「バラの花って、どんどん花びらが散って崩れてゆく様が美しい。音楽もそう。チーズのように熟成させると、すばらしいものになるのでは・・・」これからもうひと花咲かせてくれるのかな。
 
 家のトイレに張る絵はなぜか私の担当。一月の「序の舞」に続いて二月は「飛鳥の宮の額田王」。今年は日本画で迫ろうか。でも、息子達にとってトイレは新聞とマンガを読むところのようで、気づく気配もありません(苦笑)。
 
 12月からの電車通勤、定期を出すのがいつも小さな悩みでした。ポシェットの一番表の定期入れ用としているポケットに、近鉄と地下鉄の分を入れているのですが、出すときいつも二枚出して、どちらかなと判断するのがじゃまくさい。先日、ふと思いつく。それぞれの定期を入れる場所を変えればいいのだ。それで地下鉄の分を鍵入れのポケットに同居させてもらう、これで、いちいち見ないでもスムースに取り出せる(苦笑)。しょうもないことですが、こんな小さなことで、少しずつ、身体も電車に馴染んでゆくのでしょう。
 
 行く人  
 
大木康子さん( シャンソン歌手、肺ガン、66才 )
 
 素敵な歌手でした。平岡精二クインテットにいてはったんだ。二年前に嫁ハンもご一緒させていただいたそうです。66才は若い。でも、嫁ハンにはその時、私は60才と言ってはったらしい。数才の誤差、許します!
 
 
最近読んだ作品
 
「五色の旗」 阿刀田 高
 
 父の通夜に来たその女性は、やはりわけありだった。だんだんあきらかになってゆく、両親の事情母の悲しみ。母はだまって紙で箱を折る。美しい異母姉の登場。それらがすべて曖昧に過ぎていって、月日は流れ、今、主人公もまた知らず知らずに紙で箱を折っている。
 
「良妻賢母の歌」 赤川 次郎
 
 宇野刑事と女子大生夕子のコンビのシリーズ。中華料理店で結婚式を控えた花嫁が、式直前にひき逃げされる・・・。ミエミエなのに、必ず一カ所、うまいなあと思わせるところを用意している。偉大なるマンネリか・・・。大変な持続力です。赤川さん、お体にご注意!
 

2009年2月10日
 
 最後の授業で「最後の授業」をやって、今日から期末考査です。今日は担当科目の試験がふたつあって、例によって、ネクタイを締めてゆきました。これで接するのが最後になる生徒が何人かいるからです。
 
 質問に応えるための移動監督やら、教室周りで結構神経使っているのでしょう。午後からどっと疲れがでました。でも、出欠の確認、平常点の算出、そして必死に採点して、なんとなく充実感を持って帰宅。とにかく、仕事が出来ることは幸せな状況なのでしょう。
 
 きれいな月が出ました。十六夜の冴えた月です。明日が休みなので、午後八時半からのテニスのレッスンにも思い切り力が入る。大汗をかいて満足。
 
 有森裕子さんんp文章を読んで、ショック。いままでやってきたストレッチはみんな誤り?冬はとりあえず、アキレス腱を伸ばしてと思って、前傾姿勢で足首を伸ばす。それは寒い時には細かい筋を切ってしまうそうです。ゆっくり、反対に身体を反らしながら、交互にゆっくりアキレス腱を刺激してゆくことが大事なのだそうです。
 
 私は、自分で決めたストレッチの流れに乗って、とにかくノルマを果たそうという方向でした。就寝前の運動もそう。でも、ゆっくり、身体を横たえて、その時に身体が欲しているほぐし方を与えること。その大事さを文章の通りにやってみて感じました。
 
 目を閉じて横たわると、解る。今日は、肩が凝っている、腰が痛い、首が回らない、腰がだるい・・・その日によって、その部所が求めている運動をゆっくりしてやればいいのです。今は、決まったメニューでなく、ぼちぼちその日、痛む部分を労るようにしています。
 
 
今回のビッグコミック・オリジナル(2月20日号)は面白い。
 
「深夜食堂」はミート・スバゲッティを素材に、年輩の独身女性の悲哀を。めずらしく連作の「3丁目の夕日」は、蛍野クンと窓野雪さんが、中学時代からの初恋をやっと実らせてほっとさせる。
 
 「放浪雲」が深い。毀誉褒貶、出来不出来もあるけれど、今回は秀逸。炭団(たどん)屋に努める、明るい男、八吾郎。奥さんとかわいい息子。周囲を和ませ、家族に愛され、どこからみても幸せと見えたのに、突然、夕食の席を立って、ぴしっと戸を閉めて出てゆく。そして、袂に石を入れて大川に身を投げる・・・。
 
 周囲にも、家族にも、なんで死んだのかわからない。川のそばに佇む母子、息子がいう「何があったのかな?」「どっこいしょ」と母親が立ち上がり「別になんにも・・・」。河原で若い娘といちゃついていた放浪雲がぼんやりそれを眺めている。
 
 八吾郎は無意識に自分を殺し続けていた。彼の明るい声は、心の悲鳴だったのに・・・。
 
最近読んだ作品
 
「男の三つのお話」 ジャンビーン・ダシドンドク
 
 珍しいモンゴルの物語。図書館でたまたま手にした文芸雑誌に出ていたので早速授業で使いました。訳は津田紀子さん。舞台は「ナーダム」。国民総合競技大会かな。これに出場する人々が、この作品の主役達。
 
 第一話。弓の競技に出場する老人は会場に向かうバスで、折からの雨で洪水の川に流される少年をその弓の腕で救う。
 
 第二話。競馬に出場した六才の少年は妨害にあいながら、長年のパートナーである愛馬で優勝する。
 
 第三話。モンゴル相撲に出場する力士たちの乗ったバスが、ひとりの力士志願の羊飼いの若者に出会う。それは長年、幼いラクダから成長したラクダを背負い続けて力をつけてきた大器だった。その若者の敗れた横綱は、自分はバスから降りて、若者に席を譲る。
 
 それぞれに味わいのある短編。児童文学の枠を越えた深さと広がりがあります。
 

2009年2月8日
 
「 着膨れという幸せの中にいる 」 新聞俳壇より  盛岡市 小野さん
 
 バザーに出したり、処理してしまったりしたので、手持ちの冬物セーターが3枚しかなくなりました。でも、これで充分。着る物はまだまだあります。幸せな時代に生きています。昔、母が自分のセーターをほどいて、子ども達のセーターに編み直ししていた姿を思い出します。
 
 シャツを重ね着して余寒を凌いでゆきます。
 
 穏やかな休日。久しぶりのテニスの公式戦(団体戦)に出場。完敗(予選リーグ敗退)でしたが、サーブも入ったし、納得のゆくプレーが出来たのでまあ満足。でも、ダブルフォールト1本と弱気なロブ2本上げたのは反省点。試合ではもっと過激に攻めなければ・・・。
 
 昼過ぎに終わったので、反省会やら、午後のテニスやらに行くメンバーと別れて、真っ直ぐ帰宅。傾いた暖かい日射しの中でビールを飲んで、日本酒に変わったええところに電話。「予選リーグの3位決定戦が残っていますよ!」
 
 えーっ!そんなこと聞いてないよ、もう飲んでいます!動けません。あとのメンバーは?みんなそれぞれアルコールが入っているようです。というわけで、わがチームは棄権。これは猛反省点。相手チームのみなさん、ごめんなさい。でも、おじさんチームはもう体力の限界でした。今日の相手はすべて10から30才年下でした(苦笑)。私自身はそろそろ公式戦から引退の時期かなと思っているのですが、我がチームのメンバー(私が真ん中)は気分が若い人が多いので、まだまだやる気みたい。
 
 「羊たちの沈黙」の恐怖のハンニバル教授を演じたアンソニー・ホプキンスは出演時間が11分だったんですって!それで、アカデミー主演男優賞。映画を支配した存在感は時間では計れないのですね。
 
 そういえば、名舞台「近松心中物語」のヒロイン、梅川の出演時間は、2時間半の舞台で30分間でした。でも、太地喜和子さんのイメージは強烈でした。
 
行く人
 
 山内一弘 (元野球選手・監督 肝不全、76才)
 
 「ミサイル打線」時代の勇姿は、見ていませんが、オールスターでの活躍は憶えています。監督、コーチ時代に、相手チームの選手にまで指導したのは、パフォーマンスでなく、単に野球好き、教え好きだったのでしょう。いい顔をしてはりました。
 
最近読んだ作品
 
「冬を越したハチドリ」 ウイリアム・サローヤン
 
 これは好きな小品で、いつも冬休み明けの教材に使います。舞台はカリフォルニア。時代は20世紀初頭。仲間にはぐれて?南に渡らないで冬まで残ってしまった1羽のハチドリ、弱ったそれをみつけて手当するのは、アルメニア移民とおぼしき、貧しく目の不自由なディクラン老人(名前がいい)と、隣家の少年の「わたし」。
 
 暖めたハチミツと呼気で生き返ったハチドリは部屋の中を飛び回り、やがて寒い外へ出たいそぶりをする。少年は迷うが、ディクラン老人は窓を開けて出してやる。
 
 夏が来て、ハチドリがたくさん飛び回っている、あのハチドリは生きてあの中にいるのかしら?と問う、少年に、目の見えない老人は「あいつが見えないかい?1羽1羽がみんなあいつなんじゃ」と応えてやる。

2009年2月7日
 
「 故郷の 小さき川の 薺(なずな)かな 」  新聞俳壇から 今治市 藤原さん
 
 なつかしい感覚。川の傍の若菜、やがて咲く白い小さな花。作者を見ると今治市。なんや、故郷だ。藤原さんて、知り合いかもしれません。
雑誌で、消えゆくディーぜル機関車の特集があって、両開きで海岸を走る写真が載っている。どこかで見た景色と思ったら、今治市菊間賞町とある、やっぱり我が町だ。もうすぐ、海に注ぐ菊間川の河川敷がずっと黄色や白の花で覆われる、年で一番美しい季節です。
 
 風のない穏やかな3月はじめの陽気。午前は歯の定期検診。清潔な(1日2回掃除をするのだって!)診察室には白でなく黄色い(!)マーガレットの花。気持ちよい歯科衛生士の先生(美しい!)の対応で、左表奥の歯が磨き残していますよ!と言われて、素直にハイ、スミマセン、がんばります、と謝ってしまう。今日は診察料3千円。でも、その値打ちはあります。あると思う。あるんじゃなかいかな?
 
 午後はテニス。好天に恵まれ気持ちよくプレー。でも、4時間のところ3時間で切り上げる。明日の試合に備えて、家でお酒を飲んで?休養です。
 
 最近心に残った言葉
 
 「 習わずに 良し悪し言うは 愚かなりけり 」 利休
 
確かにその通り。定年後きちんと習いたいもの。ピアノ、お茶、ダンス・・・
 
 時節柄、空き巣なども増えているようです。家に帰って入り口で異常を感じたら・・・急いで飛び込まない。玄関で泥棒と鉢合わせ、強盗に早変わりなんてこともがあるそうです。
 
 まず、ドアを開けて身を引いて、泥棒さんに逃げて、いや退出していただく、そのことを頭に入れておくようにと、警察のだれかが言っておりました。ウチも気を付けよう。
 
 ここんとこ毎晩あちこち生徒宅へ電話。なかなか繋がらない。授業料の請求と思って電話を取らないらしい。やっと、繋がったAさん。もう4ヶ月登校していない。精神的に参っていて、母子3人でカンウセリングを受けていて、病院へ行く以外は家に籠もって、だれが来ても会っていないという。父親の激しいDV(家庭内暴力)が原因で逃げて来ているのだそうです。それが電話に出られない原因だったのですね。
 
 明日は登校します。進級はムリとわかっていますが、来年度に備えて、身体が学校へ向くか、試してみたいから・・・。そうか、じゃあ、気を付けていらっしゃい。朝から、教科担当の先生に連絡して待っていましたが、やはり、来ませんでした。
 
 Bくんの家。本人はもう一年以上、運送会社で元気に働いているのですが、お母さんがまだ学校に戻ってほしいという気持ちを捨てきれない。なんとか、もうすこし時間をください。そうですか。また、来月電話いたします。
 
 スポーツ・コラムニスト、高田実彦さんのエッセイから
 
 北京五輪で星野ジャパンが振るわなかったのは、名参謀、島野育夫さんがいなかったからだ・・・。強烈な個性の、監督(指導者)には必ず、怒られ役、「怒りの衝立」が必要。川上監督と牧野コーチ。そして広岡達朗と森昌彦。
 
 でも、最後のふたりは最後に決別してしまう。それは相性が合いすぎて、同じ女性を好きになってしまった。その女性が森昌彦の二番目の奥さんなのだそうです・・・。

2009年2月6日
 
 「 終電の オーバーコート 振り向かず 」 新聞俳壇から  神奈川 石川さん
 
  雑踏の中で、ふと気になる人、まっすぐに改札口から深夜の闇の中に消えて行きます。これも一期一会。
 
 昨日のエアコンの件。なんでタイマーを使わないのですか?というご質問。全くその通りでございます。実は居間は、嫁ハンがタイマーをセットしています。炊飯器も。でも、なぜか、私はタイマー嫌い。なんや信用できない。自分でスイッチを入れなければ気が済まないアナログ人間なのです(苦笑)。今日も、主のいない(早番だと言って昨夜遅く出勤していった)息子の部屋で、目覚まし時計がしつこく鳴っていました。
 
 思えば、昔から目覚まし時計というのが大嫌いでした。あのいきなり鳴るという事象が嫌で、鳴る直前に目を覚ましてしまう、それでいつの間にか起きたい時間に起きられるような体質になってしまいました。例えば、朝4時半に起きようと思えば、何時に床についてもその時間に目が開きます。時間を指定しなければ、5時55分。人間の体内にはまだ不思議な機能が残っているようです。
 
 安野光雅さんの話 ふたつ その1
 
 スケッチしていると、親切な通行人が、描きかけの絵と実物を比べて、窓の数が足らない、教会の十字架がないよ、とか教えてくれるそうです。画家はもちろん意識して変えたり、外したりしているのですが、その度に安野さんは「どうもありがとう」と礼を言って、そのように書き直すのだそうです。
 
 「だって、相手の顔を立てないと・・・」と言って、おだやかに笑っている。
 
 この人柄ゆえのあの作品。で、もちろん後で描き直すのでしょうね。
 
印象に残った言葉
 
「自分のやるべきことはやり遂げた。このひと言を残して世を去りたい」 (ジョン・スチュアート・ミル)
 
「やるべきこと」か「やりたいこと」か?原文が気になります。助動詞「べし」には義務、当然、希望の意味もそれぞれありますが・・・。
 
行く人
 
エドモンド・ド・ロスチャイルド氏 (英銀行家、93才)
 
 世界的な富豪の一員。30回以上来日した親日家。園芸家としても有名で、彼が再建した「エクスベリ・ガーデン」(105ヘクタール)は一度訪れたい場所です。
 
ジョン・アップダイク氏(米作家、肺癌、76才)
 
 学生時代にいくつかの短編を読んだ記憶あり。今回の訃報を聞いて探しましたが、引っ越しの祭に処分してしまったようで、見つかりませんでした。
 
青山 孝史さん (歌手、肝臓癌、57才)
 
 私と同年輩。元フォーリーブスの一員。童顔で愛らしく、グループの歌の中心。「壁の向こう」「ブルドック」などが印象的でした。報道によると、子どもさんはまだ小さく、結婚(再婚?)が遅かったのでしょうか?
 
 

2009年2月5日
 
 「 山眠る 人は寒くて 睡られぬ 」  新聞俳壇から  秦野市 熊坂さん
 
 最近やっと付いた知恵。体内時計で不思議に5時55分に目ざめるのですが、寒くて、起きるのが辛い。枕元にエアコンのコントローラーを置いてスイッチ・オン。そして、今度は俯いて二度寝。これが気持ちいい。10分後に部屋が暖まった頃、起きあがって着替え。なんでこんな簡単なことに長年、気が付かなかったのだろう。
 
 「山眠る」は冬の季語です。でも、もう春ですね。
 
 昨秋、上海で買ってきた「一葉茶」。小さい箱に数百本の茶の茎のようなもの。一本入れて熱湯で淹れるだけで1リットルくらいのお茶が入る。湯の中で茶の葉が大きく開いています。肝臓に効くと、チャイナドレスのきれいなおねえさんに説明されて、喜んで買ったもので、毎朝自分で淹れて職場にもペットボトルに入れて持参しています。気のせいか、肝臓の調子もいいみたい?まだ、半分くらい残っています。
 
 嫁ハンがー
たくさんお茶飲んでいるけれど、あなた気を付けてね。
なんで?中国産やから?
いや、今、一番危ない食物がお茶だって聞いたから?なんでやねん?
お茶ってクスリちゃうのん?
それは昔の話。だって、お茶って収穫して、そのままで洗わないでしょ?野菜は洗うけれど。 
そりゃ、洗ったらおしまいやろ?乾かすだけだよね。
そう、だから、雨も消毒液もみんな残っているんだって。だから、知っている人は一番だしは飲まないで捨てるそうよ。
げげっ!
それに、お茶栽培農家は自分とこで飲む分は別に作っているんだって・・・。
 
それでも、気にせず、今日も飲んでいます。一度飲み始めたものを途中では止められない。勿体ない。このあたり融通の利かないケチなのです。最後の一本まで飲み尽くすぞ。
 
 通勤の電車で本を読んでいる、マスクをしているのですが、呼気がマスクの上の隙間から上がってきて、すぐ眼鏡が曇ってしまう・・・。どうしたもんじゃろ?と同僚に問うと、ちゃんとその為のグッズを売っていますよ。
 
 仕事柄、毎日プリントを配布します。冬は指が乾燥してうまくめくれない。指を舐めるのはちょっと下品。指サックをしたら指が蒸れる。どうしたもんじゃろ?と同僚に問うと、「アリマスヨー」と小さな穴の開いた指サックを呉れる。どこで買ったの?ロフトでしたっけ?6個入り178円です。
 
ちょっとした工夫で生活は便利になり、それはアイデア商品にもなるのですね。
 
 昨年暮れの話題のステージ。「桑田佳祐のひとり紅白歌合戦」を見る。巨大なアリーナ、ステージで豪華なバンドを率いて、昭和の男女の歌手の名曲を交互に歌ってゆく。お遊びもパロディもたっぷり、でも、なにより本家がビジュアルに走ることに反発して?ひたすらシンプルに歌を歌い続けることの迫力。すべての曲を知っていて歌える自分もこわい(笑)。それにしても50曲以上を歌いきる桑田佳祐の体力、迫力。エンタテイナーです。大観客は大満足。歌詞はどうやらモニターに映っているようでした。
 
最近読んだ作品
 
「冬の華」  乙川 優三郎
 
 幕末、長崎遊学を終えて、蘭医学を身につけて北陸の町に帰ってきた武士でもある主人公が、さまざまな厳しい現実とぶつかりながら、なんとか生きて行く。
 
 江戸から連れ帰った美しい妻は良くできているが、町人出身で、地方の古い因習や侍社会に馴染めない。主人公は江戸への憧れと田舎町で埋もれることへの焦りの中でもがきつつつ、医師として、夫として、人間として成長してゆきます。
 
 貧しさの中で、窓のない小さな部屋の片隅で死んでゆく健気な若い娘と、その親たちの交流が、主人公と読者の胸を打ちます。「雪の華」はその娘に主人公が与えた妻の簪です。
 

2009年2月4日
 
「 春立つ夜 あの世の友にも 為事あれ 」 中村草田男
 
 山田太一さんのドラマ「ありふれた奇跡」で主人公の青年の自殺未遂歴が明らかになります。営業の仕事で追いつめられて、プライドをずたずたにされて、死を選ぼうとします。そして、おじいちゃんに救われる。
 
 9年前にスイミングスクールでお世話になった学生アルバイトコーチ「ジョナサン」を思いだしました。名前は知りません。捨て猫を拾ってきて「ジョナサン」と名付けて飼っていたので、みんな彼をジョナサンと呼んでいました。無口でいつもにこやかに笑っている。不動産屋に就職が決まり、梅見、そして花見を兼ねてお祝いをした春、私も転勤してスイミングスクールを辞めました。無口な彼に営業が勤まるかなあと心配していたら、その5月の連休の雨の朝に、河内長野の寺が池の傍で縊死しているのが見つかったのです。
 
 香川県綾歌郡出身だと聞きました。彼の事を思い出すといつも涙が出ます。大阪芸大出身でした。あの世で、好きな建築設計の仕事をしていればいいけれど・・・。
 
 私も転勤直後でばたばたしていて、連絡も取らず、ジョナサンの苦しみも知らなかった、彼を救ってやれなかった・・・その悔いが、いつも春になると、そして香川を走っていると、改めて心を締め付けます。仕事なんて辞めればよかったのに・・・。
 
 立春の朝は二上山麓に深い霧が湧いて、めずらしく電車が延着しました。
 
 駅前の無料自転車置き場に置いていたはずの自転車がない。すわ盗られた!と思ったら、前日雨が降って職場に置いて帰ったのでした(苦笑)。
 
通勤路に肌色の塊が点々とある。なにかの糞かと思ったら、昨晩の節分の豆でした。あちこちで鬼サンが逃げ回り、その時踏みつぶしたもののようです。
 
 
最近印象に残った言葉
 
「 変わらず生き残るためには変わらなければならない 」  映画「山猫」からのセリフ
 
バブルに青春を送った連中は、恋も仕事も名誉も自由も、あれもこれもすべて均等に手に入れようとする・・・そんなのムリ!
 
「上京花日」(じょうきょうはなび)ー「ビッグコミック」連載から
 
破天荒でいて繊細、主人公である書店のカリスマ店員は、お節介の塊。マンションの隣人で、嫌われ者のとんがったキャリア・ウーマンを、やさしく厳しくうまく叱る。映画のセリフを上手に引用しています。

2009年2月3日
 
 「 仰ぐたび 人は老いゆく 冬桜 」 新聞俳壇から 龍野市 正田さん
 
 校外巡視で廻る、瓜破霊園では、しだれ桜が咲いています。でも、寒そう。沖縄はもう23度だったそうですが・・・。
 
 そして今日は節分。校庭の梅もよく匂っています。豆をいっぱい持ってきてくれた同僚がいて、みんなでいただく。私が、さすがに58個は食べられないなあ、と言うと、ぶりっ子の30代の同僚が、じゃあ、私は18個!としゃあしゃあと言うので、ぶってやりました(笑)。
 
 商法に乗せられて、巻きずしにかぶりつく。恵方は東南東?だまって食べるのはムリでした(苦笑)。
 
 息子のホテルはやはり快適でした。前にも書きましたが、O・ヘンリーの「桃源郷の客」を思い起こします。年に一度か二度、訪れたい。その意欲を諦めず、持ち続けたいと思います。
 
 ホテルの部屋で見たテレビの番組でピーター(私と同年代)が語っていました。
 
 「美の秘訣は、腹6分目(8分でもない)と8時間睡眠」、夜遊びはとっくに卒業したそうです。「六本木のピーター」として妖しい美少年で売った10代から40年を経て、まだしっかり生き残っている底には、しっかりした自己管理があるのですね。それにしては歌は下手になっていましたが・・・(苦笑)。
 
 最近知った言葉
 
 「翻身」(ファンシンーほんしん) ー本来は「身を翻す、身体の向きを変える」という意味だけれど、近年は「改めて立ち上がる」という意味に使われるそうです。定年後、リストラの後、引退後・・・。それぞれの翻身があるのでしょう。
 
最近読んだ本
 
「ヴェクサシオン」 新井 満
 
 1987年初版のデビュー作品集。なんとも言えないデリケートでみずみずしい感覚。ステキだかちょっと危うく、自意識過剰の点も。それが青春、若さというものなのでしょうが、微妙に捻って、屈折しているのもお約束ではあります。
 
 主人公は斜視の男と、耳の聞こえない女、バックにサティの音楽と海のビデオ。最後に男の斜視と海の情景が活かされる。
 
 装丁が凝っている。白い地に背表紙はピンクの字、表紙は真っ赤な字で題名、その下に紺で作家名、真ん中にデュフィの絵。食卓にセラミックの鉢、空のワイングラスとデキャンタ、正面に窓、その向こうに白い手摺りのベランダとその向こうの波立つ青い海。それがもう物語の世界への入り口なのです。
 
 みごとにその世界に連れ込まれ、泳がされてしまいました。それにしてもやはり後味にはほろ苦さがあります。題名はサティの曲名で意味は「苛立ち」。
 

2009年2月1日
 
  根詰めた仕事の後の楽しい仲間との飲み会は最高。河内長野市内での居酒屋のあと、藤井寺でのスナック。どちらも楽しく、あっという間に午前様。
 
 それでもなんとか6時前に起きて、座禅に。少し頭が痛かったけれど、短時間だったこともあり気持ちよく座れました。いわゆる凌ぎやすい春秋より、厳しい寒さや暑さの中の方が座禅は充実感があります。
 
 帰宅して、昨日の問題を改めて解きながら基本解答を作りつつ点検。問題用紙にも、解答用紙にもいくつかミスを発見。明日早速訂正しなくちゃ。印刷は木曜に予定(これが結構ややこしいのです)。考査は次週の火曜日です。
 
 それにしても、細かい作業がさらに不得手になってきています。焦らず、目の前のひとつずつ片づけてゆくこと。メモを忘れないこと。老いに備えて、学ぶことが多い毎日です。
 
録画していた「第66回ゴールデン・グローブ賞」をやっとちらっと見る。
 
今回のハイライトは亡くなった若手俳優、ヒース・レッジャーが助演男優賞を受賞。スピルバーグ監督のセシル・B・デミル賞(プロデユーサーに与えられる)受賞など。ブランジェリーナ(二人とも主演賞候補だった)始め、スターが揃って華やかでした。
 
 今回のヒロインは主演・助演女優賞を(もとろん違う作品で)ケイト・ウィスレット。ダイエットしない女優として有名でしたが、この夜はきちんと絞ってきて、黒いドレスを華やかに着こなしていました。助演賞を貰った「愛を読む人」は「朗読者」の映画化だったのですね。数年前のベストセラーでその時読んで、この欄でも紹介しましたが、あの役をケイトが演じるか・・・?これは見なくては。
 
 先日触れましたが、もう10数回ノミネートされたメリル・ストリープのダブル(主演「ダウト」・助演「マンマ・ミーア」)での候補になる活躍が相変わらずすばらしい。全く違う傾向の作品で、しかもひとつはミュージカルです。好き嫌いはあるけれど、進化を続ける大女優です。
 
 「スラムドック・ミリオネア」がドラマ部門の作品賞。今月末のアカデミー賞が楽しみです。でも、もっと映画館へ行かなければ・・・。
 
 では、今から息子のホテルへ行ってきます。



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