Kan-Kan の雑記帳


2010年11月28日
 
「 あつかんに あらねども やや熱き燗 」 川崎 展宏
 
 そうです。同感。ぬる燗よりもう少し熱い燗が欲しい、おいしい季節です。
 
 現任校が新しい形になって10年。その記念パーティが27日、道頓堀で行われる。この形の発案者、体制作りから関わって転勤された方も現役も集まったり80名。すべての参加者を知っているのが古参の強み。なつかしい面々も含め大騒ぎして、2次会もアベノの馴染みの店で。今日はきっちり二日酔いでした(苦笑)。
 
 愛媛からバスでパーティに駆けつけてくれた元同僚は、2次会の後また深夜のバスで帰郷。1才の愛娘がいるのです。でも実家のお母さんとご主人のお母さんが仲良くて、二人で面倒を見てくれているのだと。ばあちゃん二人が一緒に新婚家庭に泊まりに来たりするそうです。そんな幸せな近況も聞けて楽しい夜でした。
 
 でも、こういう会も次はいつあるか。定年を迎える私もこの懐かしいメンバーと再び会うことはあるだろうかと、ちょっと感傷的な気分にもなりました。時も人も流れてゆきます。
 
 「龍馬伝」終了しました。コミック誌に連載中の「JINー仁」も完結。こちらは来春テレビ放映が始まるそうです。
 
 フィギアスケートのフランス大会。真央ちゃんは残念でしたが、無理しないで休んだらいいのにと思う反面、やはり、リンクに立たないと不安なんだろうな、と思います。全然次元は違いますが、土曜のテニス、ちょっとブランクがあったのでショットが合わなくてあきまへんでした。私如きでそれだから、真央ちゃんのような高度なジャンプやスケーティングには技術やタイミングを維持、修正するのが大変だろうなあ。
 
 それにしても、すごかったのは小塚くん。直前に滑った地元フランスの選手アモディオがみごとな演技とパフォーマンスで大喝采を浴びたのに、それに動じず、4回転に成功、そして落ち着いた気品ある演技で最高点、完全優勝でした。
 
 それと最近私のご贔屓、フィンランドの美女、キーラ・コンピさんが優勝したのもうれしい。曲は「エビータ」、これもぴったりでした。
 
 この前の嫁ハンのライブ以来、歌に拘っていますが、今日、テレビで秦基博さんの歌を聴いて、やはり「いい声」というものはあるんだなあ、と思いました。気持ちやテクニックやパフォーマンスで補えないモノが歌にはある。秦さんの唄い方は決して好きではないけれど、無条件に聴かせる声、その強み。それは天賦のものでもあるのでしょう。
 
 つぎつぎ出てくるおいしい果物。エンゲル係数の沸騰に怯えつつ、秋はやはりこれが楽しみ。それも終盤ですが、今朝の林檎、ジョナ・ゴールドはおいしかった。柿の収穫がイマイチだそうですが、四国の弟が送ってくれた早生みかんの小さくて皮のうすいヤツ、そしてキウイフルーツも。朝の果物は金だそうです。
 
 次々閉店してゆく店。駅前で40年以上やっていた時計店が店を閉じました。老いたご兄弟ふたりでやってはって、私もここで最初の老眼鏡を作りました。10月で店じまいをしてどうしてはるんかと思っていたら、先日のミニコミ誌に白鳥(駅近くの、この当たり一番の住宅地)の中にある自宅で時計修理をやっていますという広告。ほっとしました。
 
 その白鳥に最近できたお洒落なカフェ。目立たないところにある白い洋館で緑が一杯。ちらっと覗くとインテリアもドアも凝っている。一度行きたいと思いつつ機会を逃していました。今日、ちょっと寄ってみたら、たたづまいはそのままなのに、もうやっていませんとのこと。この時代、収支を考えて、見切りを付けるのも早いのでしょう。残念。
 
最近印象に残った言葉
 
「 ラニーニャ現象」
 
 太平洋の真ん中からペルー沖にかけての海水の温度が低くなる現象。ちなみに「ラニーニャ」とはスペイン語で「女の子」の意味。「男の子」は「エルニーニョ」で、エルニーニョ現象は水温が高くなる。今年はラニーニャ現象が起こっており、その影響で偏西風の流れが乱れ、北の寒気が入って来て、寒い冬になるのだそうです。寒いのはいやだけれど、この歳になるとすぐ春が来ると思えるから、ま、いいか。でも、あれだけ暑い夏で暖められた海水はどこへ行ったの?
 
最近読んだ作品
 
「 ドミノ 」 重松 清
 
 さんざんいらいらさせられた展開の作品も終盤に?。高校時代の女王、「かぐや姫」だったマリとそれを取り巻く4人の男たち。遊んで妊娠したマリは4人の中から一番純真で鈍なヒデを選んで結婚。男の子が産まれてもマリの遊び癖は止まらない。やきもきする友人達、双方の親たち。新居を見に行った友人のひとりシュウは卓上にドミノを見つける。そしてマリの体の変調がわかる。
 
 そうだったんだ。やっとここに来て作者の意図が読めました。難所をうまく切り抜けて生きてきたマリもここでひとつドミノが倒れると・・・。そしてかぐや姫は月に帰って行くんだ・・・。
 

2010年11月26日
 
 仕事を必死で片づけて、5時半の地下鉄に乗る。嫁ハンのライブです。西中島南方はよく知らない街。でも、広々として、飲み屋も一杯。ちょっと歩いただけで気に入りました。また来てゆっくり歩きたい。
 コンビニで日本酒とアテを買って(250円)近くのベンチで飲もうとしたら、あ、○○(ウチの嫁ハン)センセの御主人だ!よかった!という声。何がよかったのか解らないまま、愛想笑いしつつ、慌てて酒を仕舞って振り向くと、嫁ハンのシャンソン教室の教え子さんが3人。ライブハウスの場所が解らなくて迷っていたらしい。
 
 店まで案内して、引き返して酒を飲んで、改めて出陣。
 
 「WAZZ」という外国人アーティストも来演する店らしい。ステージ中心に90度に開かれた階段状の店内は黒を基調のインテリア。フロアは踊れるように桜の板張り。バックは深紅のベルベットのカーテン。階段状の客席の最上段は洋風のオペラハウスのように壁とカーテンで隔てられたバルコニー席。ちょっと映画の中のニューヨークやシカゴのクラブを思わせる空間でステキでした。100人ほど入れるみたい。
 
 こういう舞台装置だと気になるのは衣装。4人の出演者はそれぞれゴールド、赤、黒と強い色合いのドレスを次々着替える。嫁ハンもピンク掛かった白いドレスと黒のドレス。
 
 それにしても、歌を聴いてもらうというのは大変な仕事です。カラオケ全盛の時代、ちょっとウマイのと、人に聴いてもらうのとはほんとは大きな違いがある。どこかで選別しなくては。むつかしいけれど、そんなことを痛感したライブでした。
 
 出演者のひとりに元タカラジェンヌがいてはりました。さすがにスタイル、ステージングは見事でした。
 
 
 
2010年11月25日
 
「 湯豆腐や いのちのはての うすあかり 」 久保田万太郎
 
 冬になるといつも思い出す句です。「うすあかり」という表現、そのあいまいさが人生そのものを思わせて絶妙です。
 
黄海波高しー28日からの韓国・米国軍の合同演習で再び緊張が高まることは必至です。さて、同じく黄海に面した中国はどう出るか?
 
 最近印象に残った言葉
 
外山 滋比古 さんのエッセイから
 
 明治このかた、日本語は論理的でないということが一部でささやかれてきた。戦後になってそれが曖昧だに変わったようである。先日もある会で講師が「あいまいな日本語ではとても外国と太刀打ちできません」と弱音を吐いて、会場をどよめかせた。あいまいではいけないと思っている人が多いのであろう。
 もともと日本語は、露骨、率直、バカ正直を喜ばない。やわらかく婉曲に、それとなくわからせるのが、床しく上品であるとする。
 相手を立てようとすればおのずから含みのある言い方になる。もののわからぬこどもならともかく、大人に向かって割り切ったことを言っては失礼になるといのが成熟した社会である。外交の言葉も上品であいまいである。
 
 詩の美はあいまいにある、というのが外山さんの持論。全く同感です。
 
 でも、もののわからない子供のような相手にどう言ってやればいいのか?むつかしいところです。

2010年11月24日
 
「 走り去る 毬さびしけり 銀杏散る 」  中村 汀女
 
近所の農林センター御堂筋も銀杏並木は見事な黄葉ぶりです。
 
 北朝鮮にも言い分があるのでしょうね。曰く、自分の領土内に居座って、軍事演習するなどもってのほか・・・だからといって、無礼者め、と民家のある陸地に向かって大砲をぶっぱなすか・・・?衝撃的な事件でしたが、北朝鮮だけが特殊とは思いません。国際社会は生き馬の目を抜くなんでもありの世界。はったりや駆け引きは常道。マナーや礼儀はないのではと思います。その中でしたたかにどのように生き抜いてゆくか、むつかしいところです。
 
 休日を控えた月曜の夜。帰宅道を大きく外れ、昔、お世話になった香里園の叔母(叔父の奥さん)の誕生祝いにケーキを持って行く。喜んでくれて、逆に「菊姫」でもてなされる。おいしい。アテのうつぼの唐揚げがおいしので貰って帰る。
 
 10時過ぎ、いい気分で古市駅前の馴染みの店に寄る。3ヶ月ぶり。常連のハマちゃんが居て盛り上がる。彼は偶然ながら同郷でしかも同じ高校の後輩にあたるヤツ。美人ママと3人でワイワイ言っているうちに若い一見の男性登場。警察官ですというので、うちの息子もです、などと言って一緒に飲むうちに男の様子がおかしくなる。わけのわからないことを言い始めたので、送って行ってやるわと言って、店から出そうとすると、金がないと言う。
 
 しゃあない、無銭飲食やなあというわけで、警察に連絡。男は空手ができるんだとすごんだり、トイレに行かせろ(トイレに籠城するのはよくある手)と喚くのを無視してハマちゃんと抑えつけて待機。警察が来ないので非番の息子まで電話で呼び出す。やっと来た警察に引き渡し(息子は帰す)、警察は店の前の路地で事情聴取、親に連絡、父親が来て金を払って帰り、警察も帰り、また3人で飲み直して、帰宅したら午前1時半。翌日は久々の二日酔いでした(苦笑)。
 
 嫁ハンの朝の言葉。それにしてもいろんな事件にぶつかるヒトやねえ。何言うてんねん。俺はいつも避けよう、避けようと思っているのにあっちから寄って来んねん。
 
 ちょっと待って!プレイバック。
 
 同じ言葉を故郷の悪友Nに言われたことを思い出しました。あれはいつのことだったっけ?やはり畳の上では死ねない運命にあるのかなあ(苦笑)。すぐ挑発に乗る、お節介の性格は変わらないやろなあ。
 
 今日帰りに店に顔を出して、大丈夫?と声を掛けると、ママは元気そうにしていてお礼を言っていたけれど、報復もあるから注意するよう(携帯を手元に、すぐに警察に電話)に釘をさしておきました。
 
 それにしても、あの若者(実はフリーターらしい)の父親(私と同年輩)の態度が気になります。われわれに侘びも言わず、金を払って、「こんなやつずっとぶち込んでくれたらええねん」、と吐き捨てるように言って帰って行ったけど・・・。同情はしないけれど、店の前で別れるとき、縋るような目でこちらを見ていた若者がちょっと気になっています。
 
最近印象に残った言葉
 
日本料理店「かんだ」店 店長
 
 

フランス料理が足し算なら、食材の鮮度と質がそのまま出る日本料理はいわば引き算の世界だ。素材が一番おいしい時に最小限の手を加えて完成させる。料理を飾り立てるのではなく、食材の素肌を磨くことが板前の仕事・・・。

 

誰でも作る料理を、誰でも作れないレベルで出された時、人は感動する。ただし、すぐにうまいと感じる味付けは飽きる。3口目が勝負。あっさり、しかし食べ進むほどに癖になる味が理想。

 

 30代は、なにか難しいことをして認められようと思っていた。今は、必要がないならなにもしないのがいい料理人だと言い切れる。

 

 なるほど。このレベルでこそプロの料理人かも。でも、あまり、星の数に拘らないでね。

 


2010年11月21日
 
「 この樹昇らば 鬼女となるべし 夕紅葉 」  三橋 鷹女
 
 女性の怖さ、情念といえばこの句を思い出します。「べし」はむつかしい助動詞ですが、この場合は一般的な推量の意味というより、「当然、意志の意」と思います。歌舞伎の「紅葉狩」の舞台、赤い振り袖の美女、更科姫が鬼女に変身するイメージがダブリます。
 
 山を越したはずだったのに、なかなかその実感がありません。先週の水曜は、ばたばたしているうちに夕暮れになり、なにか忘れものをしているような気がしてカバンを開いたら、昼ご飯のおにぎりが見つかりました(苦笑)。
 
 それでも週末の楽しみがあるのでがんばれます。金曜夜はボジョレー・ヌーヴォ解禁のパーティ。日仏協会主催のこの催し、昨年は北浜のル・ポン・ド・シエルだったのですが、名店の割に料理と酒が足らなかったので?今年は会場を元に戻して、中埠頭のハイアット・リージェンシー・オオサカで。但し、広すぎたボールルームからホテル傍のゲストハウスに移したのが大正解でした。三十畳くらいでアットホームな感じ。シックなインテリアに暗めの照明。壁に古いフランス映画(「パリの屋根の下」を映している。嫁ハンは赤紫のドレス、私は薄いパープルのシャツに青いジャケット、紺のパンツ。友人のカップルはピンクのチャイナドレスと黒いスーツ。みんな気合が入っています(笑)。
 
 アトラクションはコアコーディオンとバイオリンの演奏。赤いストッキングがきれいなアコーディオンの女性の演奏がステキなっだので、パーティの後、嫁ハンと共演の交渉。来年夏くらいに実現するかも。
 
 肝心のワインですが、三日間の禁酒の後、一気に飲み過ぎたので、味がよくわかりませんでした(苦笑)。鹿肉とチーズがおいしくて、更にカウンターに通い、みんなメロメロでした。ビンゴ大会の景品は昨年は「青い薔薇」。今年はワイン。友人と嫁ハンがゲットしてご満悦。
 
 錦秋の飛び石連休、郊外で紅葉狩りと思っていたのですが、嫁ハンに引きずられて市内のど真ん中、ヨドバシカメラへ。九時半開店前に列が。エコポイントが今月までとかでものすごい人出。三階のテレビ売り場は説明を受けるために整理券が発行されている。我々は11番でしたが、帰りにみたら数百番台で2時間待ちとか・・・来週はもっとすごいそうです。結婚以来3台目のテレビ購入。10年以上持ったからいいかな。残念ですが納入は年内に間に合いません。エコポイントの還元は3ヶ月後だそうです(笑)。
 
 先週の友人との紅葉狩りと温泉の帰り、東吉野での出会い。道端の表示を見て、友人がブレーキを踏む。有名な刀匠らしい。

河内 國平(かわち くにひら、1941年 - )は、日本の刀匠奈良県無形文化財保持者。大阪府出身。國平は号であり、本名は道雄。

1941年、第14代刀匠河内守國助次男として大阪で出生。 1966年関西大学法学部卒業後、人間国宝宮入昭平(後の行平)に入門。相州伝を習う。1972年に独立し東吉野村平野に鍛刀場を設立し、1981年に奈良県立文化会館にて個展開催する。その後、1984年には人間国宝隅谷正峯に入門備前伝を習う。

1987年に無鑑査認定を受けてからは、文化庁美術刀剣刀匠技術保存研修会講師、刀職技能訓練講習会講師、短刀小品展審査委員、橿原考古学研究所藤ノ木古墳出土刀剣復元委員などを務め、1989年には東吉野村無形文化財指定、奈良県卓越技能者撰定を受ける。

1995年に刀剣製作古法「大和伝」を修得し、2005年、奈良県無形文化財保持者となる。

(ウィキペディアから)

 せめてお宅拝見と急な坂道を上って探してみたがわからない。出会ったご婦人に尋ねたらそれが河内夫人。匠は不在でしたが、親切な奥様に誘われて、あつかましくお宅に上がり込み刀も拝見。神聖な鍛刀場まで見せていただく。映像で見たことありあますが簡素なつくり。たくさんの道具類。金槌が重いのに驚く。持ち上げるのだけで大変。あれをトンテンカン、トンテンカンと呼吸を合わせて一日打ち続けるとは・・・。奥様のご説明では馴れてくると跳ね上がってくるようになるのだそうですが、その前に腰を痛めそう。毎年弟子が入ってくるがなかなか続かないそうです。納得。でも息子さんが後を継がれるというお話でした。大きな桜などの古木に囲まれた閑静なお住まい、大阪を離れ、この環境で刀に向かってはるんだ。

 刀やナイフ、包丁等には独特の美しさがあるのでしょう。特に、刀は今は(昔もですが)武器というより美術品の趣。昔、四国の実家にも刀があって父が手入れしていたのを見ていましたが、正直怖いという記憶があるだけです(苦笑)。切腹の作法も教わったことがあります。その記憶も尾を引いているのでしょう。「刀剣の美」ー自分にはきっと縁のない世界でおわるのでしょうが、製作現場を身近に見せていただいて、身の引き締まる思いと、作り手の汗を感じて親しみを覚えたのも事実でした。

 こういう体験も貴重。ブレーキを踏んだ友人Yに感謝。それにしてもステキな奥さまでした。


2010年11月18日
 
「 初冬(はつふゆ)の竹緑なり 詩仙堂 」 内藤 鳴雪
 
 あのお庭の清潔なたたずまいと静けさ。竹が似合います。もちろん天然記念物の山茶花も(あ、先年、一本倒れたのでしたっけ?)。
 
 次々届く生徒の試験結果。携帯電話でメールで。合格の場合は嬉しいし一緒に喜べばいいが、ダメだった場合は掛ける言葉がむつかしい。そんな合否の連絡がほぼ同時に来ると焦ってしまいます。
 
 今日はダメだった連絡。でも面接練習も一生懸命がんばった(そして短期間にすごく成長した)生徒だったので、本人も比較的さっぱりしていました。次頑張るというので明日の空き時間に相談することを約束。こうあってほしい。ちょっと頑張って、ダメだったら即落ち込んでしまって次へゆけないパターンが多いのです。
 
 最近印象に残った話
 
矢野顕子さんー52年間弾いていてまだピアノがうまくなりたいというー阿川佐和子さんとの対談から
 
矢野 子供のころ、クラシックをやっていたときに「ヤなことはやらない」って運指の練習しなかったから、そのツケが来てる。自分の都合のいいように弾くというか、指がフレーズを選んでるんです。私にとってむつかしい音を弾きたいという欲があっても、技術が追いついてないの。だから運指を改善しなきゃいけない。
 
阿川 ツェルニーやろう、ツェルニー(笑)。
 
矢野 実はやっているんですよ。
 
阿川 え?今?
 
矢野 でも、ショックなのは、小学生の時と同じ所を間違えるの(笑)。
 
あの矢野顕子がツェルニーを練習しているんだ!
 

2010年11月15日
 
「 桐一葉 日当たりながら 落ちにけり 」  高浜 虚子
 
大きな葉。ゆったりと落ちます。日が当たっているのがわかるのもその大きさ故。
 
白鵬敗れる。どこかで守りに入ったのでしょうね。
 
日本女子バレーは攻め続けました。銅メダル。正直、その奮闘に驚き、興奮しました。
 
映像流出事件の海上保安官は逮捕されない見込み・・・どちらにしても後味の悪い事件です。保安官のこれからはどうなるのでしょう?
 
 ミャンマーはどうなるのでしょう?軍事政権を非難することは簡単ですが、省みすれば、やりたい放題でこの地域を蹂躙したイギリス始め列強(日本もその中に入るでしょう)の責任も大きいはずです。
 
 

 投書が断然おもしろいのはラジオ。新聞の読者欄や、偶にあるテレビの視聴者の投書を活かした番組(さだまさしさんがNHKで定期的にやっていますね)よりはるかに楽しい。ラジオの特性が生きます。最近はメールやファックスが多いけれど・・・。

 

 土曜の午後の番組。投書のテーマは「ケンカ」。

 

 30代の主婦からー

 

「 妹が30を過ぎても気楽なフリーターで、貯金もなく、アンタ将来どうすんねん?と心配して、彼氏を紹介しても煮え切らないままでした。ところが、先日、無理やり夫の知人を紹介したら、すんなり結婚が決まったのです。それもめちゃええ人で、しかも実家が資産家。急にセレブになってしまう妹に複雑な思いで、姉妹仲もギクシャクしてきました・・・」

 

 ナルホド。その心理もわかる。いつも優越感を持って接していたから、そこから抜けられないのですね。

 

 老人施設の職員さんから

 

「 入浴介護の仕事をしていて、衣服の着脱を手伝っているのですが、手術の跡の見せ合いから次第に病気自慢のようになって、熱が籠り、声も大きくなり脱衣場の話題はエスカレートしてゆく・・・。

 でも、ケンカにはならないのです。なぜなら、みんな自分の事を話すことに夢中で、他人の話を聞いていないからです・・・」

 

 思わず笑ってしまいました。

 

最近印象に残った言葉

 

乙武 洋匡さんのインタビューから

 

「実際の教育現場はその9割が杞憂でできていた。全てが面倒が起きたらどうしよう、という発想で決まっていて、子供達が新たにチャレンジできる環境がない。たとえば理科の授業で育てたインゲン豆を、家庭科室で茹でて収穫祭をしようとしたら、給食以外のものを食べさせてお腹を壊したら問題になる、という理由でNGになった・・・」

 

 わかります。問題です。でもその杞憂がしょっちゅう当たり、抗議電話がじゃんじゃん、モンスターペアレントが乗り込んできて、裁判沙汰になる現状ももっと問題です。意欲的な試みをする教師を庇ってくれるはずの管理職や、教育委員会は弱腰です。


2010年11月14日
 
「 山は暮れて 野は黄昏の すすきかな 」 蕪村
 
 朝7時半にいつもの仲間と石川臥龍橋たもと集合。友人の車(私は飲むのでいつも甘えさせてもらっています)で2時間ほど走って香落渓へ。黄砂で山が霞んでいるのが残念でしたが、谷の周囲は切り立った柱状節理とその上下に見事な紅葉黄葉。清流もうつくしい。曽爾村を抜けて、東吉野村へ。
 
 「たかすみ温泉」に浸かる。きれいに整備されて清潔な露天風呂もあり、それで500円は安い。しかも客がほとんどいない。四方山話をしながらのんびりあたたまる。極楽極楽。併設されている「たかすみ文庫」でこの地に縁の、またこの付近を詠った俳句、短冊などを拝見。隣にある「天好園」(庭も広くて、紅葉もきれい)の食堂でビールと地酒と雉うどんをいただいて大満足。帰りに木津峠から高見山の秀麗な姿を拝んで帰阪。今秋も最高の紅葉狩りが出来ました。いつもええとこ案内してくれるSさん、運転してくれるYさん、ありがとう!
 
 薄を持って帰ろうと、花ばさみを用意して行きましたが、高原ではもう枯れかかっていました。でも、紅葉はまだまだ見頃。今度は嫁ハンを連れていってやりたい。
 
 昨夜は女子バレー、日本VSブラジルに興奮し、今夜は対アメリカ戦に手に汗を握る。日本チーム、体格のハンディを跳ね返してよくがんばっています。
 

2010年11月13日
 
「 花すすき 分け入りて 吾も波となる 」 金  利恵
 
 韓国の俳人。朝鮮半島も秋一色でしょう。
 
 秋晴れを期待したのですが、黄砂が立ち込めて、半月も滲んでいました。元気な友人は鈴鹿の山へひとりで出掛けましたが、熊や猪が心配。
 
【シンガポール=宮野弘之】ミャンマーからの情報によると、同国の民主化運動指導者アウン・サン・スー・チーさん(65)が13日、7年半ぶりに自宅軟禁から解放された。同日午後5時(日本時間同7時半)すぎ、スー・チーさんの自宅に軍政当局の車が入り、その後、自宅前に設置されたバリケードが撤去された。集まっていた支持者は自宅の敷地内に入った。ただ、軍政は外国メディアの取材は認めておらず、軟禁解除後もスー・チーさんの自由な政治活動を制限する可能性は残されている。(産経新聞)
 
朗報ではありますが、民主化への道はまだまだ険しそうですね。
 
最近読んだ作品
 
「長命寺当住女犯の後始末」 佐藤 雅美
 
 これは今回イマイチでした。
 
「花かえ」 馳 星周
 
 今回も秀逸。前作から6,7年経って、主人公徹も20代半ば。バブルがはじけ、敦賀の小さな会社で働いている徹は不景気の中で給料も下がり、兄の巨額の借金問題もあって、閉塞感に苛まれている。高校時代からの年上の恋人キャパクラ嬢の美紀との関係も煮詰まってきて、年下の真理に惹かれてゆく。美紀にウソをついて、真理に接近する徹だが、花換え祭りの夜にすべてがばれてしまう。でも己の非をまっすぐ認め、美紀に抵抗もせず殴られて、改めて真理に向かってゆく姿がいっそ清々しい。
 今はほとんど描かれない地方の青年の悩み、無骨な生き方が、青春が見事に描かれています。今後が楽しみ。
 徹の友人が焼き鳥屋で徹に愚痴るー
「まだおれたち20代半ばやで。普通なら、夢を抱いて日々、笑って生きているもんやろ。それがなんでや。なんで俺たちは暗い顔して俯いてなきゃあかん?こんな世の中になったのは俺たちのせいやないやろ?バブルやなんやゆうて好き勝手にしてきた連中の尻ぬぐいを、なんで俺たちがさせられなあかんのや?」
 徹にはもちろん答えることはできません。
 

2010年11月11日
 
「 二万発はるかに超えし核秘むる 地球(ほし)にはあれど 澄み渡る秋 」
 
朝日歌壇より  舞鶴市 吉富さん
 
 今日は「鮭の日」 字の中に十一と十一があるからというのはわかったけれど、「もやしの日」とは・・・。細い棒が立っているからですって・・・もやしみたいに・・・。朝から澄んだ秋空が広がっていました。「小春日和」ですって。もう晩秋?
 
 ずっと「なんだかなあ」と思い続ける日々。中国漁船衝突事件から映像流出事件に到るこの過程のやりきれなさ。気分の悪さ。一歩違えば死亡事故に到る悪質な当て逃げ犯?は無罪放免釈放でかの地で英雄扱いに、映像を流した航海士は国家公務員法の守秘義務違反でおそらく逮捕、免職、罪に問われるでしょう。
 国家機密(だったんだ!?)ならもっときちんと管理せよという、情報管理の問題も沸騰。で、領土問題はどこへ行ったの?
 
 もう、民主党政権というより、日本という国の信用問題です。政治家ってもっと賢い人々と思い込んでいました。やはりわれわれ国民がアホなんでしょうね(苦笑)。
 
 森鴎外の代表作のひとつにして高校三年の国語教材の定番「舞姫」(もう11年教えていませんー笑)のヒロイン、エリスのモデルとなった女性が特定されたという読売の記事。鴎外に贈られた刺繍のイニシャルから、モデルは「アンナ・ベルタ・ルイーゼ・ヴィーゲルト」であると主張する今野勉さん。彼はアンナさんのお孫さんへのインタビューも踏まえて確信したらしい。鴎外の次女、杏奴(アンヌ)さん、三男、類(ルイさん)の名前がこの女性の名前から来ているというのも根拠らしい。
 今野さんのディレクターとしての力量と意欲は認めているけれど、一点疑問あり。かつての恋人の名前を自分の子供の付けるかなあ。漱石と違って、嫁ハンに気を遣い、子供を大事にした鴎外だからkそ、違和感を覚えます。
 
 昨日の記事にさらに追加。今年も正倉院展で痛感したのは、歴史・文化を愛する日本人の熱さ。老若男女の輝く知性的な目。若い人が熱心にメモをとっている姿(課題が出ているのかもしれないが)に感動。
 どこのかの国の属国になるとしても、このすばらしい文化と風土を守れるなら(守れるかな?)いいや、とペシミスティックな思いで古都を楽しんだ半日でした。
 

2010年11月10日
 
「 とくとくと 備前の徳利 音のよし ままかり酢漬け ありてなほよし 」 
 
 朝日歌壇から 岡山市 光畑さん
 
 うーん。岡山ですなあ。「ままかり」です。酒も器もアテも文句なし!
 
奈良行きの続き
 
 奈良公園はもう紅葉が始まっていました。いくつか見事に紅葉したサクラの落葉を拾って帰る。
 
そして奈良県立美術館の「花鳥画」。
 
 唐・宋の名画はもちろん、雪舟、宗達、若沖まで。国宝、重文もいくつか。
ボリュームはありました。
でも、個人的に鳥の絵は好きではないので、さらっと流してしまう。
 
 近鉄奈良から難波へ。
友人のステンドフラス作家、末広章子さんの3人展へ。
なにわ筋を歩くのも久しぶり。いろんな店があって楽しい。
 
 凛とした品のある作風は健在。
新しいブルーの曲線を活かした作品もステキでした。
でも、ギャラリーは今風のラフな造りの小さな部屋。
 
 ちょっと彼女の作品が勿体ないと思いました。(もっと大きなクリーンな空間が欲しい)
 
 作品と器・・・むつかしい問題です。
 
 でも、たっぷり「目のご馳走」の一日でした。
 
この秋見逃した作品
 
テレビ「熱海の捜査官」
 
 たまたま、1、2話を見てめちゃ面白かったので、楽しみにしていたのに、なにせ午後11時15分からという時間帯がネック。とうとう最後まで見られなかった。オダギリジョーも栗山千明、小島聖もいい味出していたのに・・・。基本的の「ツイン・ピークス」、デビット・リンチへのオマージュなのですね。そのマニアックな感じもいい。TUTATAに探しにゆこう。
2010年11月9日
 
「 蛇穴に 死ぬも生きるも あとは運 」 
 
朝日俳壇から 長岡市 内山さん
 
 冬眠中に死ぬことも、穴が塞がれることもあります。この秋、二千頭以上殺された熊さんたちは冬眠も出来なかったわけですが・・・。ホームレスの人々にも厳しい季節がきました。
 
 朝の強風。駅まで背中を押してもらいました。帰りは逆風でしたけれど(笑)。
 
 先月31日の日曜日。早朝、来月のバザーの品物を貰い受けに河内長野の友人の家に行った時のこと。
 
 外環状線沿いのコンビニの前にビニールテープが張られ、パトカーが並び、警官が出入りしている。あ、コンビニ強盗かな、と思いつつ通り過ぎる。
 
 外環から市道に入ってすぐ、目の前に巨大なトラックが横転、腹を見せて道路をすべて塞いでいる。すわ「ダイハード」の撮影か?と思いました。あまりに非日常の景色に茫然。でも、わらわら集まって来た住民の方に指示して貰って、回り道。パトカー、救急車とすれ違いました。友人の約束の時間にはセーフ。
 
 友人と荷物を乗せて元戻りをする。先ほどの道は封鎖中。また迂回してそこを通り過ぎると、道端にホームレスらしき老人が倒れ伏している。こちらにも人が集まって来ている。
 
 わずか30分程の間に遭遇した3つの出来事。夕刊に目を凝らしたけれど、どれも載っていない。大事には到らなかった?ということ?もっと大きな事件が多いということ・・・?
 
 8日、月曜は文化フェスティバルの代休。前夜日本シリーズの熱戦を見、午前1時からのビール掛けまで見届けたので少し眠い。でもこういうおまけのような休日の朝はうれしい。朝から照ったり、小雨がぱらついたりと不安定な天気。
 
 よっしゃあ、と張り切って出掛ける。柏原回りでJR奈良駅へ。久しぶり。駅近辺はきれいになっていて見違える。駅前から奈良公園まで一直線に整備され歩道も広く歩きやすい。古い町でこんなこと出来たんだ。新しい店と老舗が混在して独特のムード。前日までの遷都1300年祭の余韻もあってか人も多い。
 
 駅前には「正倉院展1時間待ち」の掲示があったけれど、国立博物館に着くと、45分待ちに。実際並んでみるとスムーズに流れて30分ほどで入館。ラッキーでした。
 
 やはり人気は19年ぶりの「螺鈿紫檀五弦琵琶(らでんしたんのごげんびわ)」。流石に美しい色合い装飾でここだけは一段と大きな人だかり。作りたてのようにピカピカ光った角のような水入れ「漆胡樽(しっこそん)」が大きくて迫力。ペルシャ王を表す面「酔胡王(すいこおう)」もロマン豊か。
 
 今回心惹かれたのは鏡とそれを入れる木の箱。こころの籠もった細工でした。また古文書の文字も。ワープロの字に馴れてくると、1000年前の人の字も妙に懐かしく、生々しい。
 
 博物館前のブースで地酒「春鹿」の燗をいただき、県立美術館へ(この項続く)。
 
行く人
 
ジル・クレイバーグさん(米女優)
 
【ニューヨーク5日AFP=時事】アカデミー主演女優賞に2度ノミネートされた米女優のジル・クレイバーグさんが5日、白血病のため、コネチカット州レークビルの自宅で死去した。66歳だった。
 ニューヨーク・タイムズ紙が、夫で劇作家のデービッド・ローブ氏の話として報じた。
 「結婚しない女」(1978年)と、バート・レイノルズ、キャンディス・バーゲンと共演した「結婚ゲーム」(79年)でアカデミー主演女優賞にノミネートされた。若い女に走った夫に捨てられた女性を演じた「結婚しない女」ではカンヌ国際映画祭最優秀女優賞を受賞した。
 
 一時代を作った女優さんでした。お洒落で小粋。まだ66才だったけれど、ずっと療養してはったんですね。

 

2010年11月7日
 
 「 短日を なにかせねばと 昏れにけり 」 
 
        朝日俳壇から 奈良市 田村さん
 
 本当に日が昏れるのが早くなりました。朝風呂に入ろうとして給湯器の異状を発見。大阪ガスに来てもらう。もう換え時みたい。退職に合わせていろいろ「チェンジ」が必要になってくるみたいです。これで午前終了。
 
 金子兜太さん(92才)とその同人たちで秩父に吟行に出掛けた義母(80才)ー(みんなお若い!ー苦笑)のマンション留守宅で水道点検の為に待機。12時過ぎに来るからとちょっとのあいだよろしくと聞いていたが、順番が回ってきたのは午後3時(想定の範囲内ですが)。義母宅の大きいテレビで大学駅伝を見て、「相棒」再放送を見ているうちに日が暮れました(義母にはいつもこんな調子で振り回されますー苦笑)。
 
 急いでうちに帰り、ベランダの鳩対策。ここんとこ2羽の鳩が巣を探しにやってきて(?)たっぷり糞をして帰るのです。隣近所と相談して管理人さんにも伝え、とにかく応急処置で黄色いロープを張る。事件現場みたいやなあと言いつつ、しばらく様子を見ることに。
 
 やって来ました。ベランダに止まれないとわかったら、一度隣の家の手摺りに止まり、部屋の境の10センチ足らずの下の隙間を歩いて通って入ってくる。追い払う。敵もなかなかやるなあ。そこにもまたロープ。今度はどうなる?
 
 四国の父が孫達にと作っていた葡萄棚にカラスがやってくるので、ネットを張るやら、カラスの死骸ぽいものを作って吊すやら、トランジスタラジオで音楽を流すやら知恵比べをしてみんなの関心と笑いを呼んでいたのを思い出しました(トータルで父が負けていましたが・・・笑)。その父も、今年は体力の衰えから葡萄造りは諦めたそうです。
 
 昨日の文化フェスティバルの目玉のひとつは盛りだくさんの世界各地の料理が出る模擬店でした。いろんな国の生徒が在籍しているため、そのネイティブの教師や保護者も含めて各国の料理が100円で食べられるチャンス。当番の間を縫って、短時間で廻って買い込み、しっかり食べてお腹いっぱい。今年の白眉はベトナム風春巻きでした。満腹を抱えて帰宅して、3日ぶりのビールに酔って、野球を観ながら眠ってしまう。目が覚めたら12時前。まだ延長戦をやっていました(笑)。
 
 昔は退屈だった駅伝が今はめちゃ面白い。朝から「全日本大学駅伝」をずっと見てしまう。スーパーエースの激走あり、新進スターの誕生あり。各チームの駆け引きも面白い。でも「山の神降臨」(東洋大、箱根駅伝の登りのエースだった柏原くん)は大袈裟でしょう。本人もその呼称を嫌がっているようです。最近のあらゆるスポーツの惹句の大袈裟さにはちょっと鼻白みます(格闘技で「神の子」なんてありましたねー苦笑)。
 
 夜に、もうすぐ長い研修が終わる下の息子と婚約者が来訪。ぼちぼち新居探しを始めるらしい。新米を土産にもたす。
 
 そして、日本シリーズ第7戦はまた同点に。元巨人の河原投手が中日にいるのですね。知らなかった。ロッテの選手のしぶとさもいい。今夜はゆっくり最後まで見よう。明日は土曜の代休です。「正倉院展」に参ります。うれしい日曜の夜です。
 
最近印象に残った言葉
 
漫画家の柳沢きみおさんのエッセイから
 
 「古い物は壊すな、木は切るな」が私の「思想の中心」ですが、この国は、人も建物も、いや文化すべてが凄い早さで使い捨てになるばかりで、なんだかなァです。
 
 いつもはちょっと饒舌すぎる柳沢さんですが、今回の「思想」には基本的に賛成。但し、「残すべき古いもの」の見極めが大切です。毎春開花を楽しみにしていた大和川堤の大きなサクラが最近工事で切られました。これにはショックと怒り。
 
最近読んだ作品
 
 「 鬼神のお告げ 」  畠中 恵
 
  江戸、神田の町名主の跡取り、麻之助とその仲間による楽しい人気捕り物帖も佳境に。今回は「庚申待ち」でお告げを受け、富くじに当たった若者が思いがけないトラブルに巻き込まれる。
 身重の妻を残して今回もいやいや事件に付き合う麻之助。事件は無事解決するが、最後に意外な悲劇が待ち受けていて、麻之助の悲しみに思わずもらい泣きしてしまいました。
 
 

2010年11月6日
 
「 ある時は 新酒に酔うて 悔い多き 」 夏目漱石
 
 新酒はフレッシュでインパクトが強い。正直、私は古酒の方が好きです。まったりこなれた酒にゆっくり気持ちよく酔いたい。嫌なことなど思い出したくありません。
 
 現役最後の文化フェスティバル(文化祭)。この11年間、文化フェス、イベントのひとつ「24時間リレーマラソン」に関わって来ました。
 文化フェス前日午後1時から24時間、だれかがトラックを走り続け、襷でつなぐ。私もかつては泊まって、当日早朝などに走りましたが、近年は少し走る程度。その分、裏方に徹してきました。昼間は現役生徒が走りますが、夜は職員とOBが走ります。徹夜になる、また交代で深夜に起きて走るスタッフの為に、夕・夜・朝食を用意する。
 
 昨年から非常食米を使用。これは熱湯を注ぐだけで蒸し上がる優れもの。午後5時過ぎ、これを「おにぎり握り隊」と称する募集したスタッフの強力で握ること100個近く。あと豚汁とおでん、卵焼き。鶏の唐揚げ。気温の下がってきたグランドに運ぶ。喜んで貰えました。暖かいコーヒーやお茶も。教科準備室のソファーで眠る。爆睡。
 
 久々の好天に恵まれた本番、行事もマラソンも無事終了。楽しかったわー、と言って帰ってゆくグループの生徒の声に心底ほっとする。
 
 片づけの後、明日大学入試の生徒の面接練習をする。これもまあまあの仕上がり。がんばってくれると思います。がんばってほしい。
 
 帰宅して2日ぶりの酒。もちろん日本酒です。ぬる燗。気持ちよく体に廻る。本日の万歩計は1万6千でした。
2010年11月4日
 
「 炊きあげて 死者に生者に 今年米 」  
 
朝日俳壇より  嘉麻市  江崎さん
 
 新米を炊いて、まずはお仏壇に、それからみんなでいただく。その流れは美しい。それにしても嘉麻市ってどこにあるいのでしょう。そこにも市役所があり、テニスコートがあり、市立中学があり、居酒屋があるのでしょうね。
 
 昨夜は休日ということもあって、のんびりできました。バレーボール(ワールドカップ女子)とサッカー(ナビスコカップ決勝)と野球(日本シリーズ第四戦)を平行して観ながら、やっと懸案の衣替え。私の分はロフトの箪笥に入れてあるので、梯子を下ろして昇降すること10数回。どのゲームも接戦で見応えあり。野球の終わる11時前までかかり、一段落したときは汗をかいていました(笑)。
 嫁ハンは本日行われたシャンソン教室の発表会のプログラムをひたすら印刷しておりましたが・・・。彼女はいつ衣替えをするのだろう?寒がりと暑がりのふたり。服に関しては夫婦それぞれマイペースでやっております。
 
 それにしても、秋はあったのでしょうか?あ、これからか?秋物も出さずに冬物だけ出してしまった!(苦笑)。
 
 ここ2週間悩まされた事柄。生徒のブランドの財布紛失事件。毎日探して、1昨日やっと発見(中身は抜かれていました)。真相は藪の中ですが、気分の悪いもの。それにしても10万近いブランド品を貰うこと、持って歩くことがわたしの感覚から離れています。溜め息。
 
 落ち葉より先に喪中欠礼が舞い込む季節になりました。
 
 先日、授業で「謹賀新年」という漢字を書いたら、出席16名誰も読めませんでした。あれー、と久々、焦る。「出勤」「通勤」、「年賀ハガキ」というヒントでやっと「キンガシンネン」と読めたのですが、意味がわからない。
 
年賀状に書いてあるやろ?この言葉。
年賀状なんて、書かないし、来ないもん!
 
あれこれ言うているうちに「ア、『あけおめ』のことや!」と気づいた生徒が一名。
そうだったんだ。みんなメールで「アケオメ」(あけましておめでとう)を送信して終わりなのですね。
 
改めて気を引き締めて、授業に臨みます(苦笑)。
 
最近印象に残った言葉
 
水木しげるさん(88歳)の「幸福の7箇条」から最初のふたつ
 
第1条「成功や栄誉や勝ち負けを目的に、ことを行ってはいけない」
第2条「しないではいられないことをし続けなさい」
 
第1条。文化功労者に選ばれてもぴんと来ないと、うれしい顔を見せませんでした。奥さんが気を遣ってフォローしてはりましたが・・・。
第2条 ひたすら歌い続ける嫁ハンを見ていると、自分にはそれにあたるものがあるのだろうかと自問。読書?違う。文章を書くこと?うーむ。
 
行く人
 
真飛 聖  さん(まとぶせいー宝塚花組トップスター・・・来春退団することを発表)
 
 まだまだ花開くと思われる時に去ってゆく。バランスのとれた美しい男役さんでした。近年、スターが小振りになって、動員も減って来ているようです。劇団創設100周年を数年後に控え、どんな新しいスターが100年目の新春公演を飾るのか?今から話題。その時には現在封印されている「ベルバラ」がまた復活するのでしょうね。
 
最近読んだ作品
 
「つくもなす物語」  加藤 廣
 
 室町時代、明から3代将軍、足利義満に送られた黒い小壺。遭難に遭ったらしく由緒書きもなかったが、義満の心を捉え、彼が抱いて寝るまでに愛玩される。しかし、義満の愛人量子の急死以来、祟られた壺といわれ、「天下壺」「付喪神(つくもがみ)の取り憑いた壺」と言われるようになる。
 壺は、やがて足利義政、戦国時代の朝倉教景、松永久秀、そして信長へ。この時代に「つくもなす」(九十九茄子)の名前が定着。本能寺で粉々になるが密かに発掘され修復・・・。
 気の遠くなるような遍歴を重ね、最後に明治維新、岩崎弥太郎の弟、弥之助の所有となり、現在世田谷区の「静嘉堂文化美術館」に収まるまで。
 
 このように異様な魅力を持った作品ってあるように思います。そんな壺は見たことはないけれど、時々無条件にこころ惹かれる「物」(絵、茶碗、家具、小物、文房具・・・)はあります。見るだけでは満足できない、所有しなければこころが納まらないのです。凡人なら渋々諦めるところですが権力者なら・・・。人がそういう「物」(人の場合もある)に出会ってしまうのは幸が不幸か・・・。むつかしいところです。
 
2010年11月3日
 
「 痩馬の あはれ機嫌や 秋高高し 」 村上 鬼城
 
 「天高く馬肥ゆる候」なのに重労働のせいか、痩せている馬。でも、機嫌良く働く姿に却って哀れを誘われます。さらなる原典は唐詩の一節「秋高くして塞馬肥ゆ」。
 
 流石、晴れの特異日。朝から澄み渡る秋空に葛城山の山頂の小さな鉄塔まで見えました。
折角のいい天気。嫁ハンと休みが揃うのも珍しい。
 
どこへ行きたい?
わたし「ニトリ」ヘ行ってみたい。
僕は「イオンモール橿原アルル」へ行ってみたいなあ。
 
 まず、身辺整理を始めた先輩教師からいただいたたくさんの本で車がいっぱいなので、朝から学校へ運ぶ。来月実施する職員バザーに提供します。専門書は教科に寄付します。もう、私も歳。いただいた本を自分で溜め込むことはしません。できません。校門を開け、校舎の機械警備を解除。煩わしい作業ですが、いい天気で楽しみも控えているので、さっさと作業。往復1時間余り。
 
 洗濯が終わった嫁ハンを積んで、西に向かう。中環の「ニトリ」店ヘ。広くて清潔な店内。家庭用品というかお洒落なインテリア家具、雑貨がいっぱい。安い。でも、どちらかというと若者向け。おっちゃん、おばちゃんには実用的なコーナンの方が向いていると思いました(笑)。でも、ちょっとだけ買い込む。
 
 東に方向転換。南阪奈を走って橿原へ。これまた広いショッピングモールに度肝を抜かれる。扇形に広がる三層の建物に、ジャスコ、ユニクロ、無印良品、喜久屋書店、シネコン、・・・その他数え切れない専門店が犇めいていて、迷子になりそう。実際、あちこち歩き回って嫁ハンは「人あたり」を起こしてしまいました。スポーツ用品店でジャージを買って早々に引き揚げる。それにしても、3カ所ある巨大駐車場がそれぞれ階がずれて立っていて、それぞれモールに繋がっている。こちらには本当に迷っている人が何人もいました。色などでわかりやすく表示したらどうかな。
 
いつか新聞で読んだ川柳
 
「 駐車場 私の車は どこかしら 」 を思い出しました(苦笑)。
 
昨日の気になったニュース
 
 宮城県村田町村田の白鳥神社で2日朝、境内にあるご神木のイチョウ(幹回り約10メートル、高さ約30メートル)が根元近くから倒れているのを近所の住民らが見つけた。

 同神社は、平安時代に東北地方で起きた戦乱「前九年の役」で、源義家が官軍の戦勝を祈願したとされる由緒ある神社。同町歴史みらい館によると、樹齢800年以上と推定され、神社は「さらに歴史は古い」としている。町の天然記念物にも指定されている。

 未明からの強風が原因とみられ、同町から約20キロ南の丸森町では午前0時35分、秒速25・2メートルの最大瞬間風速を記録した。

 宮司の村田守広さん(54)は「これまで台風で枝が折れることはあったが、まさか幹から折れるなんて」と驚いた様子だった。
 
 YAHOOニュースから
 
 巨木ウォッチャーとしては残念なニュースです。昨年倒れた鎌倉・鶴ヶ岡八幡宮の銀杏はひこばえが伸びているそうですが・・・。
 
 ゆく人

野沢那智さん

 アラン・ドロンの声の吹き替えなどで知られた、俳優で声優の野沢那智(のざわ・なち、本名・やすとも)さんが、30日午後3時36分、肺がんのため亡くなった。

 72歳だった。告別式は近親者で行い、後日、お別れの会を開く。喪主は長男、聡(そう)氏。

 東京都出身。劇団薔薇座を結成。演出家として、芸術祭賞を受賞した「スイート・チャリティー」など多くの舞台を手掛けた。

 読売新聞から

 
 吹き替えで有名でした(甘くいい声)が、私には67年から放送された深夜ラジオ「パック・イン・ミュージック」の白石冬美さんとのコンビが忘れられません。たしかTBSラジオで水曜日、午前1時からじゃなかったかな?「なっちゃん、チャコちゃん」と呼ばれ、投書による聴取者とのやりとりも、番組内の「本朝金瓶梅」のコーナーも楽しく聞いていました。

 あの頃は若者向け深夜放送がスタート、定着して花盛りを迎え(それ以前、私の高校時代は受験生向けか、大人向けお色気番組が中心でしたー今から思うと信じられないー笑)、文化放送は「セイ・ヤング」で落合恵子さんや、みのもんたさん、ニッポン放送はアナウンサーが担当で亀淵昭伸?さん(後に社長になり。ホリエモンとのやりとりで久方ぶりにお声拝聴)らが人気。私は斉藤安弘アナウンサーのファンで、同じくファンで修学旅行で上京した弟を連れて有楽町にあったニッポン放送まで会いに行ったものです。(快く会ってくれました。その夜の放送で触れてくれたりしたなあ)

 このニュースで、東京で過ごした懐かしい青春時代が一気に蘇ってきました。あの深夜放送(「ジェットストリーム」もありました。試験放送から聴いているのですー笑)を聴きながら朝まで起きていた時代・・・。大阪に就職して、その余裕はなくなりましたが、今は「ラジオ深夜便」を偶に、また夜中に目覚めて聴いています。思えばかつて若者向け深夜放送(今もあるのかなあ?)を聴いていた世代がそのまま歳を取り、スライドして、シニア向け深夜番組を聴いているという構図なのですね。
 
最近読んだ作品
 
「北京の春の白い服」 中島京子 
 
 日本企業の若い遣り手女性が、中国企業と提携、アパレル業界に新しい波を起こそうとするが・・・。想像通りの展開となります。東京で嵐のような北京の日々を思い出す主人公。キーワードは「マンマン・ゾウ(のんびり行けや)」後味は悪くはありませんが、最近の日中事情を予測していたような・・・いえ、こうなることはミエミエだったのでしょう。
 
「梅の影」 葉室 麟 
 
 江戸の京、大坂を舞台にし、俳句や絵を絡めた人気シリーズも蕪村の死で新しい局面を迎える。テーマになる句はもちろん辞世の「白梅のあくる夜ばかりとなりにけり」。
 芭蕉の死も弟子達には大激震でしたが、蕪村の場合は女性が絡むから死後はより大変。愛人「小糸」。そして俳句の弟子でもあった大阪新町の芸妓「お梅」(この名も暗示的)。男弟子達の思惑もあっておどろおどろしい展開になりますが、それを救ったのは弟子の月渓。画家でもあった彼は、師の句を「絵」にして残します。それに寄り添ったのはお梅。
 
 ちなみに月渓の別名は「呉春」。池田の銘酒にその名を残しています。
 
「南蛮狐」 風野 真知雄
 
 塚原ト伝外伝。剣豪を慕う者、教えを乞おうとする者、つけ狙い、倒して名を挙げようとする者、対決して倒れた者から物品を略奪しようとする者。最後の者をリアルに描いて成功しました。



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