Kan-Kan の雑記帳



2010年1月31日
 
「 朝青龍 昼は土俵で 夜リンク 」 徳光アナ
 
  あれこれ揉めているようですが、私の提案。事件が立証されるのでしたら、われわれと同じく懲戒免職、立証されないのなら、抜群の力量を持ったレスラー、まちがい、力士ではあるのですから、「横綱」の地位を剥奪、平幕からやり直させばいいのではないでしょうか。
 
 それにしても、事を起こした後の対応の悪い(誤魔化す、隠す、言い逃れようとする)こと。それって、今の高校生にもそっくりあてはまる状況です。余計に事態を悪くするだけってことがどうしてわからないのだろう。
 
  引退した千代大海が「笑っていいとも」に出演、不良だった大分時代、九州場所に来ていた千代の富士(九重親方)に入門を願いに行く。「舐められないように」(?)と、金髪のままで行ったところ、「何しに来た!?」と言われ、翌日坊主にして行って入門が認められたとか。なんちゅう奴ちゃと思ったけれど、その妙な素直さが伸びた原因だろうと九重親方。
 
 「トイレの神様」ーたまたま車の中のFMで聴いた話題の曲。事情でおばあちゃんに育てられた少女の成長と祖母への反発、そして祖母の死とその直前の再会を歌う。ベタな内容なのですが、ジンときました。私がおばあちゃん子だったこともあるのでしょう。題名は、トイレ掃除を嫌がる少女の「私」に、トイレにはきれいな女神様がいて、丁寧に掃除すると別嬪になれる、とおばあちゃんが説いたところからきています。
  
 今日、気になった言葉・・・日経新聞、読売新聞から
 
小椋圭さんへのインタビュー
 
「僕がデビューした時、まだ言葉には力があった。しかし、その後、映像表現が中心となり、言葉は無視された。その結果、ゆきついたのはあいまいコミュニーケーション。言葉の喪失は考えることを喪失した時代でもあるのです」
 
同感です。きちんと考えない時代になって来たように思います。
 
 名物記事「私の履歴書」1月は細川護煕元首相でした。今日完結。
 
 最後は「私の死亡記事」ー99才で湯河原の不東庵で死去(の予定)。墓石には「長居無用」(この言葉を選んだセンスはええけど、99才はしっかり長いで)と刻んで用意してあった。架空の陶芸家による追悼文も用意「陶器のほか、書や油絵もたしなみ、文武両道の家風を受け継いだが、政治だけは轆轤(ろくろ)で回すようなわけにいかないと話していた」
 
最後に英国詩人、ステーブン・スペンダーの詩を引用して、おそらく最後になるであろう挨拶に代えています。
 
 「 真に偉大だった人々のことをわたしはいつも考える
  生命のために生命を賭けて闘った人びとの名前を
  心の底に情熱の炎を燃やしていた人々の名前を考える
  太陽から生まれた彼らは
  太陽に向かってしばらく旅し
  その後に彼らの名誉を示す
  生き生きとした風を残した 」
 
読売の書評欄から
 
「ヒトラーの秘密図書館」
 
 読書は本当に為になるのか?ヒトラーは毎晩一心不乱に1冊から2冊の本を読み続けた。それは高校中退し。十分な教育を受けられなかったコンプレックスの表れでもあった・・・。
 
優生学者マディソン・グランドの著作から人種差別的な理論を受け継いで、それが「わが闘争」に生まれ変わってゆく。その怖さ・・・。
 
 読みたいような、読みたくないような・・・。
 
 全豪オープンテニス。女子のシングルスは激しい打ち合いの末、セレナが優勝。それにしても、久々復活のエナンは奮闘で、ナンバーワンのセレナを苦しめました。その集中力はすばらしかったです。
 
 雨の日曜日。咳を治すためおとなしくしていました。下の息子は大阪女子マラソンと同時に行われた一般ハーフマラソンに参加。なんとか完走はしたみたいです。私の参加する河内長野マラソンは来月21日。今週末、練習出来なかった分心配です。完走できるかなあ。明後日から帰省します。
 

2010年1月30日
 
「 古寺や 大日如来 水仙花 」 正岡子規
 
 咳が続いているので、週末のランニングは止め、テニスもすべてキャンセル(全豪オープンテレビ観戦で辛抱)、万一インフルエンザだったらもう観念しますが、まだ熱はないのでちょっとおとなしくします。
 
 それでも金曜は、前任校のあつまり。懐かしい人々と楽しく語らっていて、つい飲みすぎ。でも気持ちよく飲めたので土曜朝は、いい天気もあって爽やかな目覚めでした。久しぶりに会っても、このHPを見てくれている方とは近況報告する必要がないので、なんかすぐ話題が核心に入って、楽なような、変な気分(笑)でした。怪我をして来られなかった友人の為に、花見を企画することに決定。春の楽しみが増えました。
 
 テレビでジョン・トラボルタ(「サタデーナイト・・・」の軽かった兄ちゃんが、雌伏期間を経て今や大スター)のフロリダの自宅が映っていました。左右の棟にふたつの搭乗口があってそlこから自家用ジェットで隣家との共用の滑走路へ。先日ここから自分で操縦してハイチへ救援物資と医師を運んだそうです。ちなみにジェットの一機はジャンボだそうですが・・・。ハイチへまでのガソリン代も300万円だとか。
 
 鼻持ちならない金持ちは世の中に多いけれど、こういう金の遣いかたはいいかも。ま、パフォーマンスのきらいはありますが。
 
 今をときめく俳優ジョージ・クルーニーもテレビチャリティ番組を企画して人気スター引き連れ出演、150億円集めたとか。
 
 庶民の私は職場で支援バザーを企画。再来週に実施予定。こちらは目標額は1万円です。
 
友人がNHKの番組を見て面白かったと言うので、調べてみました。
 
 日本を代表するすし職人・小野二郎、82歳。すし職人として「現代の名工」に選ばれ、今年11月にはフランスの伝統あるレストランガイドの東京版で、最高の「三つ星」に輝いた。小野は三つ星の評価にも「実感がない」と繰り返す根っからの職人だ。
 
 現役で店に立ち続けるために、毎日40分歩いて店に向かい、外出時には指を保護するために、手袋を欠かさない。「すしは握った直後がもっとも美味しい」というのが信条。流れるようなその握りは、「次郎握り」と呼ばれる。
 
 番組は、三つ星に決まる前から小野の仕事に密着。フレンチの有名三つ星シェフ、ジョエル・ロブションを店に迎えての「真剣勝負」の様子など、すし職人・小野二郎の仕事に迫る。
 
茂木 健一郎さんのレポートから

 今回お話を伺った小野二郎さんは、いまや寿司職人として世界に認められる人だ。しかし寿司職人になったのは、そうしないと食べていけなかった、あるいは店を出すのにお金がかかりすぎて準備ができなかったといった実際的な理由だった。

 自分に合った仕事を探して、どんどんさまよい歩くという時代の風潮に対して、小野さんは出会った仕事に誠心誠意、自分を合わせていった。そのことと、寿司という、制約がありながら無限の広がりがある世界の奥義をきわめるということはつながっている気がする。そういうことを我々は忘れてしまっているのではないか。これが今回受けた一番のメッセージだった。

 寿司の世界に限ったことではない。確かに仕事で自分を表現することは大事なことだが、考えてみれば生活のために仕事をするというのはそんなに悪いことではない。そもそも生き物としては、生きなければいけない、食べていかなければならない、というのが基本だったはずだ。

 小野さんとお話していて「謙虚さ」を強く感じた。あそこまで行きながら、まだ謙虚さを持ち続けている。謙虚というのは、自分のできることがよく分かっているということだ。小野さんは、お客さんにお渡しするこの寿司がすべてで、そこに至る自分のできること全部がちゃんと頭に入っている。そういうところから、謙虚さが出てくるのだと感じた。

 小野さんが普段使われている道具は、本当にきれいで芸術品のようだった。新品じゃないかと思うほど、毎日毎日掃除をしている。「きれいごと」だから、きれい過ぎて困ることはない、と小野さんは言う。そういうことが本当に寿司の味に反映されるのか?と思う人がいるかもしれない。しかしそれをないがしろにしないということが、すべてにつながっているはずだ。

 道具の1つひとつに、探究心が結実している。寿司というものは、素人でも生魚を切って形を作ることくらいはできる。しかし、それとプロがやることでは、驚くくらいに違うことを今回強く感じた。

 現代高校生の進路指導を思い浮かべ、職業選択の問題、仕事をすることの意味を考えさせられます。

行く人

【ニューヨーク=田中光】世界的なベストセラー「ライ麦畑でつかまえて」(1951年)などで知られる米国を代表する作家、J・D・サリンジャーさんが27日、米東部ニューハンプシャー州の自宅で、老衰のため死去した。91歳だった。AP通信が家族の話として伝えた。

 ニューヨーク・マンハッタン生まれ。高校や大学を転々とした後、雑誌への小説の投稿を始めた。1942年から陸軍に所属し、第2次世界大戦で欧州戦線に派遣されてノルマンディー上陸作戦も経験した。戦地でも書き続け、作品は名門誌「ニューヨーカー」に掲載されるようになる。

 「ライ麦畑」は、名門校を放校になった16歳の少年がニューヨークをさまよう青春小説で、米国の青年にとって必読書的な存在となった。世界各国で翻訳され、発行部数は6千万部を超える。日本では野崎孝訳が64年に出版され、250万部を超えるロングセラーに。03年には村上春樹訳が出版された。

 短編集「ナイン・ストーリーズ」(53年)、「フラニーとゾーイー」(61年)などを相次いで発表したが、65年の「ハプワース16、一九二四」を最後に、ニューハンプシャー州の小さな街でひっそりと生活するようになった。

 私生活に触れられることを極端に嫌い、伝記の著者を相手取り最高裁まで争った。

 伝説の作家が去ってゆきました。ニューハンプシャー州に引き籠もって、地元の高校生との交流もあったのに、高校生がそれを記事にしてマスコミに流したことで絶交、より孤独を募らせていったようです。プライドが高く、感性が鋭すぎて生きにくかったのでしょうか?

 個人的には「ライ麦・・・」は高校時代に読んでそれほど感じませんでした。その影響を受けたといわれる庄司薫さんの作品には感動したのに・・・。

 翻訳の相性もあったのかもしれません。村上春樹さんの訳は未読なので、この機会にと思っています。

 晴れた土曜日、友人とランチをしてたっぷり話す。気も晴れる。帰りに近所にあって2月に閉店して柏原へ移転するギャラリーを覗きに行く。お別れに盃を一個買いました。

佐藤愛子さんのエッセイから

 1963年、アメリカ、ケネディ大統領が暗殺され、葬儀に当時の池田勇人氏が出席したが、飛行機から降り立って出迎えの人々に向かって歩みを進める首相が満面のニコニコ顔だったというのでアメリカの人々がびっくりした・・・。祝い事ならニコニコ顔で、悲しみ事は神妙あるいは沈痛に、というのは世界の常識である。しかし池田首相はニコニコと愛想笑いをしたのだ。「日本人の微笑は、欧米人の心を和ませただけではない。いや、多くの場合、それは不可解で無礼な笑いとして彼らを苛立たせた」(氏家幹人)

 日本人の礼儀正しさがポイントではないかと佐藤氏。池田首相の笑いはたぶん「出迎えの高官」たちへの礼儀から出たものではなかったか・・・。

 日本人も曖昧、複雑な感情表現はシンプルな西洋人には解るまいという論です。共感しますが、曖昧さには気を付けなければと思う反面、日本人の感情表現も違ってきたと、切れまくる若者、モンスターペアレントを見て思う昨今です。

最近読んだ作品

「或る男」 木内 昇

 明治、東北、南部の銅山で働く無学だが賢くたくましい男が、新政府の不当な炭坑行政に不信を感じ、正義感の赴くままに、東京に出て、高官、井上馨に直談判しようとする。

 苦労の末、吉原の店先での談判は実現するが、海千山千の井上にうまくかわされ、むなしく帰郷する。その体を鉱山特有の胸の病気が蝕んでゆく・・・。

 こういう風に歴史の下層に埋もれ、消えていった無数の人々がいたんだろうなと思わせられます。

「地下の鳩」 西 加奈子 

 愛媛出身、阿倍野に住んで、心斎橋のキャバレーの呼び込みをしている・・・それだけで主人公の「吉田」に思い入れをしてしまいます。プライド高く、人におもねない吉田には友人も恋人もいない(愛人はいる)。

 ある日、隣のスナックのチイママ、「みさを」に出会って、その左右アンバランスな目と不思議な雰囲気に魅せられてゆく。そのみさをにも家族に愛されなかった過去があった。

 仕事もしなくなって袋小路の男女は、やけっぱちで香港に出掛ける。そこでパスポートで互いの名前を知り、飛行機に揺られて恐怖を味わい、大阪で生き直す気になってゆく・・・。

 題名は地下鉄心斎橋駅の構内に紛れ込んで生きている一匹の鳩。主人公はそれに自分を重ねます。


2010年1月28日
 
 ここんとこハードな日々が続きます。卒業や進級がかかっているのに、真剣というか、本気になれない生徒、保護者を相手に、どう乗り切って行けばいいのか。放っておけばいいのでしょうが、そうすれば、また指弾の矢が飛んでくる。
 
 甘やかし面倒をみたからここまで来れた、でも甘やかしたからここからの最後の一歩が出ない・・・。そんなジレンマを感じます。
 
 
今日の夕刊から
 
<ハイチ大地震>16歳少女15日ぶり救出

1月28日10時25分配信 【メキシコ市支局】ハイチ大地震で27日、首都ポルトープランスの崩落した民家から、16歳とみられる少女が発生から15日ぶりにフランスなどの救助隊によって救出された。ロイター通信が伝えた。少女は、崩れた壁とドアのすき間で発見された。足を負傷しているが、意識ははっきりしている。水や食料をどう補給していたのかは不明だ。国連によると、これまでに130人以上ががれきの下から救出された。

 一方、AFP通信によると、プレバル大統領は27日、これまでに約17万人の遺体が収容されたと語った。

 それでも捜索は打ち切られるのでしょうか?どれだけの命が生きながらえつつも、瓦礫の下の闇で、消えていったか・・・。

 年度末の厳しい時期。ここで生徒、教師共にがんばりたい。でも、生徒は来ない。連絡がつかない。やっと保護者に連絡がついて、おたがい溜め息を交わし合う。

 80代の先輩教師の嘆息
 
 僕が大学へ行きたいと言いだしたら、親が、この親不孝者が!ここまで勉強させてやったのに、つけあがって、なにを言うか!畑へ行け!と殴られたそうです。
 
 先輩は、何年もかけて、お金を貯めて大学の2部を卒業、憧れの教師になりました。
 
 「でも、ええ時代を生きたわ。今なら、僕は絶対勤まらへん!今の家庭では、学校へ行ってちょうだいと、親が子供に御願いしているんですってね。」と苦笑してはるのは、本気か、気遣いか・・・。
 
 若い人もこのHPを見てくれてはるので・・・補足ー先輩の親御さんは決してDVでも、常識外れでもありません。当時はそれが普通の感覚だったのです。
2010年1月27日
 
 ここんとこハードな日々が続きます。卒業や進級がかかっているのに、真剣というか、本気になれない生徒、保護者を相手に、どう乗り切って行けばいいのか。放っておけばいいのでしょうが、そうすれば、また指弾の矢が飛んでくる。
 
 甘やかし面倒をみたからここまで来れた、でも甘やかしたからここからの最後の一歩が出ない・・・。そんなジレンマを感じます。
 
 
今日の夕刊から
 
<ハイチ大地震>16歳少女15日ぶり救出

1月28日10時25分配信 【メキシコ市支局】ハイチ大地震で27日、首都ポルトープランスの崩落した民家から、16歳とみられる少女が発生から15日ぶりにフランスなどの救助隊によって救出された。ロイター通信が伝えた。少女は、崩れた壁とドアのすき間で発見された。足を負傷しているが、意識ははっきりしている。水や食料をどう補給していたのかは不明だ。国連によると、これまでに130人以上ががれきの下から救出された。

 一方、AFP通信によると、プレバル大統領は27日、これまでに約17万人の遺体が収容されたと語った。

 それでも捜索は打ち切られるのでしょうか?どれだけの命が生きながらえつつも、瓦礫の下の闇で、消えていったか・・・。

 年度末の厳しい時期。ここで生徒、教師共にがんばりたい。でも、生徒は来ない。連絡がつかない。やっと保護者に連絡がついて、おたがい溜め息を交わし合う。

 80代の先輩教師の嘆息
 
 僕が大学へ行きたいと言いだしたら、親が、この親不孝者が!ここまで勉強させてやったのに、つけあがって、なにを言うか!畑へ行け!と殴られたそうです。
 
 先輩は、何年もかけて、お金を貯めて大学の2部を卒業、憧れの教師になりました。
 
 「でも、ええ時代を生きたわ。今なら、僕は絶対勤まらへん!今の家庭では、学校へ行ってちょうだいと、親が子供に御願いしているんですってね。」と苦笑してはるのは、本気か、気遣いか・・・。
 
 若い人もこのHPを見てくれてはるので・・・補足ー先輩の親御さんは決してDVでも、常識外れでもありません。当時はそれが普通の感覚だったのです。


2010年1月26日
 
「 盛り場に 残る旧家の 梅の木よ わがあくがれし ひとはいずこか 」 
 
        新聞歌壇から 青森市 滝野沢さん
 
 半年前からメダカを飼っています。見えないくらい小さかったのに、しっかり餌を食べて今は1センチくらいに大きく成長。3匹、元気に泳ぎまくっています。毎朝、水槽の縁をトントンと叩いて餌を撒くと、とたんに元気なる。ところが2匹は水面近くに出て浮いている餌をつつくのに、残った1匹は少し下で、餌が沈んでくるのを待っているのです。その分担というか、棲み分けが面白い。
 
 ラジオを聴いていて・・・投書のコーナーの題は「私の準備不足」
 
 小学5年生の女の子「1対6で負けました」・・・「きらいな女の子がいたので、みんなでいじめてやろうと、計画したのですが、準備不足で、ふたをあけてみたら1対6で負けました」・・・思わず笑ってしまいました。
 
 雑誌「上方芸能」から 「桂枝雀生誕70年記念落語会」のレポート。報告はやまだりよこさん
 
休養前の立川談志が、枝雀の「つる」をビデオで見て
 
「不愉快な口調です。芸としてもみられない」とばっさり。観客を凍らせておいて・・・
 
「枝雀は本当は名人になれた。米朝を継げるスタイルとテクニックを持っている人でした。だけど、わちゃわちゃの方にいってしまった。あれはポンチ絵です。枝雀はどうしてあんなやり方を編み出したのか。でも、死ぬまで米朝(型)の方に未練があったと思うのです。枝雀のやりたいナンセンスを古典落語に入れることは出来たんだ・・・」
 
 観客は溜め息、頷く人、首を傾げる人・・・でも、この切り口、正鵠を得ているように思えます。
 
 丸谷才一さんのエッセイから・・・生物人類学者、ランガムの文章を引用して
 
「もし我々が料理をしない世界に生きてゐたら、チンパンジーのやうに生の植物を噛んで一日の半分を過ごしてゐたろう」
 
「料理の最大の成果は、他のことにより多くの時間とエネルギーをつかえるやうになったことだといふ。わたしはこれを読んでから、自炊の面倒くささを割に苦にしなくなった。学問といふのは人生に役に立つなあ」
 
 羊飼いが火事を起こして、子豚を焼いてしまい、父親にどう言い訳しようと、佇んでいると、いい匂いがする。それは焼け死んだ子豚からだ、思わず触ると熱い、指を口にいれると焦げ皮の一部を食べてしまう、すばらしくおいしい。これがロースト・ポークの起こりだと・・・。
 
 丸谷さんの表記と独特のこだわりが面白いムードを醸す文章です。「たまごとニワトリ」の論争への裁定も明解。
 
 最近読んだ作品
 
「チェルノブイリ」 馳 星周
 
 敦賀の高校生、昌也はサッカーに打ち込むごく普通の高校生。しかし、家庭も、学校も地域も原発誘致の是非を巡ってまっぷたつに割れている。チームメイトとの友情も、初恋もその中にもみくちゃにされてゆく。そしてチャルノブイリの事故の知らせが入る。
 
 最後に恋も友情も失った昌也がうめく。「ぼくの心臓はチャルノブイリだ。」1986年の敦賀を舞台に青春小説ですが、もちろん今の沖縄にも通じる問題を含みます。
 

2010年1月25日
 
「 畔焼きの火と金星とひかりあふ 」 新聞俳壇から 津市 中山さん
 
畔焼きをしているうちに日は暮れて、気づけば夕空に宵の明星が。ふたつの「ひかり」の対比。里はとっぷり暮れている。
 
 普天間飛行場移転先探しの迷走、ここに極まれり。混乱の根底には、首相のええこっこしい、その場しのぎ、優柔不断な発言があると思います。名護市市長選の受けての官房長官の発言もなあ。これだけ県民、住民感情を愚弄しておいて・・・政治家の責任は重い。
 
今日印象に残った言葉
 
「逃げることはずるくない。ずるいのは逃げ続けることだ」
 
殺された島根女子大生の両親が紹介した、亡き娘が好きだったという言葉。
 
母のリハビリが始まりました。ぼちぼち・・・です。これからです。

2010年1月24日
 
雪ながら山本かすむ夕べかな  宗祇
行く水とほく梅にほふさと  肖柏        「水無瀬三吟百韻」から
 
昨日のニュースから
 
 大阪府島本町広瀬の広瀬遺跡で、13世紀ごろ(鎌倉時代前期)の大規模な礎石建物跡や石敷き遺構が見つかり、22日、町教委が発表した。当時、最高権力者で、優れた歌人でもあった後鳥羽上皇(1180〜1239年)の「水無瀬(みなせ)離宮」の一部だった可能性が高いという。

 水無瀬離宮に関連するとみられる遺構の発見は初めて。宅地開発に伴い、町教委が昨年12月から約300平方メートルを調査していた。調査地は、承久の乱(1221年)で鎌倉幕府軍に敗れ、隠岐に流された上皇をまつる水無瀬神宮の西約600メートル。周辺は、藤原定家(1162〜1241年)の日記「明月記」で上皇が離宮を営んだと伝えられる、水無瀬川と淀川の合流地点近く。
「川はみな瀬川」 と枕草子に挙げられた景勝の地
 
「見わたせば 山本霞む 水無瀬川 夕は秋と 何おもひけん」
 
 後鳥羽院のこの歌も浮かびます。ちょっと理が勝っていますが、 院らしいおおどかな歌です。現在、宅地化が進んでいますが、発掘と共に環境保護にも努めて、水と山、霞と霧の景観も残してほしいものです。
 
 各映画賞の発表の時期ですが、辛口の賞も楽しみ。貰う方は辛いかもしれませんが、これも映画を愛する気持ちの表れと思って、目くじらを立てないで見流せばいいと思います。
 
 映画専門誌「映画秘宝」が、2009年劇場上映作品のワースト10を紹介するトホホ大賞「トホホ10」を発表した。劇場に行って、「こんなハズじゃなかった……」と悩んでみても仕方がない、そんな許せない映画はビシビシ指摘しないと! というコンセプトの下、世の中の意見を代弁した毒舌コメントがめじろ押しだ。

第1位『DRAGONBALL EVOLUTION』
第2位『ターミネーター4』
第3位『2012』
第4位『宇宙戦艦ヤマト 復活篇』
第5位『しんぼる』
第6位『カムイ外伝』
第7位『13日の金曜日』
第8位『HACHI 約束の犬』
第9位『スノープリンス 禁じられた恋のメロディ』
第10位『20世紀少年』シリーズ

 
見過ごせないのは、小沢さんの弁明。かつて自分が批判していた言動を自分でやっている。ま、政権が変わっても、小沢さんそのものが自民党の体質そのままで変わっていなかったということなのでしょう。
 
 それにしても、腹心の部下や教え子が逮捕されて(それも自分に関することで)、自分は関与していないと言い切るその厚顔さがすごい。私の感覚では、秘書が逮捕された時点で、責任を感じ、自分も同じ立場と考えて、取り調べに応じるだろうと思います。もちろん共に潔白が証明されるまで、公務から引きます。
 
 「政権交代というのは、良い野党にチャンスを与えるのではなく、悪い与党を懲らしめるためだ」という言葉があります。それが一概に正しいとは言えないだろうけれど、今回の政権交代はやはり自民党に愛想を尽かした国民の選択、いわば自民党の自滅であって、決して小沢さんの選挙手腕だけに拠るものではないでしょう。それを小沢さんの剛腕ゆえの勝利とみんな(特に民主党員)思いこみ、次期選挙を睨んでなにも言えない・・・。おかしいなあ。
 
 気持ちよく晴れた日曜日。石川堤を1時間半ランニング。川を跨ぐ電線に凧(カイトというべきか)が引っ掛かっています。道明寺天満宮裏の梅林はまだ蕾。仁左衛門さんの白梅1本だけがなぜか5分咲き。「菅原伝授・・・」の公演の時、成功祈願で植えはったのです。これは恒例。本殿ではお宮参りのラッシュでした。
 
 入院中の母は明日からリハビリが始まる由。なんとかもういちど歩けるようになって、家に帰れるようになってほしいものです。体的には安心ですが、病院の単調な日々が母の「心の老い」を加速させているようで心配です。

2010年1月23日
 
「梁の下に なれる娘の 火中(ほなか)より 助け呼ぶ声を 後も聞く親」
 
 関東大震災を歌った歌ですが、その思いは、15年前の震災でも同じ思いがありました。
 
今日のニュースから
 
ポルトープランス(CNN) カリブ海ハイチで今月12日に発生したマグニチュード(M)7.0の地震で、同国政府は22日、倒壊した建物のがれきの下敷きなどになっている生存者の捜索、救出作業を中止すると宣言した。国連が明らかにした。

国連によると、外国捜索隊による生存者の救出はこれまで132人。作業中止で、今後は被災者の救援、復興事業に軸足を移すことになる。

国連人道問題調整事務所(OCHA)によると、ハイチ政府がこれまで確認した地震の犠牲者は11万1481人。国民の3分の1に相当する約300万人が被災したとされる。

生存者の救出では22日、イスラエル軍の捜索隊がポルトープランスで崩壊した3階建ての建物のがれきの下から22歳男性を救出している。地震発生から10日ぶりの「奇跡の生還」となっている。20日には7歳男児と11歳少女が救出されていた。

ただ、地震から日数がたっていることから、生存者の捜索作業を中止する外国の隊も出ていた。地震では通常、発生から72時間経過すれば生存者発見が著しく低下するとされる。
 まだ放置されているたくさんの遺体は、身元確認もされないまま、ブルドーザーで掘られた穴に埋められてゆく。フランスの空港で両親、保護者を亡くした幼児を里親として引き取る人々の様子が放映されました。
 
 首相の放言や幹事長の事情聴取ばかりが話題になっている日本は何ができているんだろう?
 
 今、検索してみたら、日本にも、ハイチで教育を受けたくても経済的な理由で受けられない子供たち見守る、里親運動があったことを知りました。でもその拠点であるハイチのレデンプトリスチン修道会も壊滅的な被害を受けたようです。
 
 綺麗な朝焼け。風は強く冷たかったけれど、気持ちのよい日でした。鬱屈した思いはあるけれど、テニスで発散。後ろをみては生きてゆけません。
 
 四国の母は入院一週間目。検査でまたあちこち問題点が浮上。なにより単調な生活で気力が萎えてきていること、足が立たなくなってきていることが心配です。
 
最近知った言葉
 
「ガイスターファーラー」
 
 ドイツ語で「幽霊ドライバー」。飛行機の発着もできるという高速道路、アウトバーンは基本無料で、もちろん料金所もなく、また出入り口の表示も少ないので、逆送する車があることを指すのだそうです。大事故に繋がることもあるが、その対策のための費用が事故処理の費用を上回るので、そのままになっているということ。これも「経済論理」?
 
行く人
 
ジーン・シモンズさん(英女優)
 
 米紙ロサンゼルス・タイムズ(電子版)によると、22日、カリフォルニア州サンタモニカの自宅で死去、80歳。肺がんを患っていた。

 英ロンドン生まれ。44年に15歳でデビューし、シェークスピア原作の名画「ハムレット」(48年)で主演俳優ローレンス・オリビエの恋人役であるオフィーリアを演じ、米アカデミー賞候補となり、「ハッピーエンド/幸せの彼方に」(69年)で2度目の同賞候補となった。80年代に放映されたテレビドラマで米テレビ界最高の栄誉、エミー賞を受賞。宮崎駿監督のアニメ映画「ハウルの動く城」(04年)英語版では、主人公ソフィーの声を担当した。
 
 晩年は渋い脇役としても活躍してはりました。 地味目だけれど、存在感のある女優さんでした。

エリック・シーガルさん
 
 英メディアによると、純愛小説「ラブ・ストーリィ」(邦題は「ある愛の詩」)で知られる米作家、エリック・シーガル氏が17日、ロンドンの自宅で心臓発作のため死去、19日に葬儀が営まれた。72歳。長年パーキンソン病を患っていた。

 同氏はニューヨーク生まれ。米エール大の古典の教授だった1970年、ハーバード大を卒業した富豪の子息、オリバーと労働者階級の大学生、ジェニファーの悲恋を描いた「ラブ・ストーリィ」を発表。

 同作品はベストセラーとなり、映画化。白血病で亡くなるジェニファーが残した「愛とは決して後悔しないこと」というせりふで映画も世界的にヒットした。

 ほかの代表作に「クラス」「ドクターズ」など。ビートルズを主人公にしたアニメ映画「イエロー・サブマリン」(1968年)の脚本も担当した。
 
 「ラブ・ストーリィ」が来たのは私が20才の大学生の時。ベタな小説、映画(音楽も)でしたが、ツボを押さえた作りで泣かされました。ジェニファーというヒロインの人物造型とセリフが魅力的でした。
 
最近読んだ作品
 
「豚と人骨」 篠田 節子
 
 東京の一等地と呼ばれる土地に住んでいた両親が亡くなって、大塚家の子供達はもめた挙げ句に土地を更地にしてマンション建設を始める。その建築現場から3500年前の人骨が大量に出土して大騒ぎに。しかもその骨は若い娘のものばかり・・・・。
 
 古代ミステリー仕立てで、現代社会の鋭く風刺しています。
 
「おもかげ」 藤堂 志津子
 
 「おもかげ」は人でなく亡くなった愛犬のもの。初老の女性、月子のペットロスを丁寧に描いています。愛犬はヨークシャーテリアの「ペル」。生きる気力を無くし、居酒屋の主人と体を重ね、居酒屋で出会った若いフリーターに貢ぎ、その姉につきまとわれる。それを救ったのは、やはり年来の友人、そしてあたらしきペットだった・・・。展開は読めますが、細かい描写がリアルで引き込まれます。

2010年1月21日
 
「 斧入れて 香におどろくや 冬木立 」 蕪村
 
 静かで凛としたたたずまいの木立から豊かな香りがこぼれ出る。その驚き。木を打つ音の響き。深い句です。
 
今日もまた、モンスターペアレントに振り回されて3時間。大事な会議2つにも出られず。報告書を作って夜の9時過ぎに帰宅。授業プリント作るのは週末にまわして、ぬる燗をいただいて、休みます。
 
最近印象に残った言葉
 
 「私にはこれといったスタイルがなく、そこらの服をポイと着て、適当にお化粧するだけ。スタイリストなどにいろいろ言われる時間がもったいないもの。グラマラスになるより、面白くて楽しい人である方がずっと大切だと信じているし・・・。」
 
 プリントのワンピースの上に、さらにプリントの上着を着て記者会見にも現れてしまうというのは、今年度の演技賞にもおそらく「ジュリー・アンド・ジュリア」でノミネートされるであろう大女優、メリル・ストリープ。
 
 実在の伝説的調理家、ジュリア・チャイルドを演じている彼女の数シーンを見て、有名な本物通り大柄に見えるのに感心していたら、食器、家具すべてミニサイズのものを用意し、カメラアングルも工夫して撮ったと聞いて納得。
 
 女優さんだから、ファッションやメーキャップに執着するだろうと思っていたのはマチガイでした。人生の優先順位の付け方がおもしろい。服なんてどうでもいいのです。あれだけのキャリアなのに、仕事よりも家庭が大事で、契約にも「娘のサッカーの試合の日は休む」とか入れているとか。
 
 流石にアカデミー賞授賞式などは、娘さんに言われて、スタイリストの指示にしたがってドレスアップして行くそうです(笑)。
 

2010年1月19日
 
 明日、大寒というのに、春のような暖かさ。西門の紅梅が一気に十輪以上花開きました。でも、このまま春までゆくはずはありません。
 
 一方、真夏のオーストラリアは寒いそうです。全豪オープンは雨と寒さで選手はコンディション調整が大変みたい。シャラポワも敗退してしまいました。
 
 で、なによりハイチの地震が心配。即、救援活動すれば助かる命がいっぱいあったはずなのに・・・。いろんな制約があるのでしょうが、非常事態、各国が(日本も)協力して、ぼーんと飛行機やヘリで物資を運び込むようなことがあってもよかったのでは。
 
 略奪が始まり、治安が悪化しているといいます。
 
 あたたかい部屋でこんな事を書いているのが、申し訳ない気分。なんかできないか。せめて、出せる分の寄付をして、職場で緊急バザーでもしようかと思っています。
 
 「吉野の里に降れる白雪」百人一首の歌のイメージが強いのか、雪を思うと、吉野が浮かびます。
生涯、吉野に生きた歌人、前登志夫さんは、桜はもちろんですが、雪の歌もいい。
 
「 雪降らぬ 冬過ぎゆかむ 溢れくる 泪は熱く 冬過ぎゆかむ 」
 
 午後三時半、昨夜調整した、三者懇談。父親と生徒が来ました。話し合うこと一時間半、学校をやめるのはやめて、もう一度がんばるということになりました。まずは、明日の授業に出席することが大事ですが・・・。

2010年1月18日
 
 空き時間のある月曜日、たっぷりプリントが作れると思ったら、事件発生。3時間拘束されてしまう。それを勿体ないと思ってはいけないのだけど(生活指導だからそれは職務)、でも、もっと授業に力を傾けたいと思う日々です。わがままですが。
 
 ゴールデングローブ賞は「アバター」。3Dで見たいのですが、予約でいっぱいみたい。
 
 転んで入院した四国の母は、骨折はしておらず、安心。暖かい病室(実家は天井も高くて冬は寒い)でしばらくゆっくりしてほしい。
 
 浅川マキさん死去。新宿、蠍座、寺山修司、アングラ・・・懐かしい。黒いドレスで歌った「夜が明けたら」「かもめ」いまでも酔えば口ずさみます。ミッキー安川さんも・・・。
 
 夜中まで懇談の時間調整。学校をやめたいという娘(生徒)とやめさせたくない父親との折り合いがつかない。それってまず二人で話してほしいと思うのですが、それが出来ない。
 
 さて、明日19日、無事に揃って来てくれるかな。

2010年1月17日
 
「天窓に 正月の星 二、三粒 」 坪内 稔典
 
 追悼句らしいですが、情景句としても充分美しい。星は確かに亡き人を思わせます。
 
 大震災から15年。テレビで放映していたある若い夫婦。奥さんは小学生低学年の時に震災に遭い、彼女に覆い被さって両親は亡くなった。そして月日は流れ、成人し、追悼集会で知り合った男性と結婚、今は子供と共に神戸に住む。淡々とした映像に感動をさそわれました。月日は無情、月日は癒し。
 
 検察と政府、特に首相や法務省との関係はどうなっているのでしょう?小沢さんが検察と「対決する」といい、首相がそれを支持、応援するってどういうこと?不正や疑惑はきちんと追求するのが当たり前。冤罪というならば、きちんと晴らせばいい。事情聴取に応じるべきです。ただ信じよ、というだけで納得するほど国民は甘くない。でも、民主党の議員さんたちは選挙が控えているから、参謀にはなにも言えないのね。まったく自民党と変わへんやん?民主党は小沢さんと心中するつもりなんやろか?
 
 ハードな4日間の後は、のどかな週末でした。歯の定期検診、4時間テニス、そして更に晴れた日曜は、2月のマラソンに向けてランニング。小春日和の石川堤は走っていても気持ちよかったです。女性ランナーに追い越されました。でも、苦しげに走ってはるのは、見ていてもしんどいなあ。私は楽しく走りたい(負け惜しみです)。1時間半かけて10キロほどゆっくり。せっかく汗をかいたのに、帰ってビールを飲んで元の木阿弥。
 
 桜並木の下の舗道に足を投げ出して座っているご老人。ご気分が悪いのかと走り寄ってみたら、目を閉じて気持ちよさそうにミカンを食べている。でも、ズボンのジッパーが開いている。閉めてあげるのも変だしなあ。将来の自分を見るようでちょっと身につまされる。すごい勢いで飛ばしてくるサイクリング車に足を轢かれないといいけれど・・・。
 
「モーニンググロ−リー 」
 
 オーストラリアの北の荒野(バークタウン付近)に夜明けと共に現れる不思議な雲。猛烈な湿気と強い風と共に、横一線になった白いロールケーキのような雲がぐるぐる回りながら一気に空を駆け抜けてゆく・・・。「朝の栄光」というより朝の衝撃ですね。
 
 初めて映像で見て感動。9月から10月、世界中から見物客が押し寄せているのだそうです。直径一キロ、長さ400キロ(!)以上に及ぶすごい雲の上にグライダーで乗る冒険野郎たち。雲の上でプロペラを止め、激しい上昇気流(雲の反対側は下降気流)にうまく乗れば、どこまで飛んでゆける。でも雲に巻き込まれればミキサーの中の野菜状態になってしまう。すごいなあ、怖いなあ、でもかっこいいいなあ。
 
 オーロラも見たいけれど、寒そうだから、こちらの方がいいかな。きっとそのうちツアーが組まれるだろう。あのグライダーに乗ってみたい。定年後の楽しみがまたひとつ出来ました。
 
 雲の発生は北部の平らな岬に東西の海からから寄せる気流がぶつかり合って出来るものだそうです。
 
 最近見たビデオ
 
「 EYES WIDE SHUT

製作年度: 1999年  製作国・地域: アメリカ   上映時間: 159分

解説:  巨匠スタンリー・キューブリックが、トム・クルーズとニコール・キッドマンというスター夫妻を迎えて描きあげた愛と性のダークファンタジー。ニューヨークに住む内科医のウィリアム・ハーフォードとその妻アリスは、互いに愛し合い幸せに暮らしていた。しかし、ある日妻から、「過去に心が奪われた男性がいて、求められたらすべてを捨ててもいいと思った」と聞き、ウィリアムは衝撃を受ける。それをきっかけに性の妄想にとり憑かれていく彼は、夜の街を徘徊する。やがて、昔の友人に誘われるまま、秘密の乱交パーティに潜入するのだが……。

 巨匠キューブリックの遺作となってしまいましたが、公開当時から評価は分かれました。私の感想は・・・やはり、組み合わせが悪かったのかなあ。キューブリックのテンポ、美的世界とトム・クルーズとニコール・キッドマンというスター夫妻(当時映画界最高の人気カップル、この映画のあとトムの浮気もあって離婚、現在はそれぞれ再婚して子供もあり)の演技の色合いがあまりに違うのです。ニコールの美しすぎるヌードに色気なく、トムの苦悩の演技も空回り。

 これはあまりにきれいな美男美女スターで作る映画ではありませんでした。今をときめくビッグカップル、ブラッド・ピットとアンジェリーナ・ジョリーが演じたら股違ったムードが出たかもしれませんが・・・。また、離婚以降のニコールならもっとリアルに演じたかも・・・。なにひとつ不自由のないように見えるカップルの内にも潜む、性の不満、不安のようなものを出すのはキャストの演技力、持ち味が大事。

 ただ、このスター夫婦の離婚、そしてここ10年、定着してきた?セックスレス時代を予言した映画としては記憶に残るものでしょう。

 邸内や店内のインテリア、照明、ピアノで奏でられる音楽は、キューブリック監督らしい怪しいムードがありました。

行く人

双葉 十三郎(ふたばじゅうざぶろう)さん (映画評論家、死不全、99才)

 映画雑誌に連載された「ぼくの採点評」はいつも楽しみにしていました。十三は「トミ」双葉は「ソウヨウ」、「トム・ソーヤー」をもじったものであったことを初めて知りました。本名は小川一彦さん。東大、住友本社勤務から、終戦の年、35才で映画評論家に転進。まさに「冒険」。どのような思いがあったのか、映画評以外に、彼のエッセイなども読んでみたくなりました。昨年12月12日に亡くなってはったんですが、昨日公表。

小林  繁さん (元野球選手、心不全、57才)

 今日、急死。驚きました。あの「江川事件」からもう何十年?悔しさをバネに頑張らはったけど、きっとずっと屈折したものを抱えてはったと思います。まあ、人はみんなそうだけれど・・・。江川さんとの再会、対談が新聞広告の一面広告として大きく採り上げられたのは昨年、いや二年前でしたっけ?まだ若い!私より若い!


2010年1月15日
 
「梅一輪 一輪ほどの あたたかさ」
 
 校内巡回をしていて、西門と保健室のそばの、紅梅、白梅がそれぞれ固い蕾の中で一輪だけしっかり咲いていました。この寒さの中で、という驚きと、春が近い喜び。すっかりうれしくなりました。我ながら単純なことです。
 
 3ヶ月の家出から一旦帰って、登校してチューター(担任)とたっぷり相談、家でお母さんと話しますと、明るい顔付きになって帰って行ったのに、帰ったらお母さんは飲みに行っていなかったのだと・・・。
 
 さんざん電話して相談していたのに、肝心なところで親が逃げたらアカンやろ!?生徒はそのまま、また家出。もう、連絡の取りようがありません。
 
 これまた久しぶりに登校した女生徒。親が面倒をみないので、ひたすらアルバイトして幼い弟妹の生活の面倒をみていたのだと。親はなにしとるん!
 
 先日書いたうちのグループの連絡とれない家庭。あれから一週間、何度電話しても出ない。ふと思ったことは、事情があって学校からの電話と偽ってのものと思って出ないのではということ。
 
 学校にも保護者、親族と偽っての電話がよく掛かってきて、対応に苦慮します。出欠、住所はもちもん、在籍さえも口に出せない。ややこしい社会になったものです。
 
 廃墟・樹海探検家の栗原亨さんへのインタビュー記事から
 
 青木ヶ原で酒飲んで睡眠薬飲んで凍死したいという東海林さだおさんのアプローチが面白い
 
 富士山麓、青木ヶ原樹海の面積は6キロ×4キロ、杉並区と同じくらい 栗原さんは3年間で63体の自殺遺体を発見した
 
 2月の樹海は寒い。昼間でもマイナス5度、夜はマイナス10度を超える。暗くて、真昼でも夕方の感じ。凹凸が激しく、500メートル行くのに3時間かかる。凍死への道は険しい。
 
 栗原さんの言葉でこころに残ったこと
 
遺体を見つけて報せたとき、警察の人から 自分が言ってはいけないことだけれど、と前置きされて
 
「あなたたちのやっていることは『もしかしたら生きているかもしれない』という家族の希望を消してしまうことなんだよ。そういう側面があることも憶えておいてください」
 

2010年1月14日
 
「 君とゆく 道の果たての遠白く 夕暮れてなほ 光あるらし 」 美智子皇后
 
 今年の歌会始のお題は「光」 吹上御苑のあたりの情景だそうですが、人生を重ねて読んでしまいます。
 
 寒波。琵琶湖岸に「氷の華」が見られたとか。波しぶきで濡れた岸辺の雑草が凍って美しい氷の華に見えるとか。見てみたい。
 
 14日付、読売新聞の夕刊の写真に見入る。震災の夜に、東灘区の病院で生まれた亮海(たくみ)ちゃんの11ヶ月後の可愛い笑顔。そして、今、14才、剣道着で笑顔で竹刀を振るう中学3年生の増田くんの近影。同じコンセプトの写真が3組。それぞれ胸打たれます。
 
行く人
 
ミープ・ヒースさん(アンネ・フランク一家の協力者、死因不明、100才)
 
 アンネの父親、オットー・フランクさん経営の会社に勤務していて、迫害から逃れて隠れ家に籠もった一家に食料や本を運んだ。また、連行されたあとのアンネの日記を保存していた。この人がいてこそ、あの作品が残された。
 
最近読んだ作品
 
「風のはじまるところ」 重松 清 
 
 長いシリーズもこれで完結。主人公と別れた妻との間の娘。別れた妻の死を契機にちぐはぐだったふたりの仲がやっと新しい展開に向かいます。
 
「御宿かわせみー抱卵の子」 平岩 弓枝
 
 今回の事件も解決、大川端に佇む「るい」の感慨ー
 
 大切な顔、忘れがたい顔が川波の中に見え隠れして遠ざかってゆくのが、ただ懐かしかった。
 人はだれしも幸せを望んで人生を歩んでいる。それでも、打ちのめされ、踏みにじられて失望や絶望に慟哭することなしに生涯を終えられる人は皆無であろう。
 人間に与えられた最高の幸せは、どんな悲しみや苦しみも、その人が勇気を奮い起こし、努力を重ねれば、いつか忘れる日がくるということではないか。そうではないと、人はとても生きてはいけない。
 それでも多くの人は、忘れようにも忘れられない心の痛みをひっそりと抱えていて、時にはそれが生きる支えになったりもする。
 人とは不思議なもの、愛しいものと水面をみつめて胸の中でるいは呟いた。
 
 故郷の母は、この作品を読んで、これで「御宿かわせみ」は終わるのではないか、と心配しています。

2010年1月13日
 
 12日の夜、テニスのレッスンから帰ると、西の空にパタパタ、ヘリコプター、ケイタイにメールが数通。内容は「大丈夫ですか?」という友人達からの問い合わせ。何のこっちゃ?
 
 羽曳野市河原城(テレビでは「かわはらじょう」と読んでいましたが、地元では「かわらじょう」ということが多いです。中学校名も「かわらじょう」)でライフル銃乱射、犯人含む4名死亡という大事件。
 
 家族内のトラブルが原因のようですが、巻き添えになった店の大家さんの「こんなことで死ぬのか、くやしい」と言い残した言葉が空しい。言葉も残せなかった若いアルバイト店員さんも本当に気の毒です。
 
 それにしても、事件の少ない(大阪市に比べて)のどかな近郊都市だったのに、こんな大きな事件の芽があったのですね。いや、中学は荒れているし、薬物取引のアジトがあるという噂もある、銃社会も現実のものになってきています。
 
 こんな人の多い狭い国で、ハンティングしなくても、と思いますが如何?故郷の山でも何年かに一度、誤射事件があります。おちおち山歩きもできません。まして、銃の管理や取得資格条件の甘さがこのような事件を助長してゆくのではと不安です。
 
 キャンパスでの銃乱射事件なんていうのも余所の国の話ではなくなりそうです。ライフルで撃ち殺されるのはいやだなあ。ナイフで刺されることはあるだろうと覚悟していますが・・。
 
 明けて13日は寒波。雪が舞いました。九州でも大雪とか。
 
 千代大海の引退表明。魁皇に敗れた一番を何十回もビデオで見て、引退を決意したというのが、切ない。
 
最近読んだ作品
 
「冬隣」 北原 亞似子
 
 夫の不実に耐えつつ、それでも夫を思いきれない中年女性の心身のあや。でも、じれったい。
 
「お玉」 杉本 章子
 
 お玉という子猫の目を通して描く、麻布の旗本の一家の物語。美しい出戻りの佳詠、腹違いの勝ち気な妹、雪絵。仲の良い家族なのに微妙な思いは交錯、雪絵は猫を姉に託して、身分違いの若者と出奔。家は崩壊してゆく・・・。
 
 ロミオとジュリエットも同じく、若者の恋は周囲を振り回す。ロメオ・・・の場合はふたりの死が両家の和解に繋がるという結末でしたが、実際にはこのようなカタチが現実だったのでは・・・。
 
 読後感として、一途な若者の恋をちょっと批判的に見てしまったりするのは、作者の筆、視点、狙い?それともこちらが年取って、保守的になったのでしょうか?
 

2010年1月12日
 
「 少女らに成人 われにローザの忌 」 安東 次男
 
 ローザ・ルクセンブルグは近年、映画にもなったドイツの革命家。1919年1月15日、反革命派によって惨殺される。かつては1月15日が「成人の日」でした。
 
11日の成人式でまたあれこれの騒動。一部と思いたいけれど、うんざりです。似合わない袴やどぎつい着物姿は見たくもない。公費を使って祝賀式典などしなくていいと思うのですが。これからの人生、がんばれよと簡素な激励会でいい。祝うなら人生を生き抜いた70才や80才を派手に祝ったらどうでしょう?
 
 それにしても全国各地のでの新成人へのインタビューで、今年興味関心あることに、ほとんどの若者が「ワールドカップ」と「冬季オリンピック」ほんの少し「高速料金無料化」というのがさびしい。かろうじて沖縄のみ、トップが「米軍基地移転問題」、当然ではありますが・・・うーむ。
 
 昨日の児童虐待の問題について、補足。虐待を受けた子供の保護施設としては、昨日ふれた「情緒障害児童短期治療施設」の他に「里親」「児童養護施設」「児童自立支援施設」などがあります。この世情の下、職員の給与カットや支援の削減が心配です。こういうところを大事にしなくては福祉国家とはいえません。
 
 うちのグループ(19名)にも、これらの施設にはいるべしなのですが、本人が拒否して、友人宅を点々しているという生徒が2名います。この寒空の下、心配です。
 
行く人
 
東 恵美子さん(女優、85才、急性心不全)
 
 存在感のある舞台女優でした。近年も「黄昏」の舞台に主演、映画でキャサリン・ヘプバーンが演じた役。女優冥利に尽きたのではないでしょうか。
 
 武藤 信一さん( 三越伊勢丹ホールディングス会長、64才、多臓器不全)
 
 新宿伊勢丹を日本一に押し上げ、やがて三越と経営統合。すごい遣り手だけれど、仕事のムリも祟ったのでしょうか。若すぎる。
 
 正月気分も後少し。見残していたビデオをちらちら見る。昨年の歌舞伎座の舞台から「連獅子(れんじし)」。中村富十郎さんが、たしか六十代後半でもうけた長男、鷹之資(たかのすけ)くんと踊る。獅子が可愛い我が子を千尋の谷へ突き落とす・・・富十郎さんは、もう、嬉しくてたまらないのをぐっと抑えて雄々しく、そして鷹之資は清新に凛々しく、見事な親子の舞で、胸が熱くなりました。
 

2010年1月11日
 
「 日の障子 太鼓のごとし 福寿草 」 松本 たかし
 
 張り替えた真っ白い障子に日が射している。それを太鼓になぞらえるのは能の家の出なればこそ。障子の白と花の黄の対比も鮮やかです。
 
 母の足も不自由なので、故郷の家の障子は貼り替えはせず仕舞い(建具屋さんに頼むこともできますが、そんなのは勿体ないと言われます)。昔は正月前に外して、冷たい下の川で洗って、晒したものですが・・・。母から補修用の糊を買ってきてくれと頼まれていたのに、雑事にかまけて忘れていました。
 
 義母から電話。コーナンへ走ってちょうだい。なんですか?板を買ってきてほしいの。畳と壁の間に挟みたいらしい。また部屋を模様替えして、茶室を別の部屋に移したらしい。
 
 あの箪笥や畳をどうやって動かしたの?
 便利屋さんに頼んだの。二人来てくれて、2時間ほどで1万円。
 
 それって、安いのか、高いのか・・。どちらにしても、義母は四国の母より10歳以上若い。今のマンションを引き払って、そろそろうちのマンションの空き部屋に移りませんか、と言っているのですが、当分大丈夫なようです。
 
 最近印象に残った言葉
 
「愛とは何か」と問われたマザー・テレサが答えたのは
 
「愛とは捧げること。愛は家庭の中で育ちます。家庭で愛を実践してください」
 
 愛を実践できていない家庭がいかに多いことか。えらそうによその事は言えまへんが・・・(苦笑)。
 
 大阪狭山市の友人宅で恒例の新年会。友人の娘(生まれた時から知っている)が昨年出産、ご主人と可愛い男の子と共に参加、いつものおとなの話題から一気に赤ちゃん、子育て談義に。
 
 酔っぱらった私は、終盤ずっと赤ちゃんを抱いてあやしていて(7キロ、結構重たかった。眠ると、さらに重く感じる)、散会後、連れて帰るー、と喚いていたらしい。自分を信じて、無条件に抱きついている幼い子を見ていると、めちゃ幸せ気分になれました。もちろん、お襁褓の世話やら、夜泣き、病気の心配、厳しい時代にどう教育してゆくか、と子育ての苦労や不安は尽きないでしょうが、それでも未来ある(22世紀まで生きるかも)赤ちゃんを見ていると癒されます。
 
 ネグレクトー「育児放棄」が問題となって久しいですが、虐待による児童の死亡が週一回報道される時代です。犠牲者は年50人を越え、その数十倍の事例があるのです。先日「情緒障害児短期治療施設」を描いたドキュメントを見ました。虐待による後遺症で、夜になると眠れない、暴れる・・・仲間や職員に手を出す・・心を閉ざし、感情を抑えられない子供達。児童精神科医もいますが、なによりめげない職員の方々の姿勢に頭が下がります。
 
 コップに落ちた墨汁の汚れ、濁りは消えはしないが、どんどん水を加えることで薄めることは出来るという精神科医の言葉。でも、それを消せないうちに、18才になり、退所しなければならない子供も多いとか。11才のハヤトくんの暗い表情、17才のあおいさん(どちらも仮名)の毒づく表情が忘れられません。
 
 小春日和の年末の一日、故郷の実家の裏庭で焚き火をしました。基本的には町内では禁止になっているらしい。地域消防団員でもある弟に相談して、紙類、生ゴミ、プラスチックはダメ(紙片が飛んであぶない、ダイオキシンを出す)木の枝のみ、バケツも用意という条件で許可をもらう。白い煙が立ち上り、私は庭木の剪定をしつつ、せっせと枝を運び、姉夫婦が火の番。できた灰の山でおいしい焼き芋もできました。気が付くと村のあちこちの家や畑から白い煙が上がっていました。みんな考えることは同じみたい(笑)。
 
 垣根の垣根の曲がり角・・・「たき火」という懐かしい歌。小学校の音楽の教科書の定番だったけれど消えたらしい。なぜか?「焚き火は禁止だから」なんだって・・・。最初は教科書の絵に、バケツが入り、やがて歌そのものが削除になったんだって・・・。まったく、もー。
 
 焚き火の復活(歌も)を訴えます。
 
最近知った言葉
 
「カフカールナ」 
 
 チェコ語で「なんてカフカなんだ!」不条理な出来事に遭ったときに言う言葉。地下の文豪も苦笑していることでしょう。
 
最近読んだ本
 
「誇り高き日本人でいたい」 C・Wニコル
 
 作者が作者なので、この題名も納得。ウェールズに生まれ、カナダを経て、日本に帰化して10年余。北極探検、アラスカでの体験も豊富なたくましい自然児にとって、環境を汚しまくる70年代からの日本にはなはだしく失望した後、黒姫高原を拠点に自然回復に取り組む地道な姿勢があります。だから日本人としての日本人への熱い提言、苦言は身に染みます。
 

2010年1月9日
 
「 火炎瓶 投げし友より 年賀状 」  新聞俳壇から 浜松市 冨田さん
 
 学生時代の友からの賀状は格別。もう40年会っていなくても、呼び捨てにしてくれる人の存在はうれしい。若かった彼も彼女も、いろいろあって、どんどん変わって、それぞれの人生を生きてはるけれど・・・。
 
 新春の「徹子の部屋」をビデオで見る。
 
 第1回のゲストは吉永小百合と釣瓶。小百合さんは宇野千代さんの形見の和服。紺の地に桜の花びらの刺しゅうが美しい。ご主人は元気になられて、料理と旅に燃えてはるらしい。よかった。
 
 山田洋次監督の最新作「弟」は、市川崑(いちかわこん) 『おとうと』(1960)に対するオマージュのようですね。そして寅さんに対しても。それにしても、吉永小百合さんにはもっと思い切った役柄をやらせてあげたい。もうワンパターンの極みです。
 
 第2回のゲストはこの春の舞台「細雪」で共演する4人の女優、高橋恵子、賀来千香子、紺野美沙子、藤谷美紀、見物はまず着物。それぞれに美しい。対する徹子さんは谷崎夫人、松子さんから譲られた茶の着物。これも見事。話の内容は憶えていません(苦笑)。
 
 かつて、今は無きナンバの新歌舞伎座で見た「細雪」は淡島千景、八千草薫、多岐川裕美、熊谷真美という顔ぶれでした。
 
 そういえば、昨秋、伊丹の舞台で紺野美沙子さんと共演していた教え子がその劇団を辞めたと賀状にありました。注目されていた劇団だったけれど・・・ちょっと心配。
 
 賀状の楽しみは教え子や友人の近況報告ですが、嬉しかったのは、前任校で担任した教え子(女性ー元気な学級委員長でした。ラグビー部のマネージャーでしたが、しょっちゅう、男子部員と一緒にグランドで暴れていた)が念願叶って消防士になり、デスクワークを経て、いよいよ消防車に乗り始めたという便り。梯子車にも乗るんですよ!と字も弾んでいる。いいなあ。たくましいなあ。
 
 1昨日書いた、転居した生徒の保護者への連絡。この3日なんどもケイタイに電話を掛けたけど、結局不通。事情があるにしても、ひとこと言ってくれればと思います。生徒の安否も心配です。また、連絡のとれない家庭が一軒増えそうです。もちろん、諦めずに電話を続けますが・・・。
 
 8日から授業開始。9日(土)も昨年のインフルエンザ休校の振り替えで授業。でも何度も連絡したけれど、登校した生徒は少ない。今日は5人を相手に、平家物語「木曾の最期」の一番いいとこを終わってしまった。5人は熱心に参加してくれたけど・・・。なんや寂しいなあ。
 
最近見た映画
 
「 牛の鈴音 」
 
 解説: 韓国で観客動員数累計300万人という大ヒットを飛ばし、インディペンデント映画初の興行成績第1位、歴代最高収益率を誇る感動のドキュメンタリー。農業の機械化が進む中、牛とともに働き、農薬も使用せず、頑固に昔ながらの方法で畑を耕す老夫婦の日常を静かに見つめる。これが初監督作となるイ・チュンニョルは、3年余りの月日を費やして本作を完成。ただ黙々とともに働き、心を通わせる牛と翁の何げない日常が観る者の琴線に触れる。

らすじ: 韓国のとある田舎で暮らす79歳のチェおじいさんは、76歳のおばあさんと二人で暮らしている。おじいさんと牛はこの30年間毎日欠かすことなく畑仕事に出かけ、そのおかげで9人の子どもも立派に育てあげることができた。普通寿命が15年ぐらいだと言われる牛だが、この老牛は40歳になった今もまだちゃんと働いてくれていた。

原題: OLD PARTNER    製作年度: 2008年
 BGMもほとんどなし。牛の首につけた鈴の音だけがずっと響く。ナレーションもなし。76才のおばあちゃんの辛辣な愚痴がその代わりで笑わせる。淡々と描きつつ、きれい事でなく、最後に牛を売ろうとして売れなかったり、跡継ぎの牛を買ったけど、役に立たなかったり・・・。そのリアルな描写がいい。ドキュメンタリーの強みです。
 
 幼い頃の鍼の治療の失敗から足の不自由なおじいさん。畑に、田に這い蹲って農作業を続ける。農薬も拒否し、隣の田畑ではトラクターが着々と作業を進める。
 
  もの言わぬ牛の表情、特に目の動きに心揺すられる。故郷の私の家には幼稚園まで馬が、それから牛がいたので、その生態、動きは懐かしい。そのやさしさ、ふてぶてしさ、強さ・・・。
 
 最後に動けなくなった牛が、小屋から首だけ出してじいさんを見つめる。その首の鈴(というよりカウベルと言ったほうがいいかも)を静かに外してやる、そして、牛が目を閉じる、そしてトラックに乗せられ、運ばれ、畑に埋められる・・・そのシーンで涙が溢れました。
 
 私より牛が大事なの?といつもぼやいて、牛を邪魔扱いにしていたように見えるおばあさんも、実は牛のことを思っているのだと、ちゃんと観客にはその思いが伝わるのです。
 
 うちの牛も農耕牛でしたが、最後は肉牛として売られてゆきました。
 
 韓国人の同僚に聞いた話ですが、この映画の大ヒットで、このおじいさん、おばあさんの9人の子供達がバッシングを受けているようです。なるほどなあ。こんなに親を放っておいていいのか、ということなのでしょう。でも、それはお節介。
 
 働くとは何なのか?生きるとはどういうことか?農村の四季の風景を描きつつ、そのテーマが迫ってきます。
 
 心斎橋シネマートで鑑賞。満席でした。

2010年1月7日
 
 「 水仙は 八重より一重 孤に徹す 」 西嶋 あさ子
 
 水仙は「雪中花」とも言うようです。冬空の下に凛と立ち、香りもよく、昔から人々に愛されてきた花ですが、なぜか私はあまり好きではありません。やはり寒がりのせいでしょうか(苦笑)?
 
 ちなみに「双清(そうせい)」とは植物の組み合わせで、「梅」と「水仙」だそうです。なるほど、清冽なイメージなのかも。
 
 年頭から毎日のように警察からの問い合わせ。驚きもしませんが、年末にいろいろやってくれたらしい。こういう学校も珍しいでしょうね(苦笑)。もちろん個人情報、即答はしません。管理職を通して、文書などで、それなりの手続きが必要なのです。
 
 12月に生徒宅へ送付した手紙が宛先不明で返ってきている。どうも引っ越ししたらしい。本人のケイタイも使われていないので、母親のケイタイに電話。やっと繋がる。
 
 あ、引っ越したんです、連絡忘れていました。
 (本人はもう半年登校していません)
 新しいご住所を教えてください。
 はい、今忙しいので5時頃電話もらえますか?
 わかりました。のちほど。
 
 約束通り、5時に電話しましたが、出ません。(予想通り)
 夜、7時、家から電話。 出ません。
 8時、再度電話。出ません。
 
 6日の新聞の写真に惹き付けられる。民族衣装で楽しそうに踊っている二人。男の腰蓑は豹の毛皮みたい。
4日に行われた南アフリカのヤコブ・ズマ大統領夫妻の結婚式、といっても、南アフリカは一夫多妻が認められているので、写真のトベカ・マディバさんは第3夫人だとか。67才と37才の新郎新婦。さて、6月のワールドカップの開会式にはだれを同伴しはるのでしょう?これも文化の違いか。
 
 最近見た映画

「カールじいさんの空飛ぶ家」

解説: 『モンスターズ・インク』のピート・ドクターと『ファインディング・ニモ』の脚本家ボブ・ピーターソンが共同で監督を務める3Dアニメ。冒険家への夢をあきらめ切れずにいる78歳の老人に、驚きの出来事が巻き起こる冒険ロード・ムービー。カールじいさんの声を『アパッチ砦・ブロンクス』のエドワード・アズナーが、カールの相棒となる少年ラッセルの声を新人のジョーダン・ナガイが担当する。ピクサー初となる3Dデジタルでの作品に期待が高まる。

 あらすじ: いつか世界を旅して回りたいと思っていたカールも、今や78歳。最愛の妻は亡くなってしまい、夢をかなえるには年を取り過ぎている。しかし、何と数千の風船を家に結びつけ、空高く飛び立つことに成功。カールは8歳の少年ラッセルとともに冒険の旅へと出発する。

 いままで敬遠していたピクサーの作品ですが、あまりの評判と、漏れ聞いたストーリーに惹かれ出掛けてみました。

 郊外のこじんまりした若夫婦の可愛い家が、いつの間にか都会のビルのただ中に取り残され、思い出の家からの立ち退きを迫られる。昔、大好きだった絵本そのままの世界(絵本での家は、また郊外の昔と同じ風景の中へ運ばれてゆく)を連想したのです。

 さすがに、優れた技術、自然描写、人や動物の表情や動きも美しい映像でした。ただ、主人公とその奥さんとの出会い、そして死別までを描いた最初の10分余があまりにすばらしい(涙を禁じ得ませんー場内の半分を占めた小学生にあの世界、わかるかなあ?)ので、後のアドベンチャーファンタジーの部分が色あせて見えます。 

 更にいわせて貰えば、凝った脚本のわりに結末がイージー。昔書いた絵そのままに、憧れのギアナ高地の瀑布の上に思い出の家を置いおいて、自分たちは悪人と化した冒険家から奪った飛行船に乗って帰って、お気楽に暮らす・・・。それって、環境破壊やし、「夢」の実現というには達成感に欠けると思うなあ。

 私なら、ふたりの夢の通り、あの家とたくさんの風船(この発想はいい)、そして、新しい家族ー少年と犬と共に、世界の旅を続けるのです。奪った立派な飛行船ではあきません。

 孤独な老人の人生への回帰、自然への回帰がテーマならもっとストーリーの捻りようがありました。現題は「up」。ネタバラシの部分がありました。ご容赦のほど。


2010年1月4日
 
 「 去年今年 時ちぢまりて ゆるみけり 」 森 澄雄
 
 「あと数日」と、残り少ない日めくりをみていたけれど、またリセットされて・・・でも、もう2010年の1パーセントが終わってしまったと思うのは歳のせい?とにかく、その時の過ぎゆく速さはゆっくりした感慨も許してはくれません。
 
 3日の箱根駅伝、往路も見てしまいました。襷を繋げなかった学校の無念。でも、それも貴重ないい経験になるのでしょう。
 
 番宣がすごすぎて鼻白んでいた「竜馬伝」も見てしまいました。期待していなかったのですが、面白かったです。脚本、演出、冴えています。キャストの演技も福山クンの個性も活かされている。草刈民代さん儲け役!でも、岩崎弥太郎役の香川照之さん、ここんとこ出過ぎ!正岡子規とダブります(笑)。
 
 のどかな青空の4日。義母が膝が痛いというので、早朝からS病院へ。ここはスポーツ医療などの専門で私も利用しています。三ケ日明けで混んでいましたが、なんとか午前中に診察を終える。やはり、軟骨がすり減っているのでリハビリに励むしかないとか。一日3回の運動メニューをもらって帰る。どさくさまぎれにダイエットも薦める。人ごとではありません。明日は我が身。私も来週の計量に間に合うかしら?
 
 と言いつつ、午後は上の息子のホテルのファミリーパーティへ。義母もしっかり同行。不況のせいか、ことしはちょっとメニューがダウンしていました。でも、しっかり食べ、ワイン5杯、ビール1本飲んだところで酔ってしまう。ソファでしばし休憩しているうちにうたた寝。なんや年末の断酒以来、酒に弱くなったみたい。気弱になって、寒気もするし、帰ってすぐに寝ることにする。いよいよ明日から戦場です。
 

2010年1月3日
 
 「 初夢の 話してゐる間に 忘れけり 」 星野立子
 
 俳句をたくさん作っている夢をみたのですが、折角作った句は朝粥を食べているうちに忘れました(苦笑)。
 
 2日は元旦と入れ替えたいような、きれいに晴れた朝でした。東の空に薄い雲に群雲が重なり、微妙なクラディエーションの朝焼け。その中に一筋、朱を帯びたオレンジの光が二上山の向こうから真上に差し上げて、まさにご来迎といった気配。これは引っ越してきてから初めて見たものでした。諸説あるけれど、これも「かぎろい」といえるかもしれません。昔の人だったらひれ伏して拝んだかもしれない。義母と、嫁ハンを起こしてみんなで感嘆しつつ眺める。
 
 お雑煮をいただき、美容院へゆくという義母を送ってからは「箱根駅伝」三昧。青空に富士がくっきり浮かんで、江戸から箱根への東海道沿いはこちらも正月日和。テレビの映像というかカメラワークもすばらしい。どこかの山頂から富士を捉えたショットがそのまま下に下りて、町中を走るランナーにアップで迫ってゆく・・・。提供はサッポロ、エビスビールも縁起よし。10人抜きの快走あり、失速あり・・・展開を気にしつつも、駅前の「近商」の初売りに走って、先着200名に配布の「虎の湯飲み」をゲット、賀状の整理をし、返事を書き、投函に行き、結構せわしなく動いていました(いつものことですが、今年もばたばたした生活に進化なしー苦笑)。
 
 「なんでこの寒いのにランニングシャツ(名前の通り?)で走るんやろ? 」
と駅伝で走り慣れている下の息子に問うと
 「走っていたら、めちゃ暑いんやで。それに半袖は脇が擦れて、血が出るねん。服はほんとは邪魔やねん。胸も腕を振るから擦れて、乳首から血がでるねんで。」
「エエーツ。ほなら、女性はどうなるん?」
「お父さん、なにうれしそうな顔してんねん。ちゃんと専用のブラがあるんです!」
「で、下半身はどうなる?股ズレを起こすやろ?」
「そうやねん。僕もはじめ下にトランクスをはいて走ったら股ズレを起こして、一週間風呂に入ったら沁みて大変やった。ちゃんとスパッツを穿かんとあかんねんで」
 
 ふーん。さっそく買いに行こうとメモする。
 
 5区の山登りで4分26秒差を逆転、往路優勝した東洋大、柏原(かしわばら)くんの快走に感動しつつ、経緯を昼から初詣に出掛けた息子に逐次メールで中継する。
 息子の返信「信じられへん!」「人間とは思えない!」
 
 往路19位の亜細亜大の最終ランナー、キャプテンの山中くんは、峠を下る頃から目がうつろ、左右に振れながら走って今にも倒れそう。沿道の中学生がそれを見て泣いている。ゴールでモニターを見つつ待っている部員も皆泣いている。ゴールに倒れ込んだシーンで、こちらももらい泣き。後の亜細亜大監督のコメントで「12月中旬から体調が悪かった彼を使わざるを得なかったのがうちのチームの課題」だと。それで、一番シンドイとこを走らせたのか?キャプテンの責任感?後遺症がないといいけれど・・・。
 
 駅伝が終わるやいなや、ジャージに着替えてリユックを背負って石川へ。来月に迫った河内長野駅伝の練習です。川に向かう途中で祭りモードの生徒にであう。どちらも異様な格好にびっくり。彼は友達の手作りのだんじりを曳きにきたらしい。お互い正月からようやるなあ、と笑い合って別れる。
 
 町はずれの温泉まで走って、友人と落ち合い、岩盤浴へ。これは初体験でしたが、気持ちいい。嵌ってしまいそう。露天風呂、塩サウナで汗を流して、一緒に家に帰って私はプレミアムビール、彼はノンアルコールビールで乾杯、テレビで「初芝居」を見つつ、11時過ぎまで話し込む。同窓会へ行っていた嫁ハンが帰って来たのは12時頃?息子は外泊?やはり正月2日も意識朦朧のまま終わりました(苦笑)。
 
 3日、薄曇りながら、おだやかな日、やっと仕事明けの上の息子が年賀にやってきます。下の息子は仕事始め。私は箱根駅伝の復路に見入っています。
 

2010年1月1日
 
「 元日や 手を洗いをる 夕ごころ 」 芥川 龍之介
 
 手を洗っているのは、おそらく、昔あったトイレの前の縁側の手水鉢でしょうね。元日も夕暮れ時になると、朝の清新さも薄れ、日々の平凡な生活の回帰を思って、なんや寂しい思いがあります。
 
 雲に覆われ、寒く風の強い元日でした。陽光が射したのは9時頃のこと。初詣は歩いて1分の白鳥神社。小さいけれど好きなお宮さんです。
 
 息子はマラソンに備えてランニングに。私は朝から飲んで、午後は昼寝、賀状お整理の後は、またお酒。今夕はプレミアムビールと、桃滴、御前酒で手巻き寿司。ウイーンからの生中継、「ニューイヤーコンサート」を聴きながら酩酊。こんな贅沢していていいのだろうか?
 
 そういえば、昨夜の紅白歌合戦。一時の低迷を脱して開き直って頑張ってますが、今回はちょっと凝りすぎ、動員しすぎ(人数、ダンサーなど)のように思いました。何度がウルウルきましたが・・・。とにかく4時間半は長すぎる。もっと絞っていい。
 
 数年前の凝りすぎず、媚びすぎず、歌手にたっぷり歌わせて感動を呼ぶ(なんど泣いたか・・・)そんな在り方でいいのです。権威付けや他の番組宣伝はもういい・・・シンプルで豪華な歌番組でいいのです。続けてほしいと思っています。でも、知らない歌や歌手が増えました・・・(苦笑)。
 
最近見た舞台
 
「アムール・・・そして」
 
 タカラヅカ宙組の昨年3月のレビュー。古いシャンソンをテーマにした洒落た出し物と期待したけれど・・・これはちょっとがっかり。主役大和悠河さんの魅力は認めるけれど、やはりまだ若く貫禄に欠け、なにより歌唱力の弱さが響く。みんなで一生懸命盛り上げているのだけれど・・・これで退団は惜しいなあ。未完の大器のままで終わった感があります。
 ただ、95期の初舞台生のラインダンスは見事でした。タカラヅカ100周年を支える生徒達がこの中にいるのでしょうね。
 
「アバショナート」
 
 タカラヅカ月組の1昨年12月のレビュー。これは堪能。情熱をテーマにしたラテン系のものですが、生え抜きの瀬名じゅんさんは貫禄のトップ振り。これで退団だけれど2番手の霧矢大夢(きりやひろむ)さんとの上ふたりがしっかりしているので、周囲は安心してついていっているという感じ。ポイントごとに出てきて場を引き締め、見せ場の大階段での黒エンビでの群舞も先頭に立って見事に決めて、見る者にカタルシスをもたらしました。かっこいい。
 
 図らずも、リーダーの在り方(どちらがいいとはいえないが)を感じさせられた二つのレビューでした。
 
「蜷川十二夜」
 
 これは期待して見ました。歌舞伎座で成功してロンドンへ。昨年大阪でも上演されましたが、見逃していました。昨年12月にテレビでロンドン公演が放映されたので、録画しておいたのです。
 
 期待を裏切らぬ見事な舞台。なにより成功の原因はこの企画を思いつき、松竹を口説き、蜷川さんを引っ張り出した尾上菊之助の意欲。この立ち役もこなせる美しい若女形がいてこそのこの成功。美しい貴族の双子の兄妹を演じて舞台をひっぱり、それを父の尾上菊五郎(人間国宝)が自由人の「阿呆」と権力に拘る執事の二役を下品にリアルに演じて盛り上げ、支える亀次郎、時蔵たち女形の好演もあって、息もつかせぬ舞台になりました。いつもの歌舞伎の悠長なリズムを壊した早いテンポの舞台を構築した蜷川さんの手腕、それに応えた役者の力量、3時間余があっという間。これぞシェークスピア。



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