現代に生きる全ての女性のへ贈る、命の奇蹟を描く大人のファンタジー
「ぼくがうまれる理由」


十二歳で最愛の父を病気で亡くしてしまった、少女、山口奈々。
その深い悲しみから抜け出せずにいた彼女に突然、不思議な体験が始まった。
それは「命のワープ」というたぐいまれな体験であった。
その体験は、奈々にとって現実以外の様々な時に生きている自分を知ってしま
うことになった。
つまり奈々自身も死んで生まれることを何度も体験することになるのだった。

人は、死ぬ直前にすべてを思い出し、生まれ変わる直前にすべてを忘れる。
会いたい人がいるかぎり、やり残してことを果たすために、人はいつの時も、
どんな場合でも死んでは生まれかわり、そして生きていた。
生まれたい理由は誰にでもあるものだ。
父の死という現実だけにとらわれて未来を見失っていた山口奈々にとって命の
ワープは、死ぬ意味、生まれる意味、そして生きる意味を知っていくてがかりと
なった。

偶然同じ体験をしていた彼、工藤渚と愛しあい、小さな命が宿った奈々。
自分の体内に宿った小さな命を守り抜くため、懸命に生きようとするがいつも
願いを果たせず死んでしまう。
再び落ち込む奈々であったが、命のワープを繰り返し体験していくうちに、
自分の未来は、この子を生むことから始まると確信できるようになった。
何度死んでも生まれ変わって渚に出会い必ずこの命を産みたいと決意した
奈々。恋愛と妊娠を通して果てしなく無限な愛情の存在を知る。
あきらめず、未来のトビラへと歩いていく奈々。
そこには、様々な命の断片との出会いがあった。

人を愛し、命がやどり、その子を産むために生きていく奈々の姿勢。
そんな、奈々を長い長い時を越え、愛し続けた彼、工藤渚。
当たり前だが人はこうして、未来を築いていく。
しかしその小さな命はすでに傷ついて、とても元気に生まれることはできな
かった。生まれるときに持っていなければならない三つの障害。
それを承知で生みたいと願う奈々。
それを承知で生まれてほしいと願う渚。
そこには、愛があるから。
命を守る愛情があるから
その子も生まれたいと願っていた。
どうしても生まれたい理由があった。

長い長い時を越え
命をワープしてきた渚と奈々に新しい未来の命が生まれるのか。

文芸社より12月1日
発刊
定価 \1500

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